第四話 『陰謀』
2198年
~特務機関SNK内部
「リンダや・・。」
「あっ。おじいちゃん。」
「どうやら完成してしまったようじゃな・・・」
「・・・うん。」
「お前が何をしようとしてるのか、よう分からんがの、
ひとつだけ約束しておくれ。
必ず、生きてワシのもとへ帰ってくるとな。」
「・・・おじいちゃん・・・」
「お前は強い子じゃ。その約束、必ず守れると誓えるな?」
「・・・うん。」
「・・・よし。
後のことはワシに任せて、お前は好きなようにやってみなさい。」
「ありがとう。おじいちゃん。」
「チーフ!」
隊員が遠くから声をかける。
「なに?」
「司令がお呼びです!」
「分かったわ。」
ジルはリンダの腕を掴む。
「リンダや。これを持て。」
ジルはリンダに小銃を手渡そうとする。
「気をつけるんじゃ。司令はお前の行動を察している。
もうすでに上からお前を消すように命令が下されておるやもしれぬ。
もしもの時は・・・」
「だいじょうぶよ。おじいちゃん。
もう心の準備はできているから。」
リンダはそう言うと腰に仕込んだ拳銃を見せ、
ほほ笑みながらその場を立ち去る。
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~特務機関SNK司令室
コンコン
リンダは司令室のドアをノックする。
「技術開発部、リンダ コールフィールドです。」
「入りたまえ。」
中から低い声がする。
「失礼します。」
「・・・・。」
「ゲリアス司令。お呼びでしょうか?」
「・・・・。君を呼んだのは他でもない。
時空転送装置の開発進行状況を聞きたかったまでだ。」
「!?」
「極秘に進めている割には情報が駄々漏れだな。」
「・・・」
「完成おめでとう。
悪いが私も立場上、君に勝手な真似をされると困るのだよ。」
カチャッ
ゲリアスの部下が後ろからリンダの頭に拳銃を突き付ける。
「手荒な真似はしたくない。
何せ、君は人類を代表する頭脳の持ち主だ。
こんなつまらんことで私も君のような若く優秀な部下を失いたくはない。」
「くっ・・・」
「あの装置は破壊する。」
「!?」
「そして、もう二度とあの装置の開発は行わないことを今ここで誓え。
それができなければその優秀な頭脳に穴が開くことになるぞ?」
「・・・・・。」
「悪く思わんでくれ。君がしていることは大罪なのだ。
人類の過去の罪を暴く必要がどこにあるのかね?
君がしていることはただの職権濫用だ。」
「私はそのようなつもりではありません。
100年前の伝説の戦士へあの装置を介して接触を・・」
「ウハハハ。笑わせるな。コールフィールド君。伝説の戦士?
幻魔人を滅ぼすのは科学の力だけだ。君が一番わかっていたのではないのかね?
そんなバカげたことでこんな大それたことをしていたとは知らなかったよ。
天才というのは理解できんな。」
「司令。先ほどから伺っていると、
過去を知ることに問題があるとおっしゃっているように聞こえますが?」
「その問い自体が要領を得んな。」
「ご心配には及びません。あの装置では人間ほどの物質量が時空を行き来することは不可能です。」
「そういう問題ではない。
君をこれから拘留する。気が変わったらまた話をしよう。
連れていけ。」
「はっ。」
「ちょっ、なに!?放して!」
リンダはゲリアスの部下に取り押さえられる。
「おっと、その前に、装置のキーを渡してもらおうか。」
「キーはありません。私しか起動させることはできませんから。」
「ふっ。小賢しい。
まぁいい。君が私の言うことを聞かなければ君の命はないのだから。
牢屋で考えを改めるんだな。」
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~特務機関SNK B棟 地下室
「中へどうぞ。」
ドンッ
「キャッ!」
ゲリアスの部下はリンダを真っ暗な部屋へと押し込めた。
ガチャン
部屋の扉は閉ざされ、鍵がかけられる。
カチャ
「また司令と話す気になったらお呼び下さい。」
そう言うと男は去っていった。
「ふぅ。」
リンダはその場へ座り込む。
「(司令は上からの指示で私を消す気か・・・。
どの道、あれがバレた以上はここを抜け出せてもただでは済まないわ。)」
ジーッ
(リンダ。応答せよ。)
「え!?・・・オジイチャン!?どこ?」
(さっき小型のトランシーバーをお前の服に仕込んでおいたんじゃ。
どうやら捕まってしまったようじゃな。
今どこじゃ?)
「たぶん、B棟の地下よ。」
(司令はお前を消す気じゃな。
こりゃえらいことになったわい。)
「おじいちゃん。司令は過去に拘っているわ。
過去に何か私たちが知ってはいけないものがあるの?
時空転送装置を恐れる理由は何?」
(わしにも詳しいことは分からん。
じゃが、歴史に残らない闇を暴かれては困る人間が
政府には大勢おるのは確かじゃろうな。)
「闇・・・。
つまり、トップシークレットが世界に大きく影響する悪を秘めている・・・」
(そうかもしれんな。
100年と少し前の巨大隕石と共に落下した未確認生物。
幻魔人。
幻魔人との百年戦争へ突入し、
最大規模の核兵器による幻魔人襲撃を行ったエヴィルボム。
それらの事件により、この黒い雨が降る世界が出来上がった。
歴史の上ではな。
じゃが、幻魔の誕生は本当に隕石の落下が原因なのか、
エヴィルボムの大義はあったのか、それは今となっては・・)
「まさか!?」
(分からん。
じゃが、上層部がお前の発明にここまで敏感になっとるとなると、
何か隠された闇が存在するのじゃろう。)
「・・・・おじいちゃん。わたし、行くわ。」
(何を急に。何処へ行こうというのじゃ?)
「決まってるでしょう?
過去へよ。」
~第四話 『陰謀』終わり
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<次回予告>
敵は己を強くさせる
同志は己に戒めを与えてくれる
好敵手は己の人格を成長させる
次回『砂漠の海賊』
男は敵か味方か・・・・




