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最弱魔王と最強の杖  作者: 絶兎
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ダンジョンマスター【リム・レッド】

お久しぶりです。

多少迷いましたが、のんびり続けていきます。

 俺たちは先日攻略した森にあるダンジョンにいた。


「わぁ、ここがダンジョン・・・。入口がおっきい木にある穴なんてかっこいいですね!」


 感想を漏らしているのは先刻正式な配下(眷属)になったルル・サウニールだ。

 彼女はエルダードワーフで、錬金スキル持ちだ。ポーションとか作れるのだろうと思う。


「とりあえず目的地は最奥の部屋、クリスタルのあるところ。いこ。」


 うきうきとして、早くいきたいのだ!って感じを隠せないお子様がわれらが魔王さま、リム・レッド。



 とはいっても、魔王に準ずるものは意外といるみたいだけどな。

 酒場で話を聞いたりしていたら、ほかの場所にもこのようなダンジョンがあるらしい。


 このダンジョンのもともとの持ち主は、リムの父親に罰として与えられたらしいからな。

 つまりは魔王がダンジョンの持ち主だといってもいいだろう。


 魔物の沸きは前回、立ち去るときにリムに止めてもらったから今のところ遭遇する魔物はほとんど0に近い。

 とくに立ち往生することなく、クリスタルの間まで進む。


 それまでに、ルルがなぜか壁を見て目を輝かしていたがなぜだろうか。


「すごいクリスタルですね。とてつもなく大きい・・・。」


「ああ。俺も最初見たときびっくりした。思わず叫んでしまった。」


「ん、触るけどいい?」


「おう、いいけどあんまり変なことしないでくれよ。」


 リムがクリスタルに触るとクリスタルは幾学的な模様を浮かべた。


 -Rim Side-


 クリスタルに触る。

 すると、頭の中に声が響く。


 〈汝、ヴァンパイアの幼き王よ。わが力を望むか?〉


「ん、前回はそんなこと聞かなかった。なぜ?」

(ヴァンパイア?私はまだ慣れていない・・・はず?)


 〈汝、力を望むか?〉


 おっさんくさい声はそれしか聞かない。


「どんな力をあなたは授けてくれるの?」


 〈我、このダンジョンの意思なり。我がダンジョン、支配者が必要なり。しかし、支配者には強い意識が必要。〉


 変な答えしか返ってこない。

 よくわからないけど、ダンジョンの神様が、強い力を欲するものがほしいということなのだろうか。


「わたしは、力がほしい。あなたの力を私にくれる?」


 〈汝、力を望むものなり。わが力、幼き王に託そう。〉


 そういうと声はしなくなり、目を開けると、私の手には一冊の本があった。


「リム、その本はどこから出した?」


「おじさんがくれた。」


「見せてもらってもいいか?」


 私は本を渡そうとするが、渡せない。正しくは私しか触れないようだった。


 表紙には、「Seek strength from the dungeon〈ダンジョンに力を求めよ〉」と書いてある。

 私はそれを声に出して読み上げる。

 すると本がひとりでに浮かびあがり、私の前でページが捲られていく。


 本からは文字が浮かび上がり次々と表示され消えていく。


 私の頭の中に、私の知らない知識が蓄積されていく。


 一通り、ページがめくられて最後のページが閉じられた。

 本は光の粒子となり消えた。


「私は魔王リム・レッド。正式なるヴァンパイアの王の後継者。」


 私は、知識を手に入れた。


 -Rim Side End-


 リムの手に本が唐突に表れた。

 いや、光が収縮して現れたといっていい。


 その本はほかの人には触れず、リムが何か言葉を発したら急に浮かび上がった。


 ページがめくられていく毎にリムの力が強くなるのがわかるのを感じた。

 最後のページが閉じられたあと、リムは言った。


「私は魔王リム・レッド。正式なるヴァンパイアの王の後継者。」


 これまでのリムとは違う雰囲気をまとった一言。それに今ヴァンパイアと言ってたな。


 しかし、その一言の後はいつもの調子に戻った。


「ダンジョンの使い方がわかった。」


「お、おう。なんともないのか?そ、そうだ。いま、ヴァンパイアの王って言ってたけど、陽の光とか大丈夫なのか?」


「大量の知識が流れ込んできただけ。だいじょぶ。あと、ヴァンパイアにはまだなれて無い。魔族は三段階の変化を得て力を得る。」


 大丈夫らしい。


「さっそく使ってみたいんだけどいい?」


「その前に説明してくれ。」


 リムが説明するには、人をダンジョンに招き、感情の起伏で生まれるエネルギーを食らうのがダンジョンらしい。

 そして、ダンジョンマスターに許された特権は、まず一つ目【DP】と呼ばれるポイントを使い、ダンジョンを拡大、機能の増設、モンスターの創造ができるらしい。

 二つ目、ダンジョンのエネルギーはこれから間接的にリムに流れ込む。エネルギーが多いほど、力は強くなり、少ないと逆にリムが弱体化するようだ。


 そして、ダンジョンを形成するうえで出来ないことは、1階層に10部屋、地表も含めてダンジョンらしい。

 つまり現在のこのダンジョンは2階層で出来ており、地上はすべての部屋をつなげ、つなげられないところに木々が生えているらしい。

 そして2階層目は部屋の中に仕切りを立てて、通路と、違う部屋を別けているらしい。


 階層はDPがあればあるだけ作れる。

 しかし、部屋を作る際にもDPは必要だ。


 それに部屋の数が多くなるほど必要DPが多くなるらしい。

 説明はこんなものらしい。



「じゃあ使うよ?」


「まてまてまてい、何をどうするんだ?」


「えっと、モンスター作る?」


「それはまだあとにしよう。まずは部屋を作り替えよう。DPが必要なんだろ?今いくらあるんだ?」


「えっと、2000DPかな。一部屋作るのに小さい部屋・・・えっと5×4×5が一番小さい部屋だから、その部屋を作るのに500DP必要。」


「結構でかいな・・・。」


(シーク、起きてるか?シーク。)


(はい。起きてますよ。このダンジョンをどうするべきかですよね。)


(ああ。そうだ。知識でどうにかならないか?そうだ、知識で思い出した。ダンジョンにはどんな形のがあるんだ?)


(そうですね、宝でおびき寄せて、恐怖心をむさぼるダンジョンもあれば、トラップで楽しませたり、アスレチックのようにして好奇心をもてあそぶものがあったりしますね。ちなみに、このダンジョンは森の奥地にあるので、きれいなダンジョンにしてみたらどうでしょうか・・・?ただ、流水とかは私たちにとってちょっと嫌なものなので、あれですけど・・・。)


(いやなもの程度で済むのか。)


(はい。私たちは高位なので。低位のものは死んでしまったりします。)


(さて、きれいなダンジョンを目指すとして、どうやってDP貯めようか・・・。はっ、いいこと思いついてしまった。)


(その考えは・・・。さ、最終手段で。お子様には見せられません・・・。そんな・・・破廉恥な・・・。)


 この世界にはサキュバスとかいう素敵な魔物もいるみたいだし、ヴァンパイアとは友好があるみたいだ。

 つまりはあれだ。そう。あれだ。


「ヴァン、どうするのー?」


「ちょっと待ってて、今相談中。」


(さて、どうする?)


(いいこと思いつきました。ダンジョン攻略の祝いで、人たちを招き入れてここでパーティしましょう。さすれば、たくさんのDPが手に入ります。それに、ここで肝試しなんてどうでしょうか?パーティー会場は地上を整備して、中で肝試し。これはいい考えでは?

そのあとの運営については、DP次第で、アスレチック、深く潜るほど、難しくしていって、死亡確率も高くする。ついた先には宝物を設置するというのはどうだ?もちろん難易度で宝物を変えるが。)


(So RE DA!)


「リム、パーティーしよう。」


「え?なんで?」


「DPがどっさり手に入るかもしれない。地上で攻略祝いして、地下で肝試しだ。ここで力尽きたものもいるだろうから、結構いいかもしれん。地上の森林部分を少し伐採した後平地にできないか?」


「できるけど、DPぜんぶなくなっちゃう。」


「それでいい。そうと決まったらギルドへ行くか。」


「ねえ、ルルは置いてけぼりですか・・・?」


 そんな話において行かれたルルは少ししょんぼりしていた。


「大丈夫、ルルにはお仕事いっぱいあげる。」


「その言葉を待ってました!」


 ちょろい。彼女は料理も出来るみたいだしな!使わない手はない!




 俺たちはギルドへ来た。


「ギルドマスターはいるか?」


「はい、こちらに。今は大丈夫ですよ?」


 いつもの受付の人に通され、ギルマスの部屋に来た。


「よう、どうした?報酬が足りなかったか?」


「いや、足りた。だがこの金でパーティーを開きたい。場所はあのダンジョンだ。」


「ほう?面白いことを言いますね。モンスターは?」


「ダンジョンのモンスターはすべて殲滅してあります。外から来るやつは私の眷属で何とかしましょう。」


「わかった。招集はかけてみる。料理人はどうする?」


「意外とするっと承認するんですね。料理人は数人お願いします。」


「ああ、まあ、お前には助けてもらったしな。料理人は腕のいいのを用意するよ。」


 思ったよりトントンと進んで助かった。

 俺たちはギルドを出た。


「ルル、お前はあの平地にした部分をパーティー会場に仕立て上げてくれ。できるか?木はダンジョンの範囲内ならいくらでもとっていい。」


「わっかりましたー!ルル、いっきまぁーっす!」



 強化された身体能力全開で走り去った。



 こうして、一つ、あたらしいおもちゃ、そして、リム強化大作戦が始まったのであった。

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