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意思統一

王国元帥セレネ=クリシュタンドを挟むように、その補佐役エルーガ=ファレン、アルベリネア――クリシェ=クリシュタンドが奥の席へと座る。

その背後には鉄板に貼り付けられた王国地図が立て掛けられ、そこにガーレンの手により磁石がいくつも貼り付けられていた。

来たるべき王国防衛戦に備えた戦略図。

ここは王城内にいくつか存在する会議室の一つであった。


いつものように従兵は黒旗特務――ここで話される内容は極めて重大な軍事機密である。

王城内であってもこの場には使用人の一人もおらず、集められているのはクリシェ配下の軍団長三人とエルーガの独立軍団の長クイネズを除けば、基本的に将軍とその副官のみ。

ここで話される内容を不注意であっても外で漏らし、流出させたならば将軍であっても免職、悪質であれば文字通りに首が飛ぶ。

一人美味しそうに紅茶を飲むクリシェを除けば、誰もが真剣な面持ちであった。


内戦でどちらにも加担しなかった王国中央の将軍達の真剣さはセレネ達に比べてなお強い。

それだけ重大な会議に出席を許されると言うことは、同時にある程度の信を置かれているということも意味する。

彼等には内心安堵もあった。


内戦後の処罰こそ甘いものであったが、クレシェンタは旧女王派の人間で周囲を固めている。

先日の粛正を思えば蚊帳の外にされる可能性もあると思っていた彼等にとって、この会議への参加は非常に大きなもの。

その信頼を取り戻すチャンスである。

欠席などあろうはずもなく、やる気に満ち溢れている。


「以上が基本的な王国防衛の戦略となるわ。質問はあるかしら?」


セレネもまたそんな彼等の表情を眺め、内心で満足していた。

女王暗殺未遂の一件からはやり過ぎなくらいに鞭を打つことになってしまっている。

過剰な恐怖を与えているのではないかという懸念があった。

しかし彼等の様子を見ると、その心配はひとまず不要。

頭は切り換えられているようで、彼等は自らの責務を果たすため、そしてここで成果を出すべくこの場に臨んでいる。


まず最初の懸念は解消されたとセレネは密かに安堵していた。


「元帥閣下、よろしいでしょうか?」

「どうぞ、ゴッカルス将軍」


片目を潰した刃傷、虎髭を蓄え、体格の良い男らしい男であった。

中央に残る五人の将軍、その中では最も発言権を持つ男だろう。

ゴッカルスは立ち上がると敬礼し、地図を見ながら告げる。


「どうにも元帥閣下は三国同時の侵攻のみを想定しておられるように思えます。意図すること、懸念する所は理解しておりますが、しかしあまりに弱気な対応ではありませんか?」


今回行なうのは王都中央圏に絞った防衛線の縮小、再構築、それによる内線作戦。

東部、南部、西部の王国領土を一時放棄し、防衛線を縮小することによって王国中央との連携を強め、敵攻勢に対し持久する、というものであった。

アルベラン王国は比較的豊かで、経済的にも軍事的にも強国と言えるが、だからと言って二国を同時に相手取れるほどの体力などない。

一国に対しては優勢を取れても二国に対しては明確な不利、三国同時となれば言うまでもないだろう。

全土防衛を最初から諦める理由はそこにある。


「相手にも思惑の食い違いはあるでしょう。お世辞にも仲が良いとは言えぬ関係です。一時的な同盟を結ぶにしろ、必ずしも完全な共同歩調を取ってくるとは思えません。まず先んじて、こちらから一国の侵攻を完全に潰しておくのも悪くないと考えます」


言葉通り、悪くない提案であった。

少なくともゴッカルスは頭の悪い将軍ではない。


「東にはヴェルライヒ将軍、南にはガーカ将軍、そして西にはキースリトン将軍。いずれも知勇優れた方々です。中央から戦力を出し援護すれば、向かってきたいずれか一国を返り討ちにすることも不可能ではないでしょう」


