第14話 「4月の朝」
桜が吹き荒れる。
4月今日は私たち、僕たちの入学式だ。
着慣れない紺色にもつかない
黒色混じりの制服を着て登校する。
話に寄れば制服を着るのはこういう
式典くらいでほとんどは私服だという。
ちゃんとした身なりもまた今度となるがまぁ良い。
真夏は昨日のことを思い出しながら
頭を悩ませつつ静とともに登校する。
昨日……ルームメイトである香野の身体を見たときのことだ。
男のような屈強な身体は父以外見たことはない。
変態と言われるかもしれないが見てみたいのだ。
上も下も、どんな風になってるのかが気になる。
気になるんです!そう、私気になりまs
―――しかしその期待は意外な形で打ち砕かれた。
それを見る前、香野の身体は男性のようなたくましい
骨格はしているとは思わなかった。
男性の身体の骨格は女性の身体の骨格に比べて
ガッチリとして太いことは知っている。
だが香野はそれが必要最低限あるだけで
女性のような華奢な身体に近いと思った。
いやまさにそうだった。
意外な形で打ち砕かれたように。
そう、昨日見た沢口香野は上も下も女性の身体をしていたのだ。
膨らみのある胸に、
ガチガチとした筋肉を連想させる身体ではない華奢な身体。
下もまた男性器ではなく女性器がついている。
髪も紺色の髪色が綺麗な水色になっていてその姿に見惚れた私は
ひゃっ、と小さく悲鳴を上げた香野に気付いてから
ごめん!と謝って部屋に戻ったのだが。
だがそれから朝顔を合わせることもなく
私はこうして静と登校しているのである。
靴はまだあったから寝ているのだろうとは思うが。
「……?おーいお姉ちゃん?」
「っ!ああ~!ごめんごめん!
楽しみで楽しみで寝てないんだ!」
静が大丈夫?と呟き私は大丈夫大丈夫!と
返すと後ろから聞き慣れた声。
『いたいた!おーい!二人とも!』
広一が何かを手に走ってくるのが見えた。
その横には普通にそれに微笑みながら歩く香野の姿。
だが真夏はそれに驚く。
風呂で会ったときの女性の方では無く男性の方であったからだ。
静は広一に何かあった?弁当忘れてる、と話している。
私はただ何を言われるか分からずそのまま唖然として立ち尽くす。
香野はそれに気付くと笑顔のまま歩み寄り
ポンッと肩を叩く。
「あっ……えっ……えと……」
「緊張すんなよ」
ただそれだけ言い遅れるから、
と真夏を含め3人を急がせる。
そして入学式へと出るのであった。
・
所変わって。
入学式を終えクラスに配属された
4人は偶然か必然にも同じクラスだった。
そして昨日やった同じ自己紹介をする。
とはいってもこれはクラスメイト版だ。
「9番の鍬村良です。
色んな趣味持ってるから色んな話できますわ、
ではよろしくー」
鍬村良は香野の前の前にいる人物だ。
ほんわかした印象を受けるがそれは中身だけだろう。
キリッと目が鋭いのが特徴だった。
次にその後ろの屈強!ともいうべき男が立つ。
「10番の剛拓也だ。趣味は筋トレ、
身体を動かすことが好きだ。今後ともよろしく。」
剛拓也、自己紹介の印象通りの男といえるだろう。
ガチッとした筋肉が特徴に思える。
そしてその次に。
「11番、沢口香野。趣味等は特になし、
強いて挙げれば料理。よろしく」
おおよそ部屋の中でのテンションとは
まるで違う落ち着いた様子でかつ控えめに言う香野。
その後も自己紹介は続き
「12番の沢口広一だ!趣味は面白いもの!
何でも面白いものであれば興味が湧くな。
以後よろしく!」
「18番……の!不知火静です
……趣味はゲームだったり音楽だったり。
好きな色は緑色です!
よっ、よよろしくお願いします…」
「19番の不知火真夏です!
趣味と言われるものはあまり無いけど、
特技は誰に対しても明るく振る舞えることかナ?
よろしくねっ!」
と広一、真夏、静も挨拶を終えると
先生が立ち上がるとどこかへガラガラと扉を開け行ってしまう。
??
突然のことにどうしたんだ?と話していると
すぐに違う白髪の先生らしき人物が入ってくる。
その姿に真夏、静は驚き遅れて香野が目を
見開きそれにニヤッと笑う先生らしき人物は話し始めた。
「遅れてすまない、俺がこのクラスを受け持つ鬼原健一だ。
さっきの先生には来るまでの面倒を見て貰っていたが
……どうやら問題は起こってねぇようだな。
まぁいい、以後よろしくな。」
真夏と静の父、鬼原健一はニッと笑って教壇に立った。