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"狩ル者"  作者: 工藤将太
第一章 入学編
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第十五話 「4月の昼」

鬼原健一は狩人の中でもかなりの

実力のある地位まで登った狩人だったらしい。

今はやめて技術を教授する側に回ったようだが

まさかここで会えるとは!と…。

知っている生徒は大盛り上がりだった。

ただ3人を除いて。

真夏と静はポカーンとその人気ぶりに圧倒され

香野はその2人と担任となった鬼原健一を見ていた。


「こんな有名な人だったんだ…お父さん」


「正直お姉ちゃんもびっくりだよ……ん?」


とそこで真夏がようやく香野に見られていることに

気付くとハッとさせられ昨日の件が思い出される。

やはり怒っているのか、

何をされるのか分かったものじゃないと心底迷う。

そして歓声をやめさせると鬼原は

分かった分かったと言いながら説明に入る。

とは言っても本題に入るのは明日以降で

今日はガイダンスだけだ。

広一は嬉々として聞いて香野は眠そうに聞く。

真夏と静はまだ唖然としながらも話は聞いているようだった。

話が終わるとすぐに2人は前に駆けつけ鬼原に迫る。


「何か言ってくれれば良かったのに!」


と静、真夏も続いて。


「びっくりだよ…私たちと同じクラスなんて

 聞いても見てもいないもん!」


と怒っていると分かった、すまなかったと

弁明しているが彼女らの慰めにもなっていなかった。

ただここにいるということは監視状態にある悠は?


「ああ、悠は光源が引き取りたいって言い出してな。

 俺は俺でやることもあるから託してきたよ。

 しばらく家にも帰らんし2人はそのまま不知火家にいる。

 会いに行くなら参考にしてくれ。」


すると会話の中に不知火があったせいか

ザアッと周りの人達が集まる。

同じ家族なの?何々?何話してるの?と。

集まり真夏はチャイムが鳴ったときに

香野が外に出たのを見てその場をすべて静に任せる。


「静、任せた!」


「ええっ?!」


真夏の足はそのまま駆けだしていた。

慣れない制服という服装に履いたばかりの靴で走り

階段を降りる香野に手を伸ばして


「待って―」


と、そのとき両足が一緒に出たのか躓き

振り向く香野の表情が驚きに変わりそのまま階段から

私は飛び降りるようにして香野とぶつかり倒れそしてそのまま

私は気を失った。








「んっ…あ…」


目覚めた天井は真っ白で場所はどこかの教室。

だが身は布団の中にいる。

私…。確か……


『…ん?っ!起きたか?!』


と心配そうにガサガサと起き出す

私にカーテンを開けたのは香野だった。

心配そうに香野ははぁとため息を溢すと真夏になおる。


「どうしたのさ」


「え?ああ…。いやぁ…あははは…。」


と誤魔化そうとしても駄目、か。と

真夏は香野になおると話しかける。


「昨日の…あれ。怒ってるんじゃないかなって思ったの」


「?ああ、あれか。別に怒ってはいないさ。

 びっくりはしたけど…バレるのは分かってたし。

 …もしかしてそれだけか…?」


うん…と呟くと香野は深いため息とともに項垂れる。

それを見て真夏はえええっ?!と思いながら

すぐにぷくーっと頬を膨らませて香野を叩く。


「もーっ!もーっ!心配したのにぃ!!」


「いてっいてっ…ってそれはこっちのセリフだ!

 いきなり後ろ向いたら抱き着くように飛んでくるんだもんだから…

 ああぁぁ…ガチでビックリしたんだからな…俺なんかやったっけ?

 ってさ。」


と言い争っているとまた違う別の先生が見え

足だけケガしてると言って出て行った。

?ここはそういえばどこなんだろう??


「ねねね、香野くん。ここってどこ?」


「ああ?…保健室だけど?」


ほけんしつ??

と言われた言葉を復唱しながらハテナマークになる真夏。

そしてそれに唖然として香野が突っ込む。


「え…保健室っていう部屋があるの知らないのか?」


「??いやあ…家が忙しかったからさ

 学校には通ってないんだよ。

 聞いたこともなかったし。」


それにまたしても信じられない目で香野は見ると

また溜め息を零しながら説明に入った。

保健室についてのことについて聞いて理解した

真夏はへぇと感嘆するだけでそれ以外の声は上げなかった。

全ての説明を聞き終わると真夏はありがとう~と言いながら

よいしょっと動こうとするのですかさず香野が止める。


「待て、お前はケガしてんだ。

 帰るなら俺が負ぶってやるから。」


「いいよ!女の子の香野ちゃんに!」


…。

また現れた沈黙に真夏はあれ?と固まる。

香野はやはりという顔から意を決した顔になってから

真夏の手をつかみそれを自分の胸の部分を当て始めた。

え?!え?!という真夏をよそに香野は呟く。


「―"急性性転換症候群"聞いたことは?」


「ない…けど?」


そしてそれを聞くと香野は真夏の腕をそっと離し

一息置いて呟く。


「…時間差で特に12時間毎で男女に性転換する奇病だよ。

 発症した人はその発症したときから朝昼夜どこから変わって

 どこで元に戻るかが分かる。僕の場合は発症してしまったのが

 午前中もあって区切りよく夕方5時から6時にかけて

 女へと身体も骨格も胸も性器も変わる。

 そしてその12時間後の朝には元に戻る。

 これが真夏さんが抱いた疑問の答えなんじゃないかな?」


そう呟くと香野は時計を見る。

そして香野は広一にも見せない悪い笑みをこぼしながら振り返る。


「まだ疑問符のようなら夜、確かめてみる?」



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