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楽園   作者: クオ村
3/6

3


ロボットは街に辿り着くなりみんなを呼び集めました。「みんな、一緒に遊びましょう。」


ロボットはどうやってみんなを楽しませようか悩みました。ロボットは、もう劇の時のように誰かを怒らせたくありませんでした。嫌味を言われることが嫌でした。蹴られることが嫌でした。憎まれることが嫌でした。傷つけられることが嫌でした。


ロボットはジャグリングを披露することにしました。広い公園の片隅で悪目立ちしない様に披露することにしました。懐からナイフを4つ取り出し、華麗にくるくるとジャグリングを披露してみせました。わぁすごいと人々は拍手を送りました。ロボットは楽しくなってきました。


ところがそれを見ていたある人が言いました。「あのロボットは隣の街では劇をしていたぞ。その時に比べてそのジャグリングはどうなんだ。お前はつまらない。」またある人が言いました。「そうだ。そういえばお前はかくれんぼうも下手くそだと聞いたぞ。」

さらにある人は言いました。「そいつがいるとおにごっこも楽しくできないと聞いたことがあるぞ。また、俺の友人はたまのりも下手だと言った。」「そうなのか。お前はつまらない。」

「お前はくだらない。」

「お前は面白くない。」


「お前は何ができるんだ。」


ロボットは彼らの声に耳を傾けましてしまいました。それは「お前は楽しい事ができない。」と連呼するばかりの罵詈雑言を気取った吐瀉物でした。

彼らに、悪意はあるのでしょうか。いいえ、あるはずがありません。そうであるからこそ、彼らの言葉は吐瀉物なのです。無責任にも吐き散らされる、吐瀉物なのです。そして吐瀉物の臭いはどんどん充満し、嗅いだ者に不快感を与えます。気持ち悪い、としか感じられなくなっていきます。


ロボットは4つのナイフを、4つあるアームで持ち上げました。

「お前はつまらない。」震えが止まりませんでした。

「お前はくだらない。」錆びついた関節がぎいぎい音を鳴らしました。

「お前は面白くない。」頭がぐちゃぐちゃに潰れそうでした。


ロボットは突然、ナイフを持った手を狂った様に振り回し始めました。それはもう滅茶苦茶に振り回しました。そして街の人々を無差別に斬り始めました。何が起きたか分からぬ街の人々は、鮮血に濡れた機械仕掛けの狂乱を見るなり、ただ恐怖し、泣き喚いて逃げ出しました。


ロボットは色んな人を斬りました。若い男の胸ぐらを切り裂き、逃げ回る女の片脚と片腕を断ち、怯える老夫婦の背中をずたずたにし、赤ん坊の頭を潰し、泣き叫ぶ女児の喉笛を掻っ切りました。



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