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「時間とってくれてありがとう。」

店に入ると先に来ていた彼

私は、コーヒーをオーダーをし席に着いた。

「手短にね。・・・その頬」

腰をかけながら、5年振りに正面から見た彼はあの時からあまり変わっていない。でも、少しふけたかしら?なんて思っていると右頬が少し赤いことに気がついた。

「あーぁ、サトだよ。本気で殴りやがった。って、俺が悪いんだけどな。」

自分の頬に手をやり撫でた。

「あいからずね。二人とも・・・」

昔からこの二人は手が早かった。

呆れてそれしかいえないでいる私。

「で、話って?そういえば、お子さんは?もう大きいでしょう、奥さんも元気?」

私は、ずっと気になっていた。彼女はちゃんと子どもを生んだのか、最悪な結果になっていないかと・・・

「今さら、許してもらおうなんて思ってない。でも、真実だけは、知っていてほしいんだ。5年前のことはすべて、サトから聞いた。俺が、知らなかったこともあった。」

彼は、話し始めた。

「気にしないで。許すつもりなんてないから。」

ニッコリさらりと言う私。彼は、そんな私を笑った。

「その毒舌は、健在なんだな。あいつとは、沙耶と付き合う1年ぐらい前に付き合っていた。でも1ヶ月ともたなかった。理由は、あいつが他に好きな人ができたから。お前が偶然見た日は、お前に避けられている時にあいつの誘惑にのり・・・寝た。それまでは、あいつと関係を持ったことはない。ずっと、あいつのことは友達としか見ていない。あの時も、今も・・・」

最後の言葉は、本人にしか聞こえないくらい小さな声だった。

が、私はしっかりと聞いていた。

そして、心配していたことになっているのではと思った。

「別れてからは本当にあいつとは連絡すら取っていなかった。ただ、一度だけ、あいつが俺を訪ねてきた。俺は、酒を飲んで寝ていて沙耶と間違っていた。あいつも沙耶と間違うように、わざわざ香水を変えてまでいたんだ。でも、途中で沙耶じゃないのに気が付いたのも事実だ。俺は、最後までやった。子どもは・・・・アレは、あいつの嘘だ。あいつは、お前が俺の元から去れば戻ってくると思っていたみたいだ。とにかく俺は、すべてのことに謝りたかった。いろいろ悪かった」

彼は、頭を下げた。

「私も悪かったと思っているわ。あなたが傍にいてほしいと思っているときにいなかったことは事実。最後まで信じられなかったことも事実。悪かったのは、私も一緒だわ。それに、あなたから親友を奪ったんですもの(笑)これで、おあいこでしょ?」

ニッコリ微笑んだ。

彼も釣られて微笑んでいた。

「もう・・・無理だよな?」

だめもとのように聞いてくる彼

「どう思う?」

私はいじめるように聞き返す。

「昼間に、サトからすべて聞いた。この5年間男を寄せ付けなかったって。今の沙耶があの頃と変わらないように見えるならそれは、頑張った奴がいるんだって。」

彼の言葉に満足した私は頷く。

「沙耶、俺はお前のこと本気で愛していた。それはきっとこれからも変わらないと思う。だから、幸せになってほしいそう思うよ。4年間本当にありがとう。」

彼は、私に手を伸ばしてきた。

「私の名前を呼んでいいのはこの世で一人だけなの。」

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「なんで、名前で呼ばせないんだ?」

まだ付き合う前の私たちの会話

この頃は、部活の関係で 仲良くなった先輩だった。

隣にいる友達と、彼と彼の親友のサトでお昼を食べているときだった。

「親からもらった大切な名前は、やっぱりこの世で一番大切な人に呼んでもらいたいじゃない?」

いつの頃だろうか・・・

なんの影響なのかも覚えていない。

でも、私はいまだにそのことは面向き通している

後日、彼から告白された。

「コバにとっての 一番大切な人になりたい。」

と、そして 私たちは付き合うようになった。

「そうだったな。コバ今日は本当にありがとう。」

きっと彼も同じ頃のことを思い出していたのだろう。

目が合うとニッコリ笑いそう言った。

昔とそう変わらない笑顔で

私は差し出された彼の手をとり握手した。

「こちらこそ。それじゃ。」

私は、彼から手を離し 店の外に出た。

私の本当の一番大切な人のところへ向かうために・・・


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