セレネは微笑を浮かべて頷く。

彼の言葉は勇敢であり、やる気に満ちていた。

優美な金の髪を揺らしてセレネは頷き、口を開く。


「勇敢ね。あなたのような将軍が味方にいることは心強いと思うわ」

「は」

「あなたの提案はとても魅力的なものよ。あなたが懸念するのは領土喪失による国力低下によって、王国が追い込まれること。そうね?」

「は。仰るとおりです、元帥閣下」


セレネは美麗な顔を満足げに。

上座に座るには幼く見え、けれど漂う気品はそれを補うほどに魅力的であった。


「真正面からの決戦を行えるのであればもちろんあなたの言う手段は素晴らしいものだわ。けれど相手が誘いに乗ってこなかった場合、こちらはその方面に広大な防衛線を抱えたまま、戦力の多くをそこへ釘付けにされる可能性がある。この状況では確実性のない手段は取れないわ」


一国に集中して戦力を投入し、それで決戦となれば良い。

まず一国、それで打ち破ればその選択は最善の結果をもたらすだろう。

だが、相手が決戦に応じなかった場合――つまるところ兵を引いて持久戦に出た場合が大きな問題であった。

相手は攻める気を見せたままそうして戦力を貼り付けさせ、残る二国が他二方面を攻めて突破するか、こちらの我慢が限界を迎えるまで待てばいい。

それこそ、横から攻撃を加えるよう他二国に協力を要請することもできるだろう。


「我慢比べになったら三対一だもの。有利なのは向こう。この作戦の目的、その第一段階は敵の兵力を王国領土内へ完全に引きずり込むことにあるの。……ガーレン」

「は」


ガーレンはセレネの背後――地図の上で敵を示す磁石を動かした。

それら全てを王国領土へ誘い入れるように。


「相手はこちらの領土に踏み込んだ以上、その占領のために必然力を割かざるを得ないわ。そして、そんな風に一度絡みついてしまえば、相手は撤退の選択肢を封じられる。少なくとも容易には撤退を選ぶ事なんて出来ないでしょう」


敵地占領のためあちこちに派遣される担当官。

現地での兵站確立のために走り回る商人や士官。

広大な領土を自ら手放すのは、彼等を土地に縛りつけるためであった。

一度動き出せば旗色が少し悪いから、などと兵を引くことなど出来はしない。


「戦うことなく領地を手にし、アルベランなど恐るるに足らず――相手の兵も民衆も、更なる侵攻をと叫ぶでしょう。わたしたちの狙い目はそこ」


人間手にした成果をそう易々と手放せないものだ。

知恵の働くものであれば懸念を覚えても、多くの者はそうではない。

そして集団は、その流れには逆らえない。


「あなたは弱気と言ったけれど、実は真逆よゴッカルス将軍。勇敢なあなたの考えと同じく、これは確実に相手を絡め取って、確実に返り討ちにするための戦略なのよ。手段が少し違うだけ」


クリシェの提案した内線作戦。

それをもとにセレネやエルーガ達が何日も掛けて練り上げたものが、この構想であった。


「……返り討ちに」

「ええ、最終的には失われた領土全てを取り戻すの。三国を相手にね」


人を食ったような元帥の笑みはどこか可愛らしく、けれど力強くあった。


「きっとこれは王国の歴史――いえ、周辺国全ての記録に残る大決戦。ここにあるあなたたちの名は、未来永劫各国の戦史に刻まれるでしょう。追い詰められたアルベランを、勝利に導いた英雄達として」


