第4話 「それぞれの辿り(Part.3)」
「では四天王会議を始めましょう。」
冥王の合図で四天王会議は始まった。
4つの席に座るのは3人。
1つは空白ではあるが椅子はしっかりとついている。
「1人いないようだが?」
豪情轟は冥王に向かい、
もしくはこの場の者すべてに向かい言ったのか。
片目だけを開けて周りを見やった。
「ふっ。あいつは逃げたんだよ」
光源闇は嘲笑うように呟く。
それに対して
「今日は休むと連絡が入りました」
白羅木悠は言う。
すると嫌そうな顔を浮かべながら
光源はふんっと鼻を鳴らす。
「私も連絡は致したのですが…
少々荒く取り扱われたものです。
まぁ私の力があれば大抵の意見や行動は
変更可能ですがね。」
そう冥王が付け足すと私はその言葉を
制しながら白羅木は続けた。
「では各自お伝えしたように今あるべき
問題をどうするか…決めましょうか。」
「今ある問題…それはCOLORsの復活…
いわば元狩人機関勤務、韓紅による
組織運営及びテロの行為。
そしてそのCOLORsによる妖刀の強奪。
…簡単に解決したいのですが…」
と冥王は頭を悩ませる。
韓紅は元狩人機関本部勤務だけあり各支部の
情報を知っているらしくその伝で色々と情報が掴めているらしい。
そして彼に言わせたら今の状況は
ほぼ機関の内乱のような状態なのだという。
情報が左右上下で違く混線してるという。
結論を先に言うと韓紅の手先が機関内にいるかもしるないし、
いないかもしれない。
スパイが暗躍しているという可能性が浮上していた。
「“色”がついてる人がとても
怪しいと思うのですが?」
と白羅木を見る光源。
それに対して豪情が叫ぶ。
「それでは差別ではないかっ!?」
まあまあと白羅木は豪情をなだめた。
「そんなに私が怖いなら殺せば?相手になるよ」
ニコッと笑うと光源は一瞬怖じ気づいたかと思うと
調子を取り戻して舌打ちをする。
「てめぇと殺し合いたくはないね」
光源闇は元々鬼原先生の元にいた私と
同じ孤児だった。
鬼原先生は私と光源の2人を育てた。
光源は結愛さんを、私は鬼原先生を
特に愛したかと思う。
愛した、とは言っても尊敬の念を
持ったの方が正しい。
だが結愛さんの死をきっかけに光源は性格が
捻じ曲がり今のような性格になってしまったらしい。
誰に対しても冷たく扱い、
特に鬼原先生と私をとても嫌そうに扱った。
そして何故その心理になったかは一向に分からず
こうしてすっかり大人になってしまった。
「まあまあ、確かに色があるのは確かですねぇ
……白羅木さんそこら辺の手は
打ってあるんですか?」
「そこら辺の手ねぇ……正直打ってないんだけれど。
ではこうしませんか?
私が鬼原先生に監視されるために一度退席し
代わりに鬼原先生がこの会議に出席してもらう」
そう言うと冥王がそれに答えた。
「彼がそう簡単に来ますか?」
その問いに白羅木は考えるがすぐにその答えは固まる。
だがその答えは自分自身の首を絞めた。
鬼原先生もとい鬼原健一は
ここ狩人機関に来たがらない。
何故ならば……
「出来るわけがないでしょう。」
自分の妻が殺された場所であるからだ。
・
不知火姉妹にも不都合なことも起きたし
……正直自分の家族を壊されてしまった場所だ。
行きたいとも思わないしむしろ
行きたくないでもない。
狩人の動向を測るためにも、狩人機関の
措置下となる狩人研修専門学校に
身を置いているのはそのためでもある。
「私が説得します。
鬼原先生がここに来なければ
私を煮るなり焼くなりしても構いません」
そう言うと
「そこまでは言っていませんよ」
と冥王は笑った。
がしかし。
「まぁ言ったからには実行して
もらわねばなりませんねぇ
そうしないと彼は永遠にここに
来ないでしょうから。」
冥王はあのときの場にはいなかった。
無論私もだ。
あの事故現場に行って私は立ち尽くした。
―――冷たくなった結愛さんを必死に
抱き抱えて震える恩師の姿を。
―――私は一生忘れることはない。
瓦礫の中に彼女は何を思ったかは分からない。
でもそれがあの事件の犯人を当てる証拠でもある。
もしかすると狩人機関の上層部の
人間かもしれない。
まぁ推察ではあるのだが。
だからこそだ。
あの事件は狩人機関の事件の
記録からは消されている。
不知火結愛はあの場におらずまた
事故も起こらなかった。
韓紅が反乱を期した理由はそれではあったが
知っているのは鬼原先生と鬼原先生から
教わった私と光源闇だけ。
本当の理由などどうでもよかった。
事実、彼は狂ったように人を攫い殺し
盗みテロリストの名を獲得した。
昔誰かからか聞いたことがある。
“見方次第で悪と正義はその場その場で立場が変わる。
その人から見れば悪であり正義である”と。
事実彼は狩人機関から事件のことを
報告されてはならないとして
解雇処分を受けたのだから。
彼は理不尽に思ったはずだ。
自分のミスか、いやそれ以外かで
尊敬していた人物が死に自分はその証言人として
立つことも許されなかったと。
―――こんな世界間違っている。
鬼原先生にそう言って立ち去ったと聞くが。
まぁどうにしろそんなこともあったんだ。
結果的に鬼原先生はそんな人間のいる
狩人機関に来ようとは思わないだろう。
来るなら余程の物好きだが鬼原先生は
そんな人ではないことは知っている。
「―――では、ということで。
鬼原先生を今からお呼びします。
私は…」
「おい!鬼原の野郎には会いたくねぇ。
白羅木。一時的に俺んとこ使え。」
と光源闇は立ち上がって冥王と豪情轟に
一言言うとそのまま私と共に扉を開けて
その会議室から出る。
階段を降りながら光源はぼそぼそと
何かを呟いていたようだがまぁそれは
また問い詰めてみるか。
ガチャンと扉を開けると光源闇は何かを張った。
「バリア?」
「ああ。お前との会話を秘匿するためのな。」