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"狩ル者"  作者: 工藤将太
序章
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第5話 「それぞれの辿り(Part.4)」

光源闇が張ったのはバリアだった。

ほのかに紫色を灯している。


「本当凄いよね…」


「そうか?」


バリアは光源闇が作り出した雷と

闇の属性を利用したものだ。

この世には目に見えてはいるがそう簡単に

科学では解決できない何かがある。

それこそがこれ。

光源闇は体内かそれともDNAかに属性を持っている。

光源闇の場合は試したもので雷。

電気に触っても感電はしなかった。

こういう体質の人を“属性持ち”というのだが

バリアに見とれている白羅木を見つめて

顔を赤くしながら光源は

先の会議についてを考える。

あの先の見えない今の会議、

何を考えているのかがわからないあの2人。


(悠を先にこの舞台から降ろしたのは正解だったか)


だからこそ言った色についての定義。


(引っかかってくれたのは大助かりだが冥王は……)


その先はまたの機会にして光源は話を始めた。


「光と闇は魔物を利用した魔法みたいな

 ……術式っていうものを使ってる。

 それでバリアを張ってるんだ。」


「音は?」


「完全防音」


と光源はキリッとして笑顔で答えた。

気が抜けたように倚子に座るとため息をつく。


「すまなかったな……悪いこと言って。」


「いいよ。闇が鬼原先生を恨んでても

 私はあなたの味方だからさ」


すると鬼原先生のことについては

苦虫をかみ潰したかのような顔をしたが

最後には苦笑した。


「悪いな…正直鬼原先生のことも

 結愛さんのことも割り切れてないんだ。」


「大丈夫。私もだから」


そう笑うと光源は照れながら続けた。


「悠は強いなぁ…俺なんか20過ぎ

 てもまだ引きずってる。」


そんな余談話をしていると思い立ったように

白羅木は口を開いた。


「そういえば…真夏ちゃんと静ちゃんに

 言うの忘れてたなぁ

 …あとで言えると良いんだけど。」


「何をだ?」


するといつもは見せないような

きょとんとした顔になる。

私と闇は10数年鬼原先生のもとにいた。

闇も私も孤児として。

闇はそのときは気弱な少年だった。

だが歳が経てば表面上は強気になった。

まぁ根は変わらず優しくておっちょこ

ちょいな部分はあるけれど。

だからこそ私は闇が好きだ。

一緒にいるときこそ自分を曝け出してくれる。

前ああいう会議で光源闇が酷く怒ったときがある。

そしてその対象に私が含まれたことがあった。

会議後にまたこの場所で酷く謝られた。

酷く言葉を使うのはそれで力を見せつけるため。

そして…何より私との繋がりを見せないためだとか。

私が繋がってるとなれば鬼原先生に

伝わってしまうのではないかという

考えがあるらしい。

そして何よりあの会議において鬼原先生と私は邪険扱いされている。

結愛さんとの一件だ。

鬼原先生の元から去った光源闇は

その邪険扱いには含まれていない。

だからたまにこうして私は邪険扱い

されていない光源闇と会う。

勿論目的は情報交換だ。


「不知火姉妹に勧めてるらしいの鬼原先生が。」


「狩人研修学校か?

 うーん……あ、それなら沢口兄弟も

 中川財閥の娘も入るみたいだぞ今年。」


「そうなんだ……って沢口兄弟も関与するんだ……」


それに頷く闇。


「ああ。まぁ……頭は良い方だ。

 同じクラスになったりするかもな」


と手をひらひらと振ると倚子から立ち上がり

その前の机の上に腰掛ける。


「で、肝心の話だが。」


光源の声にごくりと静かに飲むは

白羅木は口を開いた。


「墓掘りの一件からそうだけど…」


「ああ。俺じゃあ分からない、いや俺より下か。

 上層部って所もしくは鬼原先生は

 不知火結愛さんとの事故から何かをしてるってことだよな?」


私と闇があの事故のことが隠蔽されていると

知ったのはその事故があったすぐでもあった。

だからこそ2人でしたんだ。


―――不知火結愛の墓を掘ることを。


なぜ掘ろうとしたのかは覚えていない。

土葬だったため遺体はあるはずだった。

だがそこに彼女の遺体は無かった。


「隠蔽した事故、無くなった遺体。

 韓紅の脱退に不知火姉妹の記憶の欠落。

 これが今分かってる大まかなこと

 だけれど…はぁ。

 頭が痛くなるわ…」


「確かに…何をしようにも何をするのか

 まるで分からないな。」


COLORsが、妖刀が。

その今起こっている問題よりも

私達2人は昔の問題に目を向けていた。

それでも何年かかっても分からないことばかりだ。


「―…あ、そろそろ悠。

 連絡したほうが良いんじゃ無いか?」


「あっ…!」


慌てて連絡をするが鬼原先生が出る気配はない。

折りたたみ式の携帯を閉めて悩みこむ。


「どうしよう…」


このときは知らなかった。

あとで知ることになるが

もうこのとき既に鬼原健一は狩人機関、

四天王会議室へ足を踏み込んでいたことを。

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