軍人としては幼き15の少女。

けれど彼女は熟練の武人を前に怖じけることなく、挑むように続けて見せる。


「ふふ、どう? 続きに興味は湧いたかしら?」


美しく、けれど猛禽のように荒々しく。

そのちぐはぐな姿は、今は亡き英雄にどこか似ていた。


ゴッカルスもまた応じるように。

愉快そうに笑みを浮かべて、敬礼すると頷いた。


「くく、迅雷の名は死なず。これは中々してやられましたな。私の浅慮な指摘などは最初から折り込み済みというわけですか」


セレネは笑みを濃くして、ゴッカルスもそれに同じく。


「しかし、その仰りようには実に興味がそそられる。続けてくださいますか、クリシュタンド元帥閣下」

「ええ、もちろん。……ファレン」

「は」


エルーガはその邪貌に刻むような笑みを見せ、立ち上がる。

セレネの役割は掴みであった。

三国を相手には王国の全てをぶつける必要があるが、問題は内戦で生じた溝。

クレシェンタと共に戦ったクリシュタンドと違い、彼等は中立であった。

女王から信頼されていないと感じていることは間違いないし、身内人事で元帥となったセレネを見れば軽んじられているとも感じるだろう。

当然セレネに信頼を置いてもいないだろう。

そうした意識の生み出す傷は隙となり、戦争状態ではそれが決定的な裂け目となりうる。


わざと会議に暗い雰囲気を作り、持久、などと弱気に見せたのは彼等を誘うためであった。

自分達も会議に参加する、同じ王国軍の一員であると認識させるため。

そしてセレネという年若い元帥にその意識を向けさせるため。


ゴッカルスはその点素晴らしい発言者であったし、そしてセレネも見事その空気を掴んだ。

良い流れだとエルーガは満足げに頷く。


そしてここからは、彼女の若さを補うため。

エルーガは経験豊富な補佐として、彼女の言葉を確たるものとするため口を開く。


「元帥閣下のお話にあったとおり、これは誘引。相手を確実に仕留めるための罠だ。彼等は必然、王都侵攻への足がかりとして――そしてこちらの動きを封じるため、王都への道を囲うように強固な殻を作るだろう」


王都を守る防衛線――ウルフェネイトをはじめ、王都圏への入り口となる三つの地域をエルーガは示した。


「こちらが打って出るにはその殻を破らねばならぬが、逆に言えばこれは、敵主力を確実に決戦へ引きずり込めるということを意味する」


王都圏の外にある各都市は餌であった。

占領地域は無血占領を行えたとしても、常に反乱の危険を孕むもの。

それを放置することなど絶対に出来はしない。

兵力を分散させ、彼等は武力によっての治安維持を図る必要がある。


真正面に殻を作る一軍を砕いてしまえば後は各個撃破で殲滅が可能というわけだ。

当然彼等もそれを恐れるがゆえ、その殻を強固なものとするだろう。

そして彼等が殻を強固にすればするほどに、打ち破った際に与える打撃も大きい。


「王国中央軍は二つに分ける。クリシェ様を筆頭に敵の殻を打ち破ることのみを目的とした軍と、戦線の維持防衛を目的とした軍。諸君らにはまずこちらに当たってもらうことになるだろう」

「我々が行なうべきは戦線の維持のみ、というわけでしょうか?」


やはり信用はされていないのかと、ゴッカルスや他の将軍達は眉を顰めた。

戦線維持――それだけではあまりに旨味のない仕事、何の名誉もありはしない。

しかしエルーガは邪貌を歪めた。


「早合点だな、ゴッカルス将軍。まずは、と言っただろう。むしろ戦果を挙げるのは諸君らとなる」

「……我々が?」

「そう。アルベリネア直轄軍と東西南、四つの軍は敵主力の打破、殻の解放のみを目的とする。諸君らはそうして作られた穴を速やかに突破し、一気に敵後方へ浸透――敵後方部隊を各個撃破し、戦果拡張を行なってもらう。敵侵攻軍に致命的打撃を与える役目だ。むしろこの戦いにおいて助攻はクリシェ様、主攻こそを諸君らが担うことになる」


