1.転校生が美少女だったら学園ラブコメは成功する! と思う……
高校二年生初日。
「いってきます」
そして俺、加瀬新汰は早足で学校に向かった。
「お~い、新汰」
「よっ、健汰」
途中で親友と合流してまた歩き始める。
実は、俺ら2人は意外と有名というよりか、この隣を歩いている若松健汰が有名である。見た目は、ザ・美少年で女子から絶大な人気を誇っている。俺が学園ラブコメの主人公なら敵に回したくない。なのに、彼女欲しくないのかと聞くと「今は彼女は要らないかな」とかいうんだぞ!
くっ、許せね~な、こんにゃろ!
「どうしたの、顔怖いよ」
「い、いや~、ちょっと緊張してきて(笑)」
しまった、顔に出てたか! まあいい、話の続きをしよう。
気になる俺はというと、健ちゃん親衛隊(少数だが男子もいる)から健汰と比べられて『ハズ汰(ハズレの新汰)』なんて言われている。まあそりゃ~、見た目はかっこよくないし、女子と話す勇気もない落ちこぼれっていうのは自覚あるんだけどさ……
しかーし、俺はこの春休み、勇気を出してとあるライブアプリで女性配信者に「どうしたら女の子と話せますか?」と質問したり(その後、リスナーが「陰キャ乙」、「笑笑笑」などと送っていて傷付いた……)、滑舌を鍛えたりとできることを頑張った!
これで、高2デビュー果たして女子友ゲットだぜ!
▽△▽△▽
1ヶ月後、、、
無理無理無理!
健汰に寄ってくる女子達には空気のように扱われるし、自分から喋ろうとしても足が動かねーし!結局、勇気出せずに1ヶ月経ってるよ!
……ハズ汰ハズ汰ってバカにされてたけど、実際そうだったのか……
チャイムが鳴ったので仕方なく座った。
先生が、教室に入って来ていきなり
「みーんなに、とってもいい知らせがありまーす。それは、転校生がこのクラスに入ることになりました! じゃ、入って」
刹那、クラス全員が固まった。
なぜかって?そりゃもう、めっちゃ可愛かったから。整った顔立ち、大きな赤い瞳、さらさらな白髪は地上に舞い降りた天使のようだった。これは、多分、健汰より美形だ。
「初めまして、日向・アリアと申します。これからよろしくお願いします」
「1ヶ月経っていい機会だし、席替えしましょうか」
先生がそう言った瞬間、「「「おぉー!」」」と歓声が上がった。
怒涛の転校生のお隣争奪戦がはじまるのだった。
結果、後ろの2つ飛び出ている席に転校生と俺が隣になった。めっちゃ嬉しい!けど……皆の視線が怖い…… 「ハズ汰のくせに」とか聞こえてくるし……
少し心に傷を負いながらもSHRは終わった。
SHRが終わるや否や、転校生の周りはクラスメートで埋まり、俺は健汰の所に避難するのだった。
「アリアさん人気だね~」
「おい、のんきだな。俺は皆から殺されそうだったぞ!」
「あはは、けどこれってチャンスじゃない?」
「え?」
「この前、女子友欲しいとか言ってたじゃん? じやあ、転校してきたばかりで不安な乙女に色々教えて仲良くなって友達になればいいんだよ!」
ハードル高すぎだろ!いや、ここで逃げたらなにも始まんねぇーな
「まあ、頑張ってみるわ」
▽△▽△▽
とは言ったものの、あまり話さず本日最後の授業が始まった。このままじゃダメだ、けど勇気がでない。なにかきっかけがあれば……
すると、転校生の消しゴムが俺らの机の間に落ちた。
チャーンス!と思い手を伸ばすと転校生の手に触れてしまった。えっ、女子ってこんな手、スベスベなのか!?やべぇ、やべぇよ、こりゃ~
が、次の瞬間、転校生が「ゲッ」と言った。
え、そんなに俺に触れるの嫌だったの……
女子の手に触れられた喜びと、一瞬で嫌われたショックと、女子に話す緊張が混ざったカオスな表情(※閲覧注意)を転校生に見せて消しゴムを渡した。
そこであることに気づく。
それは、転校生の後ろに黒い翼、角、尻尾がある(それ以外は人間っぽい)悪魔らしきものがいることに。
いやぁ~、ただの幻覚でしょ。
目をこする→転校生の方を見る→まだいる
いやいや、こいつは不審者だ。
「先生、不審者がいます」と転校生の方を指差す→「アリアさんは不審者ではありません!」と怒られる→皆から殺気が飛んで来る→まだいる
あ、そういうことね
全てを察した後、「やっぱ、何でもありません」と言い、授業を再開させたのであった。
(つづく)
『美少女と始める学園ラブコメ改造計画』を読んで頂きありがとうございました!
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