魔物行進
「門が破られたぞ!」
その一言で、ギルドは騒然となった。
「入ってきた数は!?」
「1000越えだ!住民は避難させて奥にやってあるから大丈夫だが、時間の問題だ。」
「やばいよやばいよ~」
「この世の終わりだぁぁ!!!」
冒険者たちは自分たちが戦うのを忘れて、おろおろしている。
隣でがたっって音がした。
リムが立った。
「おまえらうるさああああああああああい!」
シーン。
静まり返った。
「お前らはこの町がどうなってもいいのかー!お前らの大切な街だろ!なのにお前らはギルドでこもってて恥ずかしくないのか!私は行くぞ!この町を守るために!」
「お、おい、あんな小娘一人で行こうとしてるぞ。」
「しょ、正気じゃねえ。」
あちらこちらで声が上がる。
「お前らはここでおびえて待ってろ!私は行く!」
そういうとリムは立って扉から出て行った。
俺とルルは急いで後を追う。
後ろから声が聞こえてきた。
あのいかついモヒカンだ。
「おい、お前らそれでも冒険者か!恥ずかしくないのか!恥ずかしいのなら剣をとれ!おまえらーやるぞ!!!」
「「「おぉー!」」」
どうやら火が付いたようだ。
外に出ると、火が上がっているところがところどころある。
この町はそこまでの規模ではない。ほおっておけばすぐに魔物たちに占拠されるだろう。
俺たちは急ぐ。まずは門を閉める。
しかし、リムは遅い。ほとんどただの少女だ。
「リム!リムはあそこの時計塔の上から見ててくれ!」
「私も戦う!」
「魔王様は上から見てたほうが魔王っぽいであろう?」
そういうとリムは時計塔に走った。
「ルルはポーションとか持ってるか?」
「持ってます!」
「それで住民を助けてくれ!」
「了解です!」
そういうと住民が避難しているといわれたほうへ走る。
俺はというと、羽を伸ばし全力で門へ行く。
ほとんど一瞬で着いた。
羽と念力で吹き飛ぶように飛んだからだ。
すごい数だ。
いろんなのがいる。ごちゃごちゃしすぎてよくわからない。塀の上で戦ってる人たちは半分が倒れていた。
とりあえず門をどうにかしてふさがないとだめだ。
そうこうしているうちに、リリが走ってきた。
「ルル?どうした?」
「門をふさげないんじゃないかと思ってきました!」
すごい。読心術でも使っているのだろうか。
「助かる。どうすればいい?」
「錬金術でふさぎます!」
「時間を稼げばいいと。」
「はい!」
そういうと俺は、シーマに聞く。
(シーマ、どうすればいい。)
(吸血を使うのです。その前に大量に虐殺してレベル上げです。)
俺は爪を伸ばし、赤いオーラをまとわせた。
地面に着地し、敵がたくさんいるほうへ両手をふるう。
爪にまとった赤いオーラが飛び、敵を両断していく。
7体位同時に攻撃できるが、全然敵が減らない。
30分くらい押し寄せる波を押し返す。
十分に倒した後、冒険者たちが装備を整えてやっと俺のところまで来た。
「またせたな!いつまでもレベル1に苦労かけられねえぜ!お前はギルドへ行って、更新してこい!」
「わかった!ありがとよ!ルル!壁はどうなった?」
「ダメ。敵が多すぎで立てても崩されちゃう。」
「わかった。上から岩を落とすような形にしてくれ。少しは稼げるはず。俺は走る。」
そう言い残し、返事を聞く前にギルドへ行った。
俺はギルドで更新する。
確認していなかったがどうなんだろうか。ステイタス。
-ステイタス-
レベル1
ヴァンパイアロード
魔族 職業 召喚師
体力 S
魔力 A
敏捷 SSS
器用 A
防御 B
スキル
エラー
魔法
深紅のオーラ
ほへ。こんなに強かったのか。
経験値を清算。
-ステイタス-
レベル1
ヴァンパイアロード
魔族 職業 召喚師
体力 SS
魔力 S
敏捷 SSS
器用 A
防御 A
スキル
エラー
魔法
深紅のオーラ
お、少し上がった。
「レベルアップ可能です。レベル1でこんなにすごいのは見たことがありません。レベルアップしますか?」
「ああ。頼む。」
自分の体が光り、力がわき出てくる。
「こちらギルドカードです。レベルアップしたのでスキルを覚えられます。どれにしますか?」
そういわれ提示されたのが、
・対状態異常C
・疾駆
・時
「なあ、時ってなんだ?」
「すみません。初めて見ました。わからないです。でもとてもレアスキルだと思います。とってみたらいいんじゃないですか?」
俺はレアってのに魅かれる。
取るしかねえ。
「じゃあ時で。」
「わかりました。これで完了です。どうか町を救って下さい!」
-ステイタス-
レベル2
ヴァンパイアロード
魔族 職業 召喚師
体力 G
魔力 G
敏捷 G
器用 G
防御 G
スキル
エラー
魔法
深紅のオーラ
そして街の中を高速で移動し、戻ってくる。
一人の冒険者が話しかけてくる。
「おいおい、ずいぶん早いなぁ!レベルは上がったか?」
「ああ。おかげさまでな!危ないから下がってろ!スキルを試す。」
「おおう、わかった。みんな!下がれえぇ!」
その瞬間、時を使う。
時が止まった。
俺は動けない。周りも動かない。
思考だけできる。
そして魔力が削れていく。
(時が!止まった!?)
俺は解除する。
「ぐっ・・・結構来るな。」
「おいおい、大丈夫か?何かしたのか今の。何も変わってねえぞ!」
「まあ見てろい。」
時を止める・・・まで力は使わず、スローの世界に高速で動く俺がいた。
時の中、動く速度は変わらないが、俺の思考だけがスローの世界で早く動く。
体が慣れるまで大変だが、スローの世界で現実と同じ動きで最高速を出すと、周りの奴らはほとんど止まっている。
そのまま爪を伸ばし、オーラをまとわせる。
切る。切り裂く。払う。
これを全力で繰り返す。
いつもの3倍の速度でうまく動ける。
確実にあてられる。
そして時が解けた。
俺は倒れる。貧血に近い感覚だ。
「お、おい!?これはどうなってやがる!?敵がみんな倒れたぞ!?」
そう。ほぼ同時におよそ2000の敵が倒れた。
「お、おい、ヴァンパイアの兄ちゃん!大丈夫か!?しっかりしろ!」
俺は声をかけられているのか。
最後渾身の力の念力で冒険者側に吹き飛ばすようにかけたからなぁ・・・。
そうして俺の視界は真っ暗になった。
次目を覚ますと、リムにまたがられてた。
俺は杖の状態らしい。
(あ、目覚めました?)
シークだ。
(シークどうなった?現状は?)
(私が杖で力を使って、みなさんを輸送中でございます。)
へっ?
シークに言われ、よくよく見ると、小さな杖の下にぶら下がる形ででっかい箱が下がっている。
杖の上にはリムが座っている。
(敵の出所がわかったので、街の防衛は任せ、敵の本拠地をたたきに来たのです。敵の出所は・・・私が生まれたあの場所です。)
なんと衝撃の事実。
(森の入り口にそろそろつくので、下降します。リム様、声をかけてください。)
「みんなー。降りるよー。」
そういうとリムは急降下した。
「「うわああああああああああああ」」
きっとあの箱の中は大変なことだろう。そう思いながら念力を使ってそっとおろした。
箱から冒険者が10名ほど出てくる。
みんな真っ青だ。
「お、おじょうちゃん、もうちょっと優しくおろしてくれよ・・・。」
みんながうなずいている。
「そんなことより囲まれてるよ。頑張って!」
ちなみに俺はまだ魔力が回復しきっていない。
そういえばルルはどうしたのだろうか。
(ルルは街に残って防衛線となってます。)
意外と役立つルル。ほめておこう。
俺は杖モードで頑張るとする。
杖は杖でも二つの頭脳がある。十分戦える。
(シーク。メイン戦闘は任せた。俺は防衛する。)
(わかりました。)
そういうとシークは召喚魔法を使った。
魔法陣が浮かび上がり、その中から蝙蝠がわき出てくる。
湧き出た蝙蝠はゴブリン、オークへ向かって進む。
蝙蝠は20匹くらいだ。
敵に噛みつき、吸血する。
俺に魔力が流れ込む。
どうやら、シークと俺の魔力は別々であるようで、ステータス表示の倍は魔力があるようだ。
俺も行く。
眷属生成スキルで、杖から蝙蝠をだし、半分ほどで止める。
半分のサイズの杖となり、シークとは別々に行動する。
メインはシークが操っているので、俺がやられてもシークに戻る。
俺は冒険者のカバーに入る。
もちろん杖だ。
敵のオークがこちらの冒険者に後ろから殴りかかる。
そこを俺が念力で止め、上を陣取り毒を垂れ流す。
毒生成は魔力がいらない。
楽だ。
さらに、シークとは別で眷属召喚する。
蝙蝠がさらに20体増える。
設置した魔法陣からは、常に20匹を維持するように蝙蝠がわき出る。
蝙蝠たちは次々と敵を吸血、倒していく。
その中でも、敵を眷属にし味方として敵を倒させる。
10分くらいの戦闘だった。
敵の中に、ぽっかりと穴ができた。
ふちを敵を眷属にしたゴブリン、オークに守らせ、空には40匹の蝙蝠が飛んでいる。
俺たちはその真ん中で休息を取る。
そして人型になった。
「あれ?ヴァンさん。杖に変化してたんですか?」
「まあ、そんなところだ。さて、これからどうする?俺は吸血で魔力も体力も全回復しているがお前らは大丈夫か?」
空の旅からの魔物ラッシュでみんな疲労困憊している。
「だ、大丈夫だ。5分休ませてくれ。」
そういうと、2班に分かれていたのか、ポーションを2人が取り出し、それぞれに渡していく。
全員にわたり、それを飲み干す。
すると、みんなの怪我が治り元気になった。
「さぁ、いこう!本番はこれからだ!」
俺たちは鬱蒼とした森林へ入っていくのであった。
感想、評価、ぜひお待ちしております。
次回をお楽しみに!