先ほどとは真逆。

おお、と将軍達は顔を見合わせ、だがゴッカルスのみが渋面を作る。


「栄誉ある役目――しかし、良いのでしょうか。それではあまりに――」

「国家危急の時、我々は一致団結せねばならぬ。こちらにいらっしゃるセレネ様、クリシェ様もご納得の上でのことだ」


戦果拡張ほど旨味のある仕事はないだろう。

常に優勢の戦いを行える上、此度のような防衛戦であれば解放された街からの称賛を一身に受けることとなる。

民衆から得られる名声、そしてその栄誉は武人にとって容易く捨てられるものではない。


それ故ゴッカルスは困惑し、エルーガを見た。


「求めるべきはただ勝利を。我々は王国、女王陛下の剣であり、そして手にする栄誉はそれだけで良い。まずは何よりも、勝利のために最善を尽くしそれを手にする。そのためならば手柄の大小など些細な事だ。全て勝利あってこそのもの――とはいえ、これは建前だな」


エルーガは笑って告げ、見渡す。


「諸君らには内戦後の人事に関して大いに不満があるだろう。内戦前までは単なる軍団長であった私が副元帥、元帥閣下は未だ15。仕方ないことと思いながらも、その内側には納得のいかぬものが渦巻いているのではないかと思う。……だろう? ゴッカルス将軍」

「くく、明け透けに仰る」


問われたゴッカルスはエルーガと同様、周囲――中央将軍を眺め、彼に頷く。


「なんの感情も抱いていないと言えば嘘になりましょう。あの王弟殿下を相手に、女王陛下を勝利に導いたあなた達の力について疑うものはない。称賛すらを抱いておりますが……しかし、理性と感情は別なるもの。少なくとも私などは、何故あの内戦でそちらに加担しなかったのかと後悔しておりますよ」


冗談めかして両手を広げるゴッカルスに、エルーガは満足げに頷いた。

そして続ける。


「内戦によって女王陛下にご信任頂けたことは何より嬉しいものではあるし、そのご寵愛を独占したいという誘惑もあるが、我々が得たものはあまりに過分とも言える。……この王国の未来を我々だけで担うことができるなどと奢ってもおらんのだ。王国の未来のためには、共に剣を取ってくれる仲間が必要――」


エルーガは言って、中央将軍一人一人と視線を合わせた。

鋭く、威圧感を伴った瞳。

邪貌の老人は、その老いを感じさせぬほどの覇気に満ちていた。


「――これは戦後を見据えた契約だ。諸君らを同じ船に誘うためのな。この戦で手柄を挙げその武威を証明するならば、今後、内戦時の立場などを問うつもりはない。そして女王陛下にも同様、今後はそのように諸君らを扱って頂けるよう願い出る。この名に誓って、諸君らに報いると確約しよう」


そこまで言い切ると、エルーガは頬を吊り上げる。

どこまでも邪悪で、力に満ちた笑みであった。


「元より貴族とは戦士を示した。政治的な立場ではなく、何よりも武を重んじ、尊び、ただ剣としての美しさを競い合うもの。裏があるのではないかと疑う者もあるだろうが、いつしか狂い歪んだものを本来の形へ戻すだけだ。少なくとも私が期待するのはそれだけであるし、そうであると諸君らにも信じてもらいたい。……どうかね?」


再び水を向けるのはゴッカルスであった。

ゴッカルスは僅かに目を閉じ、それから胸を叩くように敬礼する。


「しかと。少なくとも来たるべき戦が終わるまでは些事を忘れ、無私なる剣として女王陛下にお仕えすると、私もこの名に誓いましょう」


エルーガは答礼を返し、他の者へ。

他の将軍達も不揃いながら一人一人立ち上がり、戸惑うようなものもあったが、最終的には敬礼を行なう。

それらの光景を眺めていたセレネは満足げに頷き、立ち上がって彼等に答礼――軍団長達がそれに続き、クリシェだけが紅茶を飲んで座ったまま、感心したようにエルーガを見ていた。


意思統一というのは軍隊組織において何より大切なものだ。

命すらを数字に変える世界を維持するのは、各個人を繋ぐ共通観念。

特に今回一番の問題は敵の打破よりも身の内にあったのだが、中央将軍の様子を見る限りその辺りは随分と解消されたように見える。

彼等の頭を飛び越えて出世したことを考えれば、愉快な気分であるはずもなく。

彼等は多くの不満を抱えた不穏分子であったのだが、その点セレネもエルーガも上手くやったように思えた。


クリシェもこういうことを上手に出来れば良いのですが、と考えながら、その空気に混じることなく紅茶を啜る。甘ったるい紅茶に頬を綻ばせる。

その様子を傍から見ていたミアとカルアは、この先彼女がこういうやりとりを出来るようになる日は一生来ないのだろうなぁ、と呆れたように彼女を見つめた。







そこから大まかな動きについての解説と、戦力の振り分けについて。

その際重視すべき事などを語り、ひとまずそれでお開きに。

後日の会議ではその戦略に関していくらか提案を持ってくることだろう。


中央の将軍は戦場での経験自体は少ないものが多いが、幼い頃より厳しい軍事的教育を施されてきた大貴族の出身者ばかり。

その知識や知恵自体は馬鹿に出来たものではなく、多少の期待をしていた。


終わって彼等は帰っていき、その顔色は悪くない。

ひとまずは成功と言えるだろうと満足げにセレネは頷き、膝の上に座ったクリシェの頬をつまみ、左右にくにくにと弄ぶ。


「落ち着いている間に色んな状況への対処策を詰めておきたいところね」

「そうですな。次の会議では想定される状況に対して細部を詰めていくとしましょう。しかし……中央の将軍と知らず侮っておりましたが、ゴッカルス将軍は悪くない。中々頼りに出来そうな方です」

「そうね。おかげで助かったわ」


ゴッカルスは大きな戦には出たことのない将軍であった。

とはいえその戦歴は安定したもの。

優勢な戦場が多々とはいえ、細かい戦では無数の勝利を重ねていた。

実力には疑問が残ったが、あの様子ならば大丈夫だろうとエルーガは頷く。


「中央のまとめ役になってくれるといいけれど」

「そうですな。後日直接話をしてみましょうか」

「お願いするわ」


セレネは言ってクリシェを抱き起こし。

声を掛けたのはガーレンだった。


「セレネ、少しクリシェを借りても良いか?」

「え? はい……いいですけれど」


セレネは首を傾げ、クリシェはどうしましたか、とガーレンに尋ねた。


「少し話がある。用事が無ければ付き合ってくれ」

「ええと……はい、おじいさま。軍のことでしょうか?」

「まぁ、それも含めてだ」


ガーレンは答え、セレネは心配そうに眉を顰める。

セレネの余裕がなく気を回せずにいたが、ここのところガーレンはいつも難しい顔をしていた。


「あの、ガーレン様、今回の事は――」

「改めて、クリシェと話したいだけだ。そう心配するな。……クリシェ」

「はい」


ガーレンは先へ歩き出し、クリシェはとてとてと、ガーレンを窺うようにしながらそれに続いた。

セレネは困ったように、大丈夫かしらと静かに漏らす。


「……ガーレン殿は自他に厳しい方に見えますが、まぁ大丈夫でしょう。クリシェ様のことをとても愛しておられる」

「……だといいけれど」

「クリシェ様とは誰より付き合いの長い方。そう心配なさるな」


セレネの肩を軽く叩いて、エルーガは優しげに邪貌を歪ませる。

近くにいたミアはそれを見て身を仰け反らせ――ダグラに頭を叩かれた。

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  2024年11月20日、第二巻発売決定! 
表紙絵
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優しげに邪貌を歪ませる > うむ、中々想像できないんだが。 ガイコツは今までの人生、色々損してるだろうなあ。でも解ってくれる奥さんと結婚できた上、クリシェは普通に懐いてくれてるから、全体的には満足に傾…
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