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青絹の女  作者: くらげ
絹の道
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大秦国~草原の道

嘘歴史織り交ぜ中。

 大秦国は神様が一人という不思議な国だ。


「神様がたった一人って、神様すごく大変よね」

「そうだな」


 大秦国では妖怪などはおらず、怪現象はすべてが悪魔サタンの仕業となっている。 


「サタンの仕業じゃあ」

「だから、どんなサタンなんだ?」


 黒義は依頼主から根気強く話を聞いてもなかなか要領を得ないことが多かった。


 国が代わっても妖怪退治が悪魔退治に名前が変わっただけだ。だが、やはり勝手が違う。

 この国では火に弱いサタンや水に弱いサタンというような分類はあまり無い。

 言語の違いがあり、また話を聞いても、敵の正体がわかりにくい。

 

 そんな大秦国で青蓮の演奏は案外役に立った。

 大人たちは幾ばくかのお金を投げてくれる。子供たちから貰う報酬は、昔の神々の伝説だ。


「オリオン座はさそり座にやられた巨人だけれど、私の国ではオリオン座とさそり座は仲の悪い商人なのよ」


 とぽろぽろと竪琴を奏でながら母国の伝説を語り、

「で、もっとこの国の伝説たくさん知りたいの。面白いお話聞かせてくれる?」

 と言って大秦国の伝説を聞き出すのだ。


 そういった伝説の中に、手がかりがか隠れていることがある。

 神様級の大物にはそうそう出会わなかったが、精霊はちらほら見かけた。

 

 惚れっぽい(ついでに移り気な)水妖が最初に狙っていた獲物おとこを放り出して、代わりに黒義を泉の底へ連れて行こうとして、青蓮が焦って泉を蒸発させようとしたり。


 青蓮の演奏と、薄絹の隙間から垣間見える東洋系の容姿が気に入った大金持ちに、危うく彼女が攫われそうになったり。


 青蓮が洋梨や桜ん坊、椰子の干し果物に喜んだり。


 青蓮が稼いだお金で藍玉の首飾りを買おうとして、黒義がそれくらいなら自分が買うと言い出し、さんざん言い合って、結局、二人でお金を出し合って、二個を一個半の値段で買ったり。

 

 まあ、いろいろ面白い体験をし、数ヵ月後、今度は天山山脈を望む『草原の道』を通って故国へ戻った。



「オアシスの道ではなくて良いのか?」

「私、黒義様とたくさんの景色を見たいんです」


 だからアパオシャさんに会いに行くのはもう少し先です、と小さく呟く。

 青蓮は遠くに見える山々を指差した。

 

「黒義様、あの山、杏仁豆腐が乗っかったみたい」

「あれだけ全部杏仁豆腐だったら、確実に胃もたれ起こすな」


 黒義はさほど甘い物が苦手という訳ではないが、さすがに物珍しい物を発見するたびに甘いものに例えられたら辟易する。


「あの山にも雪女が住んでいるのかしら」

「雪男かもしれないぞ」

藍玉……アクアマリン


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