表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

ある貴族の一日

昔々、あるところに貴族の男の子が誕生しました。この世界では魔法使いが存在しており、誕生したその日に預言と言う、赤ん坊が歩むある一つの未来が家族の前で謳われます。


『前世からの縁により、川のほとりにある家に生まれた女の子と結婚するだろう』


朗々と読まれた内容、わが子が生まれたばかりだというのに、預言が気になって仕方がない父親が一人馬に乗って川のほとりまで見に行くと、其処には貧しい家から独りの男が出てきました。その格好は誰が見てもみすぼらしく、布切れ一枚で何日も過ごしたような色をしていました。思わずその貴族の男は顔を顰めます。


「ただでさえ四人の子供を食べさせるのでさえ厳しいのに、娘が産まれてこれからどうしたらいいのだろう!」


父親が聞いていることも知らず、男は天に向かって叫びました。しまいには頭を抱えてしまっています。同じ男として少しばかり同情し、良いことを思いついたとばかりに話しかけました。


「なら私が預かりましょう。心配せずとも腹を空かせることも無く三度の食事を与え、温かいベッドの中で眠り、淑女としての教育もさせてあげます。私の家には息子しかおらず、ちょうど女の子が欲しかったところなのです」


にっこり、と微笑むとまるで天使に出会ったかのように男は何度も頭を下げました。すぐに今にも崩れそうな家に戻っていくと、可愛らしい赤子へ名残惜しそうな眼差しを向けながら父親に差し出します。

柔和な笑みを浮かべて父親は女の子を受け取ると、一目散に馬を走らせました。戦場で何度も駆け抜けたことがあるほどの愛馬は、疲れることを知らずに何時間も走り抜けました。


辿りついた先は、隣国との国境にもなっている大きな川です。

其処へ抱きかかえていた、赤ん坊を布で包んだまま投げ捨てました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