9-side-
この回まで信雅sideです。
「まだ話は終わっていない。」
はぁーとため息をつき俺は、再度 じー様を見た。
「なんですか。まったく・・・」
あきれたようにいう。
「お前の社内の噂は知っておるのか?」
女癖が悪いとかだろうな・・・
そう思いながら
「噂を信じるほど、じー様は落ちぶれたんですか?」
わざとじー様が怒る言い方をした。
「今夜私の秘書と食事に行け。」
怒鳴ると思っていたのに意外と粘ったじー様
「・・・どちらのお嬢さんなんですか?」
わざとらしく大きな ため息をつく
「何、なんてことない広告会社のお嬢様だ。身内に一人くらいいても良いかと思ってな。」
じー様の言葉に
『あーそうですか』
といいたいのを堪えた。
「俺は政略結婚するつもりはありません。親父とお袋は相性が良かっただけです。」
俺の両親もじー様に言われ政略結婚した。
両親は、政略ながらもお互いに一目ぼれし、俺は愛情に包まれて育った。
今現在も二人は仲良く暮らしている。
「それと、今の俺にはお嬢さんの為に時間を割く程ヒマじゃありません。」
そういい残し俺は社長室を後にした。
「斉藤さんおまたせしました。」
部署に戻ると斉藤さんはすでにいなく、でも俺の教育担当である以上まだ社内にいるはずで、俺はある場所に向かった。
「・・・・」
目の前で楽しそうに彼女と話をしている斉藤さん
「あっ、和樹さん、織田さんが迎えに来ましたよ。」
ニッコリ微笑み斉藤さんを送り出す彼女
「毎回、毎回、時間が空くと総務に行くのはどうかと思いますがね。」
ぼそっと俺は呟いた。
「織田さん、それ直接、彼に言ってください。こっちだって仕事中で困ってるんですから。」
独り言を聞かれていた・・・
相手は斉藤さんの彼女 川合さんだ。
口では困っているといっているが、とてもそうは見えない表情
「お幸せそうで何よりです。」
俺はそういい荷物を取りに言っている斉藤さんを待った。
「で?何の話だったわけ?」
斉藤さんからの第一声はこれだった。
「社長秘書とのお見合い話?いや、婚約者候補?」
俺の言葉に絶句する斉藤さん。
それもそのはず、社内からそのような話が出ないように、噂話を野放しにしているのだ。
社内には、俺と関係を持っただの、元カノだのいろいろ言い出している女がいる。
勝手に、女たちが話しているのだ。
実際には、この仕事を始めてからは女には興味がなかった。
ただ一人を除いて
しかし、その人とも噂になるようなことにはなっていない。
なんせ、夕食が居酒屋だ・・・
そして、そのことを知っているのは、ただ一人斉藤さんだけだ。
「なんの為に噂話を野放しにしているやら・・・」
斉藤さんが呟いたが俺はなにも言わなかった
次回沙耶に戻ります。