君がスキです・・・後編
えっともう終わります・・今回は全部めちゃくちゃな感じです。なんか緋琅はどんどん悪になってるぞ!って感じですがお許しくださいなっ
Map not place 〜神に出逢った瞬間〜 ? 君がスキです・・・後編
あの後、あたしはかなり來とあゆさんに色々聞かれて、正直はぐらかすのに精一杯だった
別に好きで行ったわけじゃないし、ただお酒呑んだだけだし・・でも來がどうにも納得できなかったみたいでさんざん関西弁で罵倒した後窓から外に出て行った
あゆさんも緋琅はやめといた方が身のためよ〜と釘を刺して部屋を出て行った
お酒呑んだくらいでどうしてそんなに怒るのかな?あたしは別に緋琅に愛情とかそういうのはないけど・・・まぁ嫌いだった感情はだんだん失せてきたけど。呑んでるときは気分がよかった・・・別にそれはお酒のお陰だけど
―――翌日
一度、握り締めてクシャクシャになってしまった小さな紙を片手に昨日ふらふらな中歩いた記憶を辿った
「えっと・・・看板読めないからさ・・・ふつーに」
ゲームでありそうな読めそうで読めない文字。どうにか歩いてみるけど普通に自信がない
ずいぶん歩いて背中に季節外れの汗を感じつつ、昨日歩いたような通りにさしかかった。暗い路地・・清潔じゃない路面。朽ちた落ち葉や飲み終えたビン。紙袋・・・いたるところにごみが落ちてる。日本じゃそこまで気にしなかったけど、この見慣れない石畳に不似合いなごみ
微妙に落ちた気分になってしまった
「あったあった。エトランゼ」
読めやしない看板。ただなんとなく形で覚えた文字・・・間違ってたら相当やばいし・・。こういう店って一歩間違えたら命の保障ない感じするし
やばい人たちの棲家とかだったらどうしよ?覚悟を決めて店のドアノブを掴んだ。瞳を閉じて覚悟を決めてドアノブを引いた
昨日と同じベルの音が麻帆の不安な心をかき消した。ベルの音が鳴り響いて瞳をゆっくり開けると昨日とあまり変わらない光景
「おぉ麻帆ちゃん。緋琅はまだだよ」
「どうも・・・」
明け方、部屋のドアの下の僅かな隙間に挟まってた手のひらサイズのメモ用紙。そこには夕刻までにエトランゼに来るようにと簡易地図と共に緋琅の名前でそう記してあった
カウンターに案内されて昨日と同じ席に腰掛けた。そして緋琅とどうにも仲がよさそうだったユウに今まで自分が感じてた疑問を尋ねた
「あの・・聞いてもいいