あなたは神を信じますか?
いきなり場面は飛びます。
これがどうしても、書きたかったんです。
そして、どうしても必要な場面なのです。
自然な流れにできているのか、自身はありませんが・・・。
(・・・自信ですね。うん、変換ミスです。)
「あなたは神を信じますか?あたしは信じていません。」
暗い瞳をして。
暗い表情で、重い口調で、目の前いる子供は言った。
『あぁ、勿体ないなぁ』って。
俺は思った。
だって、この世界は甘いくらいに優しい。
一生懸命に祈れば。
強くて明確な意思があるならば。
思いが、声が、・・・届く。
それほど近いところに神々はいる。
俺はそれを知っていたから。
神が直接何かをしてくれる。
ってことは・・・さすがに、ほぼないけど。
でも、反応が皆無でないことも知っている。
思いを込めた祈りが。
助けを求める声が。
神へと届かないのは、自分自身のせい。
自分自身が神を信じていないから。
自分自身が否定しているから。
だから、差し伸べられた手に気づいていないのだ。
世界すら呪うような、輝きのない瞳が。
絶望に染まり切ったその態度が。
俺にはひどく、もどかしいかった。
俺より小さいのに、保護が必要な子供なのに、疲れていても働かされて。
それに、逆らうことができない状態に置かれていると知って、じれったかった。
本当は関わるつもりなんてなかった。
だって、この国の人には嫌われているみたいだし。
今の俺にできることなんて、ほとんどないし。
でも、自分よりも小さな女の子が幸せそうじゃない。
・・・そんなのが無性に嫌だった。
ある時期の妹を思い出させて、本当に嫌だった。
「俺は、この世界の神を信じます。」
うつむいて、表情の消えていた彼女の顔が、一瞬にして怒りを浮かべた。
あぁ、彼女は本当に世界に絶望していったんだ。
それほど、悲しいことがあったんだ。
でも、すべてを諦めてはいないんだ。
それを知れて、少し嬉しかった。
それなら、俺にできることがあるかも。
そう思った。
「俺は、貴方の過去を知らないし、変えられるほどの力もありません。できることはこの世界の神に祈ることくらいです。」
ドアの近くに立ったままの彼女に近づき、できる限り優しく見えるように笑ってみる。
でも、不安そうに、泣きそうに、彼女の顔は歪んだ。
・・・彼女に優しい大人はいないんだと、気づく。
「だからせめて、今夜は貴方の眠りが安らかであるように。美しい明日が来るように。」
小さく、細い、少し震えている体を抱きしめる。
ビックリしたように、力が入った。
背中をポンポンと優しく叩き、離す。
目は大きく開いて、口がポカーンと開いてた。
・・・混乱してる、ね。
「おやすみなさい。」
両頬に手を添え、一旦視線を合わせ、もう一度笑って見る。
そうして、彼女の小さな額にキスをした。
かつて、妹にしていたように。
かつて、両親が俺にしてくれていたように。
安心して眠れるように、祈りを込めて。
・・・うぇ?ちょ。
な、何で泣きそうなの?
高く透き通るような鐘の音が、小さく響いてきた。
「・・・、も。申し訳ありません。し、つれいしま・・・。」
目の前にいた彼女は急いで。
退出の言葉も早々に、立ち去ってしまった。
マジで超早い、視界から一瞬で消えたのだけど。
・・・・・・。
彼女に幸せな日々が訪れるように、祈っておこう。
今の俺の声が届くのか、ちょっと不安ではある。
いや、信じないとだめだな。
きっと届く。
・・・。
うっし、眠るか。
俺もちょっと限界、起きたらそれから考えよう。
ノゾム君のお家は、家族同士でハグしあいます。
親しい人ともハグします。
おやすみなさいの挨拶にキスします。
お兄ちゃんと妹ちゃんの3人兄妹の真ん中です。
家族は誰も死んでませんよ?




