Little happy
題と話があってない!(重大なミス)ですがまぁ多めに見てください。全然暗い話じゃなくてまぁ麻帆の心情なんかが出てる場面です。ちなみに神娘で坡塘です。それくらいであとは多分読めるはずです。硃皇です・・もちろん緋琅の別名です
Map not place 〜神に出逢った瞬間〜 ? Little happy
あれからしばらくして泣いたことには恥じるけど・・・することもなく。どうやって前向きに生きればいいのか?そんなこと誰に聞いてもわかるわけなくて・・・・。あの後、緋琅はこの部屋に来ることもなくて・・毎日、使いの人らしき人物がご飯とか洋服持ってきてくれるけど
いつも何もすることがなくて、朝起きれば白いベランダからずっと変わることのない海を眺めてる
まだここに来て1週間経ったくらいだけど・・・まだ自分が夢を見てるような気がする・・ううん夢だと信じていたい
白いカーテンが柔らかく波打つように踊っているけど・・あたしの心はそんな浮かぶことが出来ない
外に出て気分を変えたくもなるけど・・・何しろ喋れないから余計にストレスが溜まる八方塞のような気がしてならない
トントン
「誰・・?緋琅?」
ガチャ
「えっと・・貴方は?」
ドアの向こうにいたのは長老さんって感じで・・。でも腰はピンと真っ直ぐでなんていうかジェントルな感じがする
「私、硃皇さまの秘書の坡塘と申します」
「・・秘書?」
「硃皇さまからの伝言です。名を憐愍と改め本日夕刻、儀皇場にて命名の儀をすると」
「・・?」
「それで儀の準備をして頂きたいのですが」
「はぁ・・あの憐・・とかいうヤツってどんな名前の由来があるんですか?」
「それは・・・硃皇さまから直々にお聞きになったほうがよろしいかと」
「・・わかりました・・それで準備とは?」
「この衣装を纏って頂きます」
またこないだみたいに大きな箱を渡された。ま〜た変な格好させられるんだろう・・・毎日来てると人間って嫌でも順応してしまうものなんだ
「じゃあ着替えるんで・・」
そう言っていそいそとドアを閉めた。だけど・・・すいぶん微妙な格好だ・・。ってか普通に悪趣味
赤いチャイナドレスとシルバーのサテン生地のウエディングベールみたいなもの。なのに腰には大きな花のリボン。それにソーメンみたいな細い紐が花からいっぱい出ててしかも横はガンガンスリット。もうこれは他の物に例えたり出来ることじゃない
「誰がこういう格好考えるのかなぁ?」
「着替えました」
「では参りましょう」
外に出て夕刻だからなのか市場や通りは人ごみだった。夏場だからなのか夕刻になってもばりばり暑い・・しかも異常に人が多いからさらに疲れる渋谷センター街とかスクランブル交差点とかそのレベル。もちろんビルも信号もないけど。レンガ造りの2階建て。それにいっぱいの露店みたいな感じ食べ物や雑貨、服やアクセサリーなんだって売ってるみたいで・・・
「あの・・聞いてもいいですか?」
「なんでしょう?」
「なんでここはみんな白壁なんですか?」
「太陽の熱を反射するためです・・・。こちらのことはわかりましたか?」
「まったくです」
「頑張って覚えてくださいね」
「はぁ」
夏場にこんなに色々着させられて汗が額に浮かんでる。時々、手の甲で拭ってみるけどどうにも一筋の汗が頬に跡を残す感じがどうにも嫌で服が汗まみれになって暑さに負けて歩く速さがだんだん遅くなってく
「あの・・今って何度くらいなんですかね?」
「そうですねぇ今は36度くらいですね」
「・・どこでわかるんですか?」
「それはですね・・ほらあそこを見てください」
そう言って坡塘さんは人ごみで見えにくい石畳を指差した。そこには七色に光る分度器みたいな形をしたやつで・・実際は幻影みたいなもので触っても掴むことは出来ない物体でどうやって映像として出してるのかはまったくわからない・・・。どうやら真ん中90度の位置から左だとマイナスで右にいくと暑いということらしい
ずいぶん歩いたと思うんだけど、ここには移動手段が馬車のみらしくてなんともだるい・・はぁ。だからタイトのスカートだから歩幅が制限されてて本当に辛い・・。しかも変なベールが人とすれ違う時にベールが引っかかって頭が引っ張られて持ってかれんじゃないかっていうくらいの痛みが走る
人ごみがだいぶ空いてきたと思う頃には逆に野良犬とか野良猫が路地あたりで人の食べ物を狙ってる感じがどうにも怖い
「まだなんですかねぇ?」
「あの先の橋ですよ。見えますか?」
「あっ・・はぁ」
街のゲートを出てカーブした先に白い石橋があった。その向こうにはアニメとかゲームにありそうな宮殿というか神殿のような入り口があった。そこはパルテノン神殿っぽい白い柱とか・・・ちょっと写真を撮ってみんなに見せたくなる気がする。だけど・・・もうきっとこの光景を撮っても見せる相手なんかいないのに・・・。
「あそこですか?」
「そうですよ。あの白い橋を超えると区を越えたことになりレバン区になります・・・。ここは首都シェルビナ区です」
「はぁ・・・」
それって市とか町とかそういうレベルなのかな?日本基準で物事を考えないとどうにも納得できない部分多し・・ふぅ
橋を渡ると、神殿らしき物体はますます近くになった。綺麗な建物だけど所々ヒビやツタがあるあたりがここが長年ここにあるものなんだっていうことをわからせてくる
「なんでしたっけ?」
「儀皇場『シャラ』でございます。私は神殿内には入れませんので憐愍さまだけどうぞ」
「・・迷ったりしませんか?」
「一本道ですから・・」
「はぁ・・・じゃあ行ってきます・・」
カツンカツンカツン
細いヒールの響く音が石の壁に共鳴してる・・・。ところどころ開いている窓から紅いオレンジの夕陽の光が重厚感のあるこの場所を柔らかく包む
一本道と言われても部屋はたくさんある・・あの人は突き当たりをとか右を曲がるとか何も言ってなかったけど・・・・どこまで行けばいいの?
