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"狩ル者"  作者: 工藤将太
序章
7/26

第6話 「それぞれの辿り(Part.5)」

遂に狩人機関でのエピソードは一旦終わります。


「失礼」


鬼原健一はその部屋へと

一歩踏み出して開けて入る。

そこには見慣れた憎いやつと懐かしい友が居た。


「……むっ!?!」


懐かしい友は驚きと嬉しさが混じり、


「へぇ」


殺したいほど憎いやつは呆れの声をもらした。

2人の声が同時に出ると憎いやつは声を荒げた。


「来てくれると思いましたよ!鬼原さぁん」


とても嬉しそうに冥王はニヤニヤと俺を見る。


「白羅木さんの命乞いも併せて

 よく聞いてくださいました!」


と。続けて言うがそこに俺は疑問があった。

が、話は合わせなければ多分

これは悠が危ないだろう。


「ああ。命乞い……はしていなかったが

 ここに来なければ悠は……」


「はい!殺してました」


さらっと笑顔で言う冥王は立ち上がり手を叩く。

それはそれで、とその話を置いた。


「これから大変忙しくなります。

 問題を大きく上げれば3つほどでしょうか

 ……順に挙げるとCOLORsの復活、妖刀の強奪、

 そして―――狩人機関においての

 裏切り者の可能性です。」


冥王の目が俺を睨む。

俺は眼鏡を左手に持ち右手で布で

拭きながら席に座りながら続けて


「それで悠を疑ったのか。

 白色……でか?」


「ええまぁ。」


それに俺はため息を吐く。


「お前……伝統色って知らないだろ?」


伝統色。

古くから受け継がれてきた色彩のことを呼ぶ。

韓紅、瑠璃、群青様々ある。

……つまり。


「韓紅はCOLORsを創り上げた。

 そして青の空色の髪の剣士、

 瑠璃はその隊長として身を置き

 参謀にいる琥珀を含め以上3人は

 “三統士”と呼ばれている。

 どれも伝統色の名称として存在しているはずだが?」


眼鏡をかけて言ってもへらへら顔の冥王。

まさか……とは言わない。

鬼原には冥王が何を言おうとしているのか、また

何をしようとしているのかよくは知らないが

把握はしている気でいたからだった。


「知っていますよ赤白青……そんな簡単に

 色を表せば堂々と犯人を名乗り出るのと同じ。

 何らかの力を持っていようとも簡単に

 捕らえることは可能になります。

 ですが―――鬼原先生。

 あなたの実験もバレてしまう

 可能性があるんですよ?」


俺は目を見開き冥王を睨む。


(こいつ……最初から脅すつもりで……)


「実験のことを大々的に知っているのは

 この部屋にいる3人のみ。

 あなたの実験に希望がかかっているのは確か

 ……ですが身内にバレるわけにもいかないでしょう?

 だからここを出てって貰うのです。」


とニタァと笑う。

俺は冥王を依然として睨みながら轟を見やる。

轟は寝てはいないもの目を合わせたくないのか

目を閉じている。


―――使えないやつだ。


こういうときに口を挟めばお前だって

身が軽くなるだろうに。

だが使えないとしても使えるとしても、

俺は家族を仲間を人質として脅されるということになる。

厄介だ。


「確かにな……わかった。

 じゃあ悠は俺の所で預かれば良いんだろ?」


予想の話を冥王に合わせながら鬼原は呟く。

ただの予想であり本物ではなかったものの冥王の頷き方と

居眠りをする演技を見せる轟を見てどうやら本当だったことが分かった。


(ただの予想でも言ってみるもんだな……)


