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エピローグ
まぶたを開けると灰色の空があった。どうやら生きていたらしい。顔を横に向けると、山さんがこっちを見ていた。
泣いていた。顔をくしゃくしゃにして。
そして一言
「アゲちゃん……生きてて良かった……」
山さんの泣き声だけが、響いていた。
***
あの闇の中での話はまだはっきりと覚えている。しかし、その前の記憶がどうにも曖昧だ。
山さんに聞いたところ、あの時私は古い民家の上に落ちたらしい。屋根の木材が朽ちていたのが功を奏した。かなりの落差だったので、大怪我から免れることはできなかったが、死に至るほどではなかった。いろんな骨が折れてるみたいなので、今は絶対安静だが、そのうち治るだろう。その時には、また山さんとあの仕事をしよう。
この、氷雪の上で。
これで完結です。
半年もありがとうございました。




