結の6 天駆ける狐の娘
その昔。まだ大和の都があった時代。
時の帝は都の繁栄を願いある時ある山の
巨大な蛇の神に願った。
「どうかこの世が平穏で有るように。」
すると蛇は言った。
「天を駆ける者が現れるまでは平穏である。」
その言葉を聞いた帝は安堵した。
天を駆ける者なぞこの世には居ないと思ったからだ。
しかしその傲慢な考えは直ぐに打ち砕かれた。
それから数カ月後。天を駆ける者が現れた。
夜の空を、光る大きな大きな尾をたなびかせ。
都の上を一直線に駆け抜けて行ったのだ。
それは、その名が歴史に初めて登場した瞬間である。
天を駆けた者は一匹の狐の女。
大和の帝を驚きと恐怖で混乱に落とし。
誰も侵してはならない領域、天を駆けた者。
髪はまるで銀細工の様に繊細で。
その姿は夜の空に瞬く星の様に輝き。
その尾は天を流れる川に様に美しい
自由に天を駆けるその姿はさながら
水の中を泳ぐ魚の様。
名を「天孤・星渡」
その日から毎夜都の空を駆ける星渡は
都の人々に不安を与えた。
しかし、ある時この狐に願った者が居た。
「裕福な暮らしがしたい」
何とも欲の深い願いだった。
神に願っても叶う事の無い願い。
神が叶える事の無い願い。
しかし、叶った。
天駆ける狐、星渡は叶えたのだ。
その願いを祈った者は次の帝となった。
それは瞬く間に人々の間に噂になった。
それは瞬く間に神々の間に噂になった。
いわく、その姿を見た時に願えば、何でも願いは叶うと。
神が叶えぬ願いも叶えてくれると。
それは神々にとっては最悪の存在になった。
人間が神に願わなくなる、それは神の死。
それはつまりは神殺し。
存在するだけで神を殺す。
まさに神にとっての最悪で災悪の存在。
そして神は天孤を捕えた。
これ以上願いを叶えないようにと。
しかし捕まえた天孤の姿に神々は驚いた。
体の大半がまるで霞の様に薄く透け。
手足の先は星の砂の様にさらさらと崩れて居たのだ。
それでも天孤は生きていた。
その後天孤は神々の前で裁かれた。
天孤は最後にこう言った。
「私はただ、自由になりたかった。」
見つけたのは三つ足の鴉神だった。
捕えたのは白い大きな猪神だった。
殺したのは大きな大きな蛇神だった。
三人の神は手柄として天孤の遺品を分けあった。
鴉の神はその肉を食らった。
猪の神はその尾を持ち帰った。
蛇の神はその狐が身につけていた衣を持ち帰った。
そして、今その蛇の神が持ち帰った衣は
持ち主の名をとって。
天孤の羽衣「星渡」と呼ばれている。
一度着れば天を駆け、着た者の願いを遍く叶える衣。
つまり人々の願いを叶えていたのは天孤だったのだ。
しかしその代償として着た者の体は
星の屑に変えるられる恐ろしい衣だった。
それから幾百年。
それは今も三輪の山の宝物庫で封印されている。
人々の願いを己が願いとして叶えた。
一匹の狐の羽衣が。
久しぶりの投稿です。初めてタイトルの所の
変化が出ましたね、何ででしょう。
まぁそんな感じで今回は補足見たいな感じですかね。
まぁ正直忙しい合間なので誤字脱字どころじゃ無い感じですね。
許して下さい、許さなくてもいいですけど。
そんな感じでもぞもぞ書いてます。
次はどうしますかね。。軽く悩んでますw




