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時間遅れましたが更新できました・・・
「昨日、斉藤さんから連絡来たよ。やっと落ち着いたみたい。川合さんとのことお怒りだったぞ。今度、文句言いに来るからだって。」
昼休み、溜めていた事務処理を午前中に終わらせ お昼はさぁやと食べることにしようと一緒に食堂にやってきた俺
しかしクスクスと俺の目の前で笑っているさぁや。ただ笑っているだけなのに心地のいい声だ。
「どうしたの?」
なんかおかしなこと言ったかな??
「川合ちゃんからも来たわよ。私の手配したマンスリーが必要なくなったって。」
マンスリー??あーぁ、さぁやが知り合いに頼んだ川合さんの住居・・・
「必要ない??」
さぁやの言葉をやっと理解した俺
「実家に一緒に住むんですって。今度来るときはきっと川合ちゃんのご両親に挨拶しに来るのよ。」
いまだに笑っている彼女
「俺おかしなこと言った?」
俺は、彼女に聞いた。
「あなたのお父さんって中々の曲者ね。」
親父??あーぁ、なんとなく予想はついた。
「お父さん、実は時期社長候補を探していたんですってね。しかも、軌道に乗ってあなたが織田を継いだら 傘下にはいるんですって?」
そのことだよな・・・
「俺も昨日初めて知ったよ。斉藤さんから電話が来てすぐに親父に連絡したら、同じようなこと言ってた。俺は、まだ継ぐってきめてないのに・・・親父は、軌道に乗ってしまったら、さっさと斉藤さんに頼むみたい。んで、お袋と一緒に田舎でのんびり暮らすって言ってた。」
苦笑いしか出てこない俺
「まぁ、あながちお父さんの見込み違いってことはないからいいんじゃないの?」
と、さぁやは言ってくれた。
斉藤さんも怒っていたものの、やりがいがあると言ってくれた。
「俺も、頑張って早く仕事を吸収しなきゃな。」
じー様としては親父のやり方が気に食わないらしい。
でも俺は、親父のそういうところを気に入っている。
だから、親父は傘下に戻したいのは俺が継いでからといったのだろ。
じー様のときに戻っても同じことの繰り返しになるだろうから。
「今日、久々にご飯食べに行かないか?」
斉藤さんが会社を辞めてから2ヶ月・・・
本当に斉藤さんの後を継ぎ、営業課長になってしまった俺は最近まで忙しくてさぁやと時間が合わなかった。
さすがに、付き合っているわけでもないのに休みの日は誘いづらかった。
「今日は早く終わりそうなんだ。」
混んできた食堂でさっさとお昼を食べ食堂から出て行く俺たち
「信雅さん。」
嫌な予感がした・・・
「今日こそは、夕食ご一緒にしませんか??もうお仕事落ち着きましたでしょう?」
この女も毎日毎日、しつこい・・・
この2ヶ月は本当に忙しくて、丁寧に断っていた。しかし、もう限界である。
「あら、小林さん私の信雅さんになにか御用?」
だれが、お前のだ!
「いいえ。失礼します。」
久々に聞いたさぁやの冷たい声・・・この女、大概にしやがれ・・・
「馴れ馴れしく名前で呼ぶな。あなたのものになったことはありません。それから、離れてもらえませんか?香水くさいです。」
さぁやをすぐにでも追いかけたい衝動に駆り立てられながら、俺は感情を入れずに淡々としゃべった。
女は、怯んだのかすぐに俺から離れた。
「あの・・・」
「社長今、空いてますか?」
彼女の言葉を遮り言った。
「はい。本日はとくに御用はありません。」
俺は、社長室に急いだ。
「信雅、どうした。私が呼ばないとココに来ない奴が・・・」
じー様は、専務と話しをしていた。
専務を引き下がらせそういった。
「じー様、彼女って俺のなんなんだ?」
後ろに立っているじー様の秘書を指差した。
「お前の婚約者候補の一人にすぎんな」
社長の言葉に秘書は黙っていた。
「今さ、会社で変な噂が流れて困っているんですよ。」
俺は、この前さぁやに言われたことを思い出した。
「なんでも、この女が俺の婚約者だって社内に言いふらしてる奴がいるんだ。」
その言葉にじー様は自分の秘書を見た。
「誰がそんなことを・・・私は知りません。」
きっぱりと言い切った彼女
「いったよな。大勢の前で、自分が婚約者になれたって。」
俺の言葉で彼女が青くなるのがわかった。
「誰が、そんなこと・・・・小林さんね。彼女がそういったんでしょう?きっとあなたの気をそらしたくてそんなことを言ったんですよ。あんな女の言うことなんて聞かないでください。」
あせってベラベラしゃべりだす彼女
「あんな女ね。どこのどいつが、気を引くために婚約者がいるって吹き込むんだ?そんな奴いないよな?あきらかに自分が不利になるようなこという奴なんか」
きっと俺はいつも以上に冷たく言い放ったんだと思う。この女は自分勝手に噂を巻いておいてそれをさぁやのせいにしようとした。
しかもあんな女扱いをして。
「でも・・・」
彼女は中々怯まなかった
「あんな女といったが、悪いが俺が結婚したいと思っているのは、あんたじゃない。彼女だ。それに残念だが、彼女が俺を追いかけているわけじゃない。逆だ。俺が彼女を追いかけているんだ。何も知らないくせに彼女のこと 悪くいうのはやめろ。」
さすがのじー様もめったに感情を見せない俺を見て驚いている。
「信雅、わかったから落ち着け。」
真っ青になった彼女と俺を見比べて言った。
「俺の話は終わりです。無礼な邪魔が入って夕食の約束が取り付けられなかったので失礼します。」
俺は社長室を出て行こうと 振り返った。
「まて、信雅お前をちょうど呼ぼうとしていたのだ。君は下がりたまえ。」
秘書は、いそいそと社長室から出て行った。
きっと彼女は、もうこの会社にはいられないだろう。
自分で蒔いた種だ。
いままでのようにこの噂を野放しにするつもりは、まったくない。
それに、同情するつもりもない。




