マレビト様とは何ぞや、と
ノゾム君は黒髪です。眼鏡を掛けています。
伊達眼鏡でなく軽い近視です。
お話はちっとも思うように進まないです。
部屋に案内され、部屋の説明を受けた。
狭いベットと小さな机と棚しかない部屋だけど、使い方の説明をしてくれた。
一応、内鍵があるから夜には閉めて寝たほうがいいって。
鍵を閉めるのはコツがあるらしく、実演してくれた。
夕食時に王族に会うことになると告げられた。
おそらく勇者認定された大河内ともそこで再会できるとも。
侍女が迎えに来るので、それに従ってほしいとの説明もされた。
そして、今までのことを理解できたかと確認されたのだ。
『そんな感じなんっすけど、大丈夫っすか”マレビト様”?』っと。
”マレビト様”って呼びかけは、以前のことを思い出す。
召喚によって呼び出された人は”勇者さま”で、それ以外の人は”マレビト様”。
そういう呼びかけをするって決まりがある国だった。
やっ、なんかもっと小難しい説明があったんだけどね。
俺、小さかったから理解できなかったんだよね。
”勇者さま”と呼ばれる人はいたんだけど、彼に近づくの禁止されてたし・・・。
で、ここは別の国なのに。
俺は勇者と一緒に召喚されてきたのに。
目の前の彼はどうしてその呼び方で俺を呼ぶんだ?
驚きと戸惑いで頭が回らない。
「・・・何故、俺をそのように呼ぶのでしょうか?」
彼の呼びかけ後、俺の返事がないことで少し沈黙が続いていた。
このままだと先に進まない気がしてきたので、思い切って聞いてみた。
すると鼠色の青年は、不思議そうな顔をする。
「・・・何故マレビト様は、”マレビト”の意味が分かるんっすか?」
・・・っえ?
「意味が分からない人には、”貴人様”って聞こえるはずなんっすけど・・・。過去に俺らの国にいたことがある、ってことか。」
・・・・・・ん、途中で口調変わってない?
これって”自動翻訳(会話)”のせい。
それとも”感情検知(弱)”のせい。
ってどっちでもいいか。
左手を軽く握り口元にあて、考え始める鼠色の青年。
さっきまでは体育会系だけど軽くって人当りのよさそうな青年に見えていたたけど、
いまは知的で高貴な雰囲気の策士な青年って感じ。
たれ目で眠そうに見えていた目元が、鋭く俺を観察している。
あっ、瞳まで鼠色なんだ。
いや、銀かぁ?
「この世界から元の世界に帰られた方は多くない。しかも黒髪で肌も白いとなるとさらに。」
まて、銀色って。
金属の色の瞳はあの種族の特徴だろ?
ステータスが見たい、いや聞いてみればいいのか?
彼が口元にあてていた左手は、俺に向かって伸びてきていた。
ひどくゆっくりとした動きに見えた。
彼の手は俺の目線上で一度止まり、何かを掴む。
耳のあたりに軽い衝撃を感じ、俺の視界が少し歪む。
あぁ、眼鏡外されたのか・・・。
物凄く目元に視線を感じる。
「”緑のお方”か。なるほど納得した。」
どうやら彼は、以前落ちた国の住人だったようだ。
あの時の俺のイメージカラーは緑で、”緑のお方”とも呼ばれてたし。
「そういうあなたは魔神族?の方ですよね?」
「その通り私は魔神族だ。シルヴィオと名乗っている、お目にかかれて光栄だ”緑のお方”。」
俺の問いかけに彼は嬉しそうに答え、名乗りを上げた。
視界が歪んだままなのでハッキリした表情は見えないが、多分声と同じように嬉しそうな顔をしているのだろう。
とりあえず、眼鏡を返してほしい。
この世界の種族は下記の5種族。
人族が一番多く6割ほどを占める、魔神族は5%もいるかどうか。
混血は可能だが、いくつか問題があり出生・生存率ともに低い。
人族:普通に人間。
獣人族:普通に獣人。人より身体能力が高いが魔力は少ない。
巨人族:高い身体能力を誇る種族だが、魔力は皆無。その名の通り人より大きい。
精霊族:人魚とかエルフとか妖精系の種族。魔力が高く容姿が整っている。
魔神族:神に愛された種族。身体能力も高ければ魔力も高い。
半端じゃなく美しいが、弱点もそれなりにある。
あいもかわらずほぼ思い付きです。