「で、どうします?あなたの境遇は?」


にやけて呟く冥王。

鬼原は思った。

自分が狩人に就きたくなかった理由が

もう自分のすぐ後ろにあるというのにどうして、と。

結愛を失った今自分に残されたのは娘二人、静と真夏だけだった。

結愛の一件で分かったことは狩人機関の中であれば人質も同然であり

いざという時は見捨てられるというものだった。

だからこそ娘二人は狩人にはさせたくないと考え

俺は狩人から教師へと転職をする。

狩人研修学校はその伝手で入った勤務先でありまた狩人機関は

狩人研修学校へ直接的な介入は許されていなかった。

つまり自分の手元に置いておきつつ人質にもさせない方法は

狩人研修学校に行かせることだった。


―――もしも行かないと二人が言ってもそれはそれでいい。

今はこの機関に近づけさせないことが重要なのだと。


だが俺すら全貌を見たことのない狩人機関上層部……

そこに位置する冥王はそれを見抜いていたのだろう。

だから別の切り口で俺を戻した。


―――結愛の一件を今度こそ始末をつけるために。


たとえ俺があがこうとも多数決の意見に少数派は取り込まれてしまう。

今俺が真実を叫んだところで靄として消えるのがオチだった。

……じゃあ敢えて?


「……監視の報告も含め四天王に復帰する。

 これでどうだ?」


「歓迎いたします…!」


そう冥王はまた依然として顔を歪めたまま笑い

鬼原を見つめる。鬼原はその笑みを見ずに椅子に腰かけて虚空を見つめた。







「―ということで。本日付より鬼原健一が

 暁四天王へと復帰します。

 反対の方はいらっしゃい―――」


「四天王は4人いないと駄目なんじゃねぇのか?」


冥王の言葉に光源は答えた。

白羅木悠は鬼原健一の傍にいる。

先ほど光源闇が預かっていると聞いたので

訪ね四天王を受けたことを伝えた。

そのことに光源は何も答えなかったが……


―――今に答えたか、まぁ……確かに3人だが。


「大丈夫です。

 さぁ入ってきてください!」


そうして背の扉が開かれる。

肩まである緑色寄りの水色のセミロングの髪、

パッチリとした目に白肌にスレンダーながらも

豊満な身体を持ちながらして礼儀正しく礼をする。


「織部若菜、水鳥の四天王となりました

 以後お見知りおきを。」


白い膝まであるローブのようなコートを着ている。

髪飾りとして百合がついていた。

その姿に光源は少し見とれたがそれに

反発する白羅木にびくりと肩を震わせ目を背ける。

鬼原健一は依然として織部を横で見つつ冥王を見る。


「代役は……いたのか。」


「代役とは失礼な。

確かに彼女は白羅木さんのポジションを

得ますが実力は確かなものです。」


ふーんと後ろを向いて今度はちゃんとしっかり見る。

実力が見えるわけではなかった。

殺気も気迫も何も無い。

ただの女の子と言われても問題が

無いような見た目と身体だ。


「まぁCOLORs対策もちゃんとやってくれれば

 俺としては問題は無い。」


「では反対の方は挙手を」


誰も挙手しなかった。

そうしてそこに新しい四天王、織部若菜は誕生した。







時と場所は変わり。

喧嘩王と呼ばれるものは今日も不良と

名ばかりの集団を片付ける。


―――俺はただ散歩していただけなのに。


それでも吹っかけられたら

相手が納得するまで戦い続ける。

殴られて初めて自分のレベルが分かる。

そうしてあとで思う。


『おい、終わりか?

 まだまだ幼稚園児の遊びじゃねぇか?』


擦れゆく意識の中で思う。


(流石は…沢口兄弟…!!)


そしてバタリという音で沈む。


「けっ!弱いやつ…。」


彼の名は沢口広一(さわぐちこういち)

狩人研修学校に入学が決まった

ワケありの少年である。

そしてその弟。


「―またやったの?

 いい加減弱いものいじめはやめたら?」


「んぁ?あぁ…香野か。

 あれはあっちが吹っ掛けてきたからやっただけだよ」


沢口香野(さわぐちかの)

2人はそれぞれ問題と秘密を守り通しながら

また解決しながら修羅の道に進むことに

なるが今の2人まだ知らない。

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