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カモメが飛ぶ日  作者: Tohna
序章 最終節
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5. 202x年シーズン最終節(5)

ハーフタイムでの監督の指示やアドバイスが後半の結果に結びつくことはままあることです。

監督代行の高橋は、致命的ともいえるミスをしてしまったようです。

 監督代行の高橋は、ハーフタイムを使って戦術の確認とマークの受け渡しについて気がついたところをイレブンに伝えていた。


——残留を決める。


 これほどシンプルな目的はない。

 ネガティブであろうと、モチベーションは否が応でも高まる。


 JSL-Bには22チームがひしめき合い、日程は過酷だ。

 それ故にJSLーAから降格してしまった有力チームが、降格した後十季を下で過ごしているオリジナル12のチームすら複数存在している。


「俺たちも落ちたら最後、上がっては来れないかもしれない」


 この恐怖心は選手の個々の考えに違いをもたらしてしまった。


 ディフェンス陣は均衡したこのゲームを守ろうと考え始めた。


 しかし、オフェンス側は攻めてかならず勝ち点3を取ろう、そう考えていた。


 高橋は、意思の統一も図る事なく前半のメンバーのままピッチに選手たちを送り出してしまった。


 その早速チーム全体のちぐはぐさがプレイに現れた。


 前半デフェンスは最終ラインを高めに保っていたが、恐怖心からラインがずるずる下がってコントロールが上手くできなくなっていた。


 一方のオフェンスは点をもぎ取りたいその一心で前のめりになって中盤は間延びしてスカスカになった。


 こうなるとカルバロスはスペースだらけの中盤でやりたい放題だ。


 最下位に甘んじてはいるが、カルバロスの目指しているサッカーそのものには高い評価をする者が多かった。


 中盤でのパス回しで相手を崩して突破力のある甘粕と黄に決めさせる。

 その二人にマークがしっかりと付けられた場合、左ウィングの菅原やシャドーストライカー役のミッドフィールド樫本がゴール前に顔を出す分厚い攻撃力が売りのチームだ。


 高い攻撃力で得点数はリーグ3位につけているが、いかんせん守備がザルで、なかなか勝ち点を積み上げることができず最終節を迎えてしまった。


 前回の対戦でガビアータに完封されたのは累積の警告で樫本が出場停止、黄がケガでベンチから外れていたからだ。


 つまりアウェイでの点差は実力の差を表してはいない。

 

 今、ピッチにいるガビアータのフィールドプレーヤーたちはそれをかみしめている所だった。

 面白いようにパスがつながり、自分たちはそれを止めることができない。

 

 自分たちの責任だけではなく、カルバロスの個の能力にも激しい劣等感を抱かさせられる時間帯が続く。



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