現状確認の前
再会直後。
現状確認は必要だよね。
主人公は”マレ”ことノゾム君。
ノゾム君の話し言葉は丁寧語です。頭で考えている時はかなり砕けてるけど。
悲鳴やら、よくわかんない雄叫び。
耳をふさぎたいほどの騒々(そうぞう)しさだな。
これってさ、発声した人間は気づかないけど、
聞いてるだけの人間には、大きくって不快な音になるよね。
こんな状況いつ振りだっけ?
なんか、じゃっかん腕が痛いな。
それに体格のいい奴に張り付かれるのって、圧迫感が・・・。
「レーヴ。いい加減離してくれませんか?」
俺を抱きしめているレーヴの背を、軽くたたいて促してみる。
っていうか、真面目な話。
レーヴって大きく育ったなぁ。
出会った時は、超きれいな女の子って思った。
細かったし、小さかったし。
声もきれいで、人形かと思ったし。
うん、今もきれいだけど。
なんかジャンルが違うし、見るからに男だってわかるし。
いいな。
うらやましいな。
俺ももう少し身長ほしいな。
まだ伸びるよな?
ん?なんかレーヴの様子が。
ほっぺた赤いよ。
っていうか、離す気ないなら俺から離れるし。
ということで、離れてみた。
レーヴの後ろに王子と王女が見える。
顎が外れそうなほど、口が開いてっけどだいじょぶ?
ナイトやメイド達も動かないし、
魔導士たちも動かない。
なんか空間すらどす黒くなってっけど。
なんなのこれは。
疑問は即解決したい。
なら聞くべし、これ鉄則でしょう。
空気が読めないわけじゃないけど。
正気な人間がいないし。
元凶・・・だと思われるレーヴに聞くしかないか。
「なんで彼らは驚いているのですか?」
「さあ?私は知らないよ。マレ、・・・ノゾムは知ってる?」
俺の言葉に反応して周りを見回し、レーヴが呆れた顔して言った。
うん、確かに異様な空間になってるから、その反応も理解できるけど。
質問したことをそのまま返すなって。
知らないから聞いてんだって。
それにしても、どうするかな。
どうしよう?ここ居心地悪いし・・・。
「そんな人間たちのことより、ノゾムはどうしてここにいるの?」
次は過去の話になります。
ノゾム君が、勇者君たちが来る前の、ノゾム君たちのお話。