荘厳な森
強引な展開だなとは思っています。
開いた扉から見た景色を一言で表すならば、荘厳。
深く暗い、うっそうとした木々。
人の手で切り倒せないほど太く堅そうな幹。
複雑に枝分かれし、所々で絡み合う勢いで乱立する木々。
厳かで、力を感じる緑。
空をも塗りつぶす緑。
緑の隙間から、わずかにこぼれる日の光。
森の中、だったのか。
美しく神秘的。
不可思議で力に満ちた空間。
目前の風景だけに気を取られていた。
森の奥へと呼ばれているような気がして、足が動く。
ふと気が付くと後ろから衝撃が。
そして首元に、ヒヤリと冷たい殺気を纏ったした感触。
・・・。
・・・・・・。
眼下には、とっさに着いた自分の両手と柔らかな草の生えた地面。
右側でちらちらと光る銀色。
背中に感じる圧力。
ヤヴァイ?
「先輩、何やってんっすか。」
後ろから厭きれたという感情を隠しもしない声がした。
「こいつは勇者様のオマケだろ。」
それよりも近く、真後ろから悪意と軽蔑を含んだ声。
後ろは振り向けない、動くと首が落ちる気がする。
少なくとも二人の男がいることだけはわかった。
友好的でないことも分かった。
「勇者様方はすでに行動されているのに、こいつはいつまで寝ていた役立たずだ。」
さらに力がかかる背中。
やばい、剣先が視界に入ってくる。
なんかこのままだと殺されそう・・・。
「先輩・・・、任務を思い出してくださいよ。」
厭きれた声を出した方も俺に近づいてきたらしい。
「どちらかが伝令して、どちらかがお世話する。それが任務っすよね?今、余計なことすると問題になるっすよ?」
飽きれたという感情を含んだまま、軽い口調で淡々と説明する声。
ゆっくりと剣先は視界から外され、背中も力から解放された。
とりあえず、殺されることはないようだ。
そっと背後を振り返ってみた。
「ってことで、先輩伝令よろ?俺、この人を後から連れていくんで。」
濃い鼠色の髪の青年。
たれ目で飄々とした表情が印象的だ。
「なんでだ?俺がそいつを連れて行ってもいいはずだ。」
茶色い髪のゴッツイ男。
頭悪そう、脳みそまで筋肉でできてそう。
二人とも同じような鎧を装備している。
小さな傷の沢山ついた、上半身だけ保護できるようなやつ。
そして腰元には吊るされた剣。
「いきなり蹴りつけて踏んづける、さらに剣を突き付けてくる相手に先輩はお世話されたいっすか?
っていうか、伝令のほうが上官の印象よくなると思うっすよ?」
思いっきりため息を吐きつつ鼠色の青年が言う。
『マジこいつバカ』とか思ってそう、っていうか思っているみたい。
「そうだな、俺が伝令をやってやる。」
なぜかやたらと偉そうに、ゴッツイ男がうなづいた。
そしてそのまま足早に立ち去って行った。
「すでにマイナスだったけど。ほんとこの国の奴らつかえねぇ。」
その後姿をみてボソッと、鼠色の青年はつぶやいた。
今までとは違う、軽蔑に彩られた声だった。
ノゾム君が蹴られて、踏みつけられて、剣で脅される。
これが書きたかっただけ。
でも、扉を開いた瞬間ではそんなことできないので・・・。
なかなか形になりませんでした。




