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SAMURAI 近未来冒険活劇  作者: 姫宮誠
第1章 SAMURAI
3/28

第三話 『戻れない世界』

2099年



~空賊第二アジト渓谷




空賊の隊員達や子供たちは、

空賊のリーダーであるタケルの帰還を歓迎していた。



ザワザワ


「タケル兄ちゃんが帰ってきた!」


「サムライザー!カックイイ!」


「いいなー。ロブのやつ。サムライザーに乗せてもらって。」


「なんでロブがタケルさんのサムライザーに乗ってんの?」


「バカ。

ロブはさっき賊にさらわれたとこを

タケルさんに助けてもらったんだぜ。」


「なんでロブなんかさらう必要があるわけ?」


「知らん。」




「リーダーのお帰りだ!おーい!みんな出てこい!」




「この間の旧トーキョーはタケルさん1人でやったんだって。」


「バケモノと?」


「応援を待たずに突撃よ。」


「相変わらず怖い物知らずだなぁ。」


「死にたくねーけど、前線でやりてーよなー。」


「死にたくても死なねーよ。

本部に行ったらタケルさんといつも一緒だからな。」


「それもそーか。」





「おーい!アルー!」


ロブはアールツーの元に駆け寄った。




「ロブ。ケガ。してない。」


「うん。タケルに助けてもらった。」


「タケル。間に合った。早め。」


「すっごいんだよ!タケル。バカ強かった!」


「ソウデス。タケル。バカ。」




「バカ言うな。ボケ。」


タケルはゆっくりとアールツーの元へ歩み寄る。



「ア。タケル。なぜココに。」


「おめーが呼んだんだろが。」


「タケルコールとナースコールは早めにお願いしてます。」


「意味わかんねーよ。」


「オニギリ。食べるか?」


「話しを聞けポンコツ。」




「タケル!」


「おう。なんだ。ロブ。」


「さっきの山賊。あのまま放っておいていいの?役人にバレたら・・」


「ああ。いいんだ。殺しちゃいねーからな。勝手に帰るだろ。」


「へ?あんなに血が・・」


「俺ぁ、バケモン以外は殺さない主義だ。」


「え・・・・。」


タケルはロブの頭にポンと手を置いた。




「よーし!みんな!作業を続けてくれ!

各班長はオレんとこ集合な!」


「はい!!!」




「あのー。タケルさん?」


一人の隊員がタケルに近づいてくる。



「あ?なんだ?」



「この子なんですけど・・・」


隊員はそう言うと自分の後ろに隠れていた少年をタケルに見せた。


「・・・・。」


少年は黙ってうつむいている。




「こいつ。

この間のB地区の空襲で親兄弟を亡くしちまったようで、

ここに迷い込んできたんですよ。

ここのところうちで面倒見てるガキの数も増えてますけど、

どうします?捨ててきますか?」



「・・・ああ。」



「ですよね?」



タケルは少年に歩み寄る。



「よう。ボーズ。俺の名前はタケルだ。お前は?」



「・・・・・。」


「いや、こいつ。

親が死んだのがよっぽどショックだったのか全く喋らないんですよ。

これじゃ何の使いもんにもなりませんぜ。

さっさと捨ててきますわ。」



「・・・・・。」



「分かった。いいぜ。その調子だ。」



「・・・・?」





「辛いときはそれでいい。黙って悩め。

でもな、お前は生きてる。生きてるから悲しむことも出来る。

悔やむことも、考えることも出来る。


生きていれば何でもできるんだ。

生きる道を選ぶなら、いつかそいつを悟るときが来るはずだ。



いいか?ボーズ。この世界は後戻りはしない。

起きちまったことは消せねーし、死んじまった奴は蘇らねー。

こんな世の中だ。俺らもいつ死ぬのか分からない。


戻らないこの世界で、お前がどう生きていくのか、

それとものたれ死ぬのか、それはお前が決めることだ。」




「・・・・・。」



「生きるか?それとも、死ぬか?


さぁ、選べ。


死ぬなら俺が手伝ってやる」



「タケルさん・・。何も殺さなくても・・。」



「・・・・・。」



「おかーちゃーん僕もう死にたいよー、てか?」


タケルは刀を抜く動作を見せる。




「くっ・・・。」


少年はタケルを睨みつける。




「おお?やるか?」



「・・・どーせ・・・。どーせ死ぬんだ・・・」



「あ?」



「・・・・・早く殺せよ・・。」



「・・・ようボーズ。何、決めつけてやがんだ?

テメーの命。なんで決めつけてやがんだ?」



「・・・・・。」



「ボーズ。決めるのは俺じゃねー。

誰でもねー。

お前なんだ。


お前が全てを決めるんだ。

こんな世界でもよ、なんにも決まりきったことなんざ、ねーんだよ。」





「・・・俺は・・・。俺は・・・」



少年は涙を流しながら言葉を探している。






「お前みてーのに用はねーわ。ほいじゃーな。」


タケルは立ち去ろうとする。






「・・・俺は・・・俺は・・・・」



少年は涙を拭いて前を向く。





「俺は、俺は生きたい!

自分の力で生きたいっっ!!!!!!!!!!

生きて、あいつらを・・・あいつらを・・・・・・」






「・・・・・なんだ。


喋れんじゃん。」




---------



2198年


~特務機関SNK司令室



「ゲリアス司令。ご報告します。」


「・・・・・」


「リンダ・コールフィールド三佐が例のものを・・」


「・・・・分かった。上には極秘で処理する。」


「はっ。」




「・・・・」








~第三話 『戻れない世界』終わり




ーーーーーーー

<次回予告>


人はなぜ人を欺くのか


人はなぜ人の上に立とうとするのか


平等を与える行為こそが最も不平等だということに気づかずに



次回『陰謀』



欲望に取り憑かれた男に少女が見たものは・・・



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