しばらく探検気分で進んでいると一番奥にとても立派な装飾がされた大きな扉があった。ノブにも獅子みたいな動物の顔が付いていた
そこを開けるとギギギィーーという重い音がした。耳障りなその音を不愉快に感じながらその部屋に入るとそこはめちゃくちゃ広い場所だった
天井には壮大な宗教画みたいなものが描いてあった。絨毯は多分ペルシャ生地みたいな・・・いやペルシャなんて触ったことないけど・・高いじゃん
まぁいわゆるイメージみたいなヤツで・・部屋の中央まで行ったあたりで・・背後から呼び止められた
「憐愍・・」
「え?」
振り返るとそこには思いっきりあの時怒鳴られた緋琅だった。緋琅はあたしの元に近づいてきて、本名は隠せとだけ言った
「えっと・・・」
「ここでは硃皇だ」
「あぁそうか・・」
「酒を呑んでもらう」
「えっ!?めちゃ未成年なんですけど」
「大丈夫。アルコールは本当に微量だから酔うことはない」
「あ・・どこで呑めばいいの?」
「こっちだ・・付いてこい」
「うん・・」
その広間から先ほどはわからなかった細い扉の中へ入る。そこは書庫のような感じで本ばかりが重なっていてとてもここに酒があるとは思えなかった
「どこにお酒があるの・・?」
「こんなところにポンと置いてあったら神聖な酒が誰かに呑まれてしまうだろ?」
「確かに・・・」
「こういうのは隠しておくんだよ」
そういうと緋琅は多くの本が収納されてる本棚から広辞苑並に厚い本を引っ張り出した。それをぐちゃぐちゃに積み重なってる机に乗せた
「うわぁ・・ここって掃除しないの?本全部埃積もってるじゃない。しかもこの机だって大事そうな・・この紙だって書類とかじゃないの?」
「言っただろ?隠しておくって・・ことわざにあるだろ?木の葉は森の中に隠せって」
「あぁ・・聞いたことある」
「だからここの書類は全部フェイクさ。まぁここの広間もここの書斎も神の許可が下りなければ侵入不可だけどな」
「・・ほんとに神がいると思ってるの?」
「慣れさ・・」
「・・あぁそう」
そんなことを言いながら緋琅は本の表紙を捲った。そこには酒の入れ物とぴったり合うように出来てて一見横から見ただけではただの本に見える
その酒は白い瓢箪型っぽい陶器。コルクで閉められてる口。でも待って・・グラスとかコップがないんだけど
「呑め」
「・・・このまんま!?」
「あぁどうせ少量しか入ってない」
「ほん・・と?」
「あぁ・・そんなつまらない嘘吐いたところで得はしない」
「・・だね」
その言葉を信じてあたしは渡された陶器の入れ物を手にしてその軽さにあんまり入っていないんだなぁって思った・・そして瓢箪型のくびれ部分を軽く持ってコルクを抜いた。一回、小さな口に鼻を寄せてみた。するとフレッシュで酒臭い匂いはしなかった
そしてあたしは量を考えても一気でも命には別状ないと踏んで呑んでみた
「・・・どう?」
「水みたい・・・さらっとしてる」
「そりゃここでキツイ呑ませて神の嫁候補が死んだら馬鹿な話だからな」
「これで終わり?」
「あぁ」
「じゃあ帰っていいの?この服脱ぎたいんだけど」
「この神殿の上に行く。そこでお前は住むんだ」
「寮みたいな・?」
「あぁそんなものだ」
中の階段は何一つおもしろみないただの白。壁も所々ハゲてたりヒビが入ってる・・緋琅に案内されて着いたのはまるで真白な装飾0のホテル
「入れ・・」
「うん」
そのホテルの一室に入ると6畳半くらいの部屋でそこは白いベットと白い机、そして白い椅子だけがあった・・。白い壁、白い床、そして大きな窓
窓からは川と街。それがまた・・・いい景色だった。窓といっても硝子なんかない。それに窓にはカーテンすらも付けられないようになってる
よーするに夜は外から全てが丸見えになるわけで・・いつ着がえればよろしいのかな?
「ここって生活感0だね」
「市場で買えばいい」
「・・布団とか本とか?」
「布団は構わないが・・本なんて買ったところでお前は読めないじゃないのか・・?」
「あ・・そっか」
「それに今日から住めと言うわけじゃない。買い揃えられるまで向こうで住めばいい」
「お金は?」
「国が出す」
「なんていうか・・税金から出てるの?」
「まぁ・・色々とな」
「怪しい・・感じがしなくもないけど・・いっか」
どうでしたか?憐愍は漢和辞典に意味が載っています(きっとどれにでも載ってると・・)これはこの後多少の波乱を巻き起こしたりしてます・・はぁ大変だなぁな〜んてこぼしてますが・・・頑張って描くので楽しみして待っていて頂ければ幸いです