女同士なら無問題!?
「北島、ちょっといい?」
「何、荒川さん?」
オレは今、電アシボードで北島とふたりで、夕方の街を疾走している。
行先は、学び舎から電アシボードで小一時間のショッピングモール、彼女の情報では女学生の息抜きの場になっているらしい。
ちなみに、電アシボードというのは、スケボーに動力がついたような代物で、オートバランサーがついているから、誰でも簡単に乗れる。
小梨は、自分が走る方が早いらしく乗ってないけど、最近乗る人が増えている代物だ。
――自分も前の体の時に、乗った事だけはあったのだ。
「これってさあ、二人乗りヤバくないの?」
オレは顔をなでる風に、顔をひきつらせながら後ろに居る北島にたずねた。
今の状況は、狭いボードの前にオレ、後ろに北島。
つまり、二人乗りと言うやつだ。
「荒川さん、自分の電アシボードは二人でも大丈夫」
彼女は笑顔でそういうけど、でも、これは確か一人乗りだった筈だよ……。
前、悪友と2ケツやって派手にこけたし……。
「そう言うものなの?」
オレがうさん臭そうな表情をすると、荒川はいたずらっぽい笑顔を浮かべながら、
「こんな感じで体を密着させればね」、と、返事をかえしてきた。
「あっ!」
次の瞬間、彼女は満面の笑顔で背後からオレの胸に手をまわし、彼女の体を密着させてきた。
背中に北島の柔らかい物の感覚が伝わる、同時にオレの胸を包むように彼女に触られる感覚も。
何か不思議な感覚に、オレは思わず甘い声を上げ、表情を曇らせる。
「何するんだよ……!!」
「荒川さんって、意外と敏感なんですね」
北島は、オレの胸をさらにもみながら、いたずらっぽい笑顔を浮かべる。
彼女が男なら、ラッキースケベを通り越し、間違いなくチカンの現場だろう。
悲鳴を上げ、相手にビンタの一発でもかます状況だ。
――でも、これは女同士だから、胸を揉んでも、ただのスキンシップで済んでまったく問題無いんだろうけど……。
人の胸を勝手に触られるって、あゆむなら、まあ何時もの事だから気にしないけど、コイツに触られるって、なんか納得いかないなぁ……。
「お前も、こんな時に触るなよ……コケても知らないぞ。
――自分は意外と敏感肌なんだからさ……」
オレは彼女の予想外のスキンシップに顔を赤らめながら、思わずポツリ呟いていた。
天使である自分は、神経密度が増しているから敏感なんだよなぁ……。
「ふ~ん……。
荒川さんも、そうなんだ……」
北島は体をオレの体に密着させ、笑顔を貼り付けながらも、口角を少し歪め、いたずらっぽい笑みを浮かべていた。
この娘の笑顔になんか、引っかかるんだよなぁ……。
そんな事を思いつつ、オレたち二人、暮れかけた街中を疾走してゆく。
きりがよいのでここで投稿です~。
残りは早いうちに出します!