17
「お嬢、いくらなんでも合コンはないでしょう・・・」
彼が、通りに行ったことを確認してはぁーとため息をつく相川さん
「いいじゃない。信じてくれたわよ。」
彼はきっと私が合コン女王という異名を知らない。
「とにかく彼には黙ってて、自分で話すから。」
はいはい。
と軽い返事をする相川さん。
どうやら私に対しても彼に対してもあきれているらしい。
「報告だけはきっちりさせていただきますよ。」
彼はそう言い残し去っていった。
「話って?」
彼の元に戻るといきなりそう聞かれた。
「合コンのときに相川さんのこと気に入った人がいて、連絡先を教えてもらったの。」
ニッコリと言う私
「へぇーところでスーパーとかに寄ったほうがいい??」
タクシーに乗ってから気が付いたのだろう。
「簡単なものでいいなら、いく必要ないと思うけど。」
なんでもいいからじゃ、いかない。
彼はそう言った。
「橘の契約ってなにかまずいの?」
さっきの二人の会話が気になった。
「別になにもまずくないよ。他にも候補の会社あるんだろう。
その為には、他のところより、コミッションをあげたほうがいいって、話だけだ。」
なるほどね。
で、相川さんはこの人と仕事がしたいからそのことをばらしたのね。
「でも、変更しないんでしょう?社長怒らない?」
さっき彼はそういっていた。
「そうかもね、でも変更はしない。俺はそんなやり方キライだからね。それに、やっぱ中身で勝負しないとね。」
この人の中には確実にこの前会った父親の血が流れている・・・
社長は、お金の亡者だけど、この人とお父さんは違う。
この人がもし を継いだらきっと今以上に会社は大きくなるだろう。
そう思った。
「何が、食べたい?」
家に着くと冷蔵庫を漁った。
たいていのもの食料はあるはずだから・・・
「ん?そりゃーもちろん・・・」
冷蔵庫を閉め、彼のいるリビングに向かった。
「はっ?私、ですか・・・」
私に向かってニッコリ微笑んでいる彼
「当たり。」
そう言い、彼は、両手を広げた。
きっと『おいで』という意味だろう。
別に期待していなかったわけではない。
私の中で、彼とならかまわない。
そう言う気持ちが芽生えていた。
きっと、無意識に名前で呼ぶことを許してから
彼は、私が近づくと 軽くキスをして服を脱がし始めた。
「待ってっ!!」
下着だけになった私は、彼を一旦止めた。
「なに?俺今さら止める気ないけど?」
嘘、彼はきっと嫌だって言ったら止めてくれる。
その証拠に、ベッドに腰掛けるものの先に進もうとはしない。
「違うわよ。あんたも脱ぎなさいよ。なんで、私だけよ。一人だけってめちゃくちゃ恥ずかしいんだから」
グチグチ言っていると彼は吹き出した。
「プッ・・・わかりましたよ。女王様」
そして、私達は身体を重ね合わせた・・・
「ん・・・」
いつの間に寝てしまったのだろう。
隣には、気持ちよさそうに吐息をたてている彼がいた。
彼の腕から逃れ、時計を見ると22時過ぎたところだった。
こんなにこの行為が心地よく気持ちいいものだといままで知らなかった。
彼は、自分だけでなく私も快感に溺れさせてくれた。
私はしばらく余韻に浸ってから、軽い食事を作った。
まだ、ベッドで寝ている彼の為に・・・
「・・・さぁや??」
ちょうど、シャワーから出てきたときに 声がした。
「起きた?ご飯作ってるけど、食べる?先にシャワー浴びる?」
彼は、腰にシーツを巻きキッチンにやってきた。
「先にご飯食べる。」
寝起きのせいか、声がかすれている。
普段の彼とはまた違ったいい声
いままで、このかすれ声を聞いたことがあるのは何人 いるのだろう・・・
気が付いたらそんなことを考えていた。
「さぁや、考え事?」
心配そうに顔を覗き込む彼
「なんでもない。」
考えていたことが考えていたことなので、私は彼から目をそらした。
しかし、彼は気にしなかった。
いつもならきっと気にしていたであろう。
「ごちそうさま。おいしかったです。」
そういい彼は、食べたお皿を流し台に持って行き軽くお皿を洗った。
「ありがとう。シャワー浴びるでしょう?タオル用意するわ。」
なんか新婚みたい・・・
お皿を洗っている彼を見てそう思った。
私は、戻ってきた彼にバスタオルを渡した。
「一緒に行く?」
バスルームに向かう途中 彼が振り返り言った。
「恥ずかしいからやだ。」
即答する私。
「お互いに見たじゃんか」
ぶぅーと拗ねる彼
「だって、お風呂明るいし・・」
自分の顔が赤くなっているのがわかり顔を隠す
こんなキャラじゃないのに・・・
「わかった。」
彼は笑いを堪えているのだろ。
顔を見ればすぐにわかる。
そして、なぜかこっちに戻ってきた。
「いかないの?」
顔から両手を外し目の前に立っている彼に言った。
「一緒じゃないならいい。ベッドにいこう。」
にっこりと微笑む彼
私は彼の言葉に呆気に取られ言葉が出なかった。
「いや?」
彼は、下を向いている私の顔を覗き込んでくる。
「気持ちよくなかった?さぁや?」
捨て犬のように、悲しそうな目をしている。
私は観念して口を開いた。
「うぅ~気持ちよすぎて、めちゃめちゃ嬉しかったデス・・・」
私の言葉に、嬉しそうにはにかんでいる彼
そのまま私達は朝方まで抱き合っていた。
「ん・・・」
カーテンから零れる日差しに私は、目を覚ました。
腕枕をしていてくれた彼・・・
やばいくらい幸せな気分だ。
「ねぇ、起きなきゃ会社に遅刻するよ。」
隣の彼をゆすり起こそうとする
「ん・・・今何時?」
昨日も聞いた寝起きのかすれた声
かわいい・・・
「6時半・・・って、寝るな!!」
時間を聞き、再度寝ようする彼の頭をはたく
「だって、まだ早すぎる・・・」
私の腕を引張り私を抱きかかえる彼
「一回、家に戻るんでしょう?」
私だって、出来ればこのままあなたと一緒にいたいけど・・・
なんて、絶対に声には出さない。
「・・・チューしてくれたら起きる」
とんでもないことをいってきた彼
私は、彼の顔に枕を投げつけた。
「一生寝てろバカ」
彼をそのままにし、シャワーを浴びに行った。
「さぁや、今日も内勤だからお昼一緒にしよう。」
シャワーからあがると 昨日のスーツを纏った彼がいた。
「わかったから。ほら、早くしないと本当に遅刻するわよ。」
彼を見送り、私も会社に行く準備をした。