第八話 『古文書』
2099年
~旧第二トーキョー
辺り一面、倒壊した建造物の残骸と焼け野原と化した戦場が広がる。
「ここも何もなくなったな・・・」
タケルはサムライザーから降りると、物思いに口にした。
ダンッ
アールツーはサムライザーから勢い良く飛び降りた。
「タケル。家。岩に埋まった。」
「ああ。」
「埋まった家。なんか用か?」
「まぁな。
ついでだから本部に帰る前に寄りたかったんだ。
ちょっと手伝ってくれ。」
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「おーい。アル。あったか?」
「タケル。この辺。家。埋まってる。」
「よし、じゃあ石をどけるぞ。」
「なんで家。掘る?家。住むもの。」
「掘れば分かる。」
「分かった。」
「よし。じゃ、掘ってくれ。」
「ザックザック。ザックザック。」
「口で言うな。」
「ザァーック、ザァーック」
「お前、ホントの意味で口だけか。」
「ザクリ!ザクリ!」
「分かったから。口より体を動かせ。」
シュッシュッ シュッシュッ
「踊るな」
「ひょっとし~た~ら~♪ひょっとし~た~ら~♪」
「歌うな。
しかも、何だその意味不明な歌は。」
「アル。自作。ひょっとしたらの歌。」
「聞いた俺が悪かった。」
「タケル。悪い。悪者。」
「いいから掘るの手伝え。」
「はーい。」
ズゴッ!
アールツーは巨大な岩を持ち上げた。
ポイッ
ズゴォォォーン!!
アールツーは持ち上げた巨大な岩をほうり投げた。
「タケル。家。出てきた。」
「はじめからやれっつの。」
タケルはどかした岩のすき間にあった窓から潰れかけた家に入る。
「うお。
中もめちゃくちゃだな。こりゃ。」
「タケル。アルも中。行く。」
「おめーは待ってろ。
お前みたいなデカブツが入ってきたらマジで、」
「このドア。開かない。」
「そりゃそうだ。
家がかたむいてっからな。だから待って、」
ズゴォォーーーン!!
アールツーはドアをブチ破った。
「タケル。来ちゃった。」
「・・・・。」
「タケル。何か探し物か?」
「あー。まぁな。」
ガチャッガチャッ
タケル達は割れたガラスを踏みつけて奥へと進む。
「あったあった。これだこれ。」
「タケル。それタケルのギター。」
「ああ。これがなきゃな。」
「アル。音楽大好き。ベリーマッチ。」
「おめーはもともとリズムマシンだろが。」
「マシン。違う。アンドロイド。」
「分かった分かった。」
「これで、タケルとセッション。」
「そーだな。もう一度、バンドでもやりてーな。」
「ヘアバンド。」
「よし、じゃ帰るぞ。」
「タケル。無視。悲しい。」
「お?つーか、おめーは何を手に持ってんだ?」
「これ。転がってた物置の中にあった。」
「どれどれ。うちのか?」
「ドレドレドレミ。」
「なんだこりゃ。
やたら古い文書だな。」
「またタケル。無視。悲しい。」
「古文書ってやつか?」
「タケル。字。読めない。バカ。」
「バカ言うな。ボケ。読め、、」
「やっぱり。読めない。アルに貸す。」
「いや、字が古くてだな、、」
タケルはアールツーに古文書を渡す。
ウィーン
「読み取り中。読み取り中。」
「お前、そんな機能があったのか・・」
「読み取れた。」
「なんて?」
「これ300年以上前の紙。
ニホンの文字。
汝、いにしえの侍と成り、
その音に共鳴する者たちとともに過去を変える時、
未来を救いし者となる。
と書いてある。」
「あ?なんじゃそりゃ?」
「タケルの先祖。書いた。」
「俺の?」
「タケル・・・」
「なんだ?」
「お腹へった。」
「・・・。」
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~新トーキョー郊外
ギターを持った男がひとり、遠くから町を眺めている。
「ミヤモト・・・」
~第八話 『古文書』終わり
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<次回予告>
男は孤独を好んだ
男は酒を好んだ
男はタバコをくわえた
男はギターを愛した
男は銃を手にした
男の名はブロウザガンドリクス
次回『孤高のガンマン』
男は何のために己を超える男を探すというのか・・・