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SAMURAI 近未来冒険活劇  作者: 姫宮誠
第1章 SAMURAI
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第一話 『時の流れを変えるモノ』

2198年


~連邦政府軍事機関談話室



「時にゲリアス君。

先のリンダ・コールフィールドの発言は

人類にとって大きな問題だよ?」


「はぁ。

彼女には処分も与えていますので、

此度の件は何卒・・」



「あの発言は我々にとって脅威となる考え方だ。」


「確かに。

我々は過去の清算を十分にしている。

このうえ何を・・」


「キミ、精算なんて言い方は無しだよ?

我々は何も、」


「これは失敬。」


「だいいち。

あんな小娘にポストを与えたことに問題があるんだ。」


「そうですな。

いくらジーニアスとは言え、考えはまるで子供だ。」


「そんなことはどうでもいい!

うちはSNKに大金を注ぎ込んでいるんだぞ。

これ以上の、」


「まぁ、彼らがいなかったら奴等に対抗できなかったんだ。

歴史の必然じゃないですか。」


「私はスポンサーだぞ?

ゲリアスの運営に口を出すのは当たり前だ!」



「そう焦らずに、皆さんここはゲリアス君に任せましょうよ。」



「いいかね、ゲリアス君。

コールフィールドがおかしな動きをしたら、

その時は・・」




「・・・承知。」




--------


~特務機関SNK内



隊員達は帰り支度をしようと、

ゾロゾロとロッカールームへと入っていった。



「あー、まいったよ。あの爺さん。」


「またやられたか?」


「ああ。いっちゃんお気に入りのやつ持ってかれたわ」


「俺なんか金髪モノ、全部やられたわ」


「使い道ねーのになー?」


「まったくだ。」


「しかし、あの天才爺さんのことだ。

ものスゴイ開発で年齢を超えるチカラを

発揮しようとしているかもしれん。」


「アホだ。」


「まったくだ。」


「その頭を別のほうに向けてくれりゃなー」


「ああ、家族と言ってもチーフとは大違いだ」


「あのタヌキ爺さんと小悪魔的な可愛さのチーフの血が

繋がってるとは・・。」




ウィーン


扉が開く。



「何か言ったか?」



「ギョエ!」


「ジル爺さん!」



扉の向こうには隊員達が噂するジルが立っていた。



「おい。カルよ。

ちょっと例の様子を見てきてくれんか。」



「爺さん、またかよー。勘弁してくれよ。」


「バビバビ言わんと、行くんじゃ。」


「だって、チーフは来るなって・・

(誰もバビバビなんて言ってないし。)」


「分かった。この間の金髪のお返しにスッゴイの

やってもエーんじゃがの?」


「スッゴイの・・・?」


「ああ。スッゴイの・・・。」




「・・・。いやいやいや!

そんなこと言っても、もうヤですよ。

リンダちゃん、最近は殺気立ってて、本気で怒ってますから!

この間だってグーで殴られましたよ。グーで。」


「なにを小娘相手に、大の男がだらしないのー?」


「何と言われようが、もうイヤです!」


「じゃあ、とっておきのやつをやろう。」



「!?(とっておき・・・)」




「・・・・リンダの・・」



「!?(ゴクッ)」



「3Dムービ、、、」




「ええーーーー!!!!?」


「今はもうその存在すらない、3Dカムで撮られた!?」



ザワザワ・・・ヒソヒソ・・・


「この爺さん本気だ。」

「ついに本気を出した。」

「そんなものを個人で開発してたとは・・」

「しかも孫を売る気だ。」

「何が爺さんをそこまで駆り立てるのか。」

「狂気だ。」

「バカだ。」

「バカ過ぎる。」



「ゴホン!!!」



「!?」



「しかーも!!!」



「!?」



「ヌーd、、」


「行かせて下さい。」(笑顔でジルと握手をしながら)

「いや、俺が行きますって!」

「爺さん、俺が行くよ!俺を指名して!」

「いや、俺が!!」

「なんだお前ら!!やんのかグォラ!」

「なんじゃボケイ!」


ドタバタ


・・・・



「ほいじゃ、カル。頼んだぞ。

リンダの世話を頼めるのはお前さんしかいない。」


カルの腹をポンと叩くとジルは部屋の外へ出ていく。


「爺さん・・」





-----------



「(しっかし、爺さんもなんでそこまで心配すんのか・・。

俺には理解できねーな・・。あそこまでする必要あるかね・・)」



カルは考え事をしながら渋々とリンダのもとに向かう。




~開発ルームC


今は使われていないはずの巨大な開発ルーム。

部屋の前のプレートにはこう書いてある。




~入ったら殺します(はぁと)byリンダ~




「あー、こえー。また殴られんじゃねーかなー?

最近激しくなってきてっからなー」


カルは恐る恐るドアをノックする。


コンコン


「あの~・・。チーフ・・?」



返事がない。


カルは恐る恐るドアを開ける。



「し、失礼しま~す・・・」



ウィーン

ドアが開く



「!?(のぁ!?なんじゃこの装置は!?

この間来たときより2倍くらいでかくなってねーか!?)」



カチカチカチカチ・・

シュゴッ

ビービーヴィーン



そこには、とてつもなく大きな機械がそびえ立っていた。



「あ、、あn、」



「話しかけないで。」


リンダは忙しく手を動かしながら

カルの言葉を打ち消すように言い放つ。


「いや、チーフ。ジル爺s、」


「黙って。」


「(なんか、様子がこの間と違うな。

この前はソッコーでぶん殴られて追い出されたのに・・)」



「で、なに?」


少し手が空いたのか、

リンダは作業をしながらカルの話しを聞く。



「いや、ジル爺さんがチーフのこと、心配してて、

様子見てこいって・・」


「またお爺ちゃん?」


「いや、まぁ。」


「お爺ちゃん、心配性なのよ。昔から。

だから気にしないで。もう帰っていいわ。」



「いや、でも今回のは本気で心配してますよ。

爺さんだけじゃなくて、隊員のみんなも心配してます。

特にメカニックの連中はこの間のチーフがお偉いさんともめた件、

知ってますから。」



「それはどーも。でも心配には及ばないわ。」



「いや、マズイっすよ。

俺ら、国の力で国の仕事してんですから、

こんなの勝手に作ってるなんて知れたら

クビになったりなんか・・・」



「ふふ。ありがと。だいじょうぶ。

あなた達には迷惑はかけないわ。」



「そうじゃなくて!俺らはリンダちゃんが、」




「は?・・・・・今、なんて?」



「いや、リンダちゃんg・・・・あ。」



「ねぇ。カル?いつも言ってるよね?

『ちゃんづけ』は・・(コブシを握りながら)」


「ひぃ・・。」


「まぁ、いいわ。今はそんな暇はないから。」



「ふぅ・・」



「で、この間、あれだけ殴られて今回も来たってことは

よっぽどのものをもらったんでしょうね。」



「あーそうなんだよ。あの爺さん、すげー開発しててさー。

リンダちゃんのヌードM字開脚ムービ、、あ」



「へぇー?なるほどねぇー。

(釘のささった金属バットを振りかぶりながら)」



・・・




「ウギャーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」





「上司を『ちゃん』付け及び、オカズにしようとした重罪。

しかもそんなムービーなんてこの世に存在するわけがない。」


「うっ、本気で・・・(泣)」



「頭からピューピュー血を吹きだしちゃったりなんかして、

カルってば大袈裟ねー。」


「あぅ。あぅ・・・」



「だいじょうぶよ。ちょっと撫でただけだから。

これ以上、この星から人間が減ったら困るからねー。」


「冗談になってないっすよ。(泣)」




「・・・この星では人間は産まれてもすぐに死ぬわ。

長い戦争のおかげでみんな先天的な病気を抱えて産まれてくる。

生存できる確率は20%未満。」


「・・・。」


「でも、私たちは生きてる。生きているなら何かしなきゃ。

私は誰に何と言われようと、自分のすべきことをやり遂げたい。」


「・・・リンダちゃん・・・」




ボキッ!ガゴッ!バキ!



「ちゃん付けで呼ばない。」


「あぅ・・」





「カル。私は今を変えたい。だからしばらくは好きにさせて。」


「・・・もしかして、まだあのおとぎ話を・・・?」


「おとぎ話なんかじゃないわ。事実よ。」



「そんな。そんな100年も前の資料なんて、

この百年戦争で燃えちまってるはずだぜ?

1万ものバケモノを倒したなんて人間がいるはずがねー!

あれはおとぎ話だ!誰かが考えた作り話に決まってるだろ!」



「そうね。そうかもね。でも、私にはこれしかないの。

これにかけるしか方法はないのよ。」


「・・・まさか、この装置はそれに関係が・・?」


「さぁ、もう帰りなさい。明日も早いわよ。」


「・・・リンダちゃん・・・」




ボキッ!ガゴッ!バキ!



「『ちゃんづけ』は『しばづけ』より嫌い。」


「あぅ・・。」






リンダは凛とした眼差しで、そびえ立つ大きな機械を眺める。



「もうすぐよ。もうすぐ完成するわ。

・・・・時の流れを変えるものが・・・・。」




------------


2099年


リンダのいる時代から100年ほど前・・・



辺り一面の砂地。

倒壊したビルが転々と砂に埋もれていた。



その一角に、改造されたホバーバイクが無数に並ぶ。




~サキタ一味アジト



「殺す!!ぜってぇー殺す!!

あのヤロー、また俺様をコケにしやがって!!」


「サキタさん!!落ち着いて!」


「うっせー!!」


ドカッ


サキタは部下を突き飛ばした。



「クックック。絶対にこの世から亡き者にしてやる。絶対にな!!


待ってろよ・・。



タケル・・・。」





~第一話 『時の流れを変えるモノ』終わり








ーーーーーーー

<次回予告>



人は過去を美化する


人は未来に落胆する


人は現実にしか生きてはいないのに



次回「伝説の男」


伝説の男が現れた時、男達はひざまずく



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