サトの憂鬱だった一日
他サイトにて拍手で書いた短編です。
ものすごく短いです。
2007.2.17
昨日まで 世の中は3連休
俺の会社も休みだった。
休み明けの月曜って憂鬱なんだよな。
会社までは、電車で4駅
今日はついていた。
いつも座れないが、座れた。
さて、ささやかな一時をすごすかな。
カバンから休み中に読み終われなかった本を取り出し読み進めた。
視界の端に杖が見えた。
目をやるとおじいさんが杖をついて立っていた。
んだよ、誰も譲ろうと思わないのかよ。
俺は、カバンを座っていた席に置き席を立った。
「あの、席どうぞ。」
俺は、おじいさんにそう言った。
が、一緒に女性の声もしたことに気が付いた。
「・・・あっ」
おじいさんの目の前の女性が同時に同じことを言ったようだ。
「あっ、どうぞここに座ってください。」
俺は、自分のカバンを退かしおじいさんを座らせた。
「ありがとう。」
おじいさんに礼を言われ、俺は空いている所に立った。
しまった・・・目の前には、俺と同時に席を譲ろうとした女性
なんで、ここに来てしまったのだろう。
なんとなく気まずい・・・
決して話すわけでもないのだが・・・
彼女は、降りるまでずっと下を見ていた。
なんと降りた駅は一緒だった。
俺は、彼女の後ろを歩いていた。
そして、気が付いた。
彼女の左足に包帯が・・・
彼女は自分が怪我をしているのに席を譲ろうとしていたのだ。
俺は、そんな彼女に心打たれた。
「おはよ、サト。どうしたの?」
友人のコバが近づいてきた。
「?川合ちゃんがどうかしたの?」
あれから俺は姿を見つけるとついつい視線を向けてしまうようになっていた。
そんな俺の視線に気が付いたのかコバが言った。
「彼女を知っているのか??」
俺の反応にニッコリ微笑むコバ
「へぁーサトにもついに・・・」
からかうように言った。
「・・・コバ、頼む」
聞こえないような小さな声で言った。
が、コバは
「もちろんよ。サトの為にがんばるわ。」
コバは合コン女王。
そこでアタックしよう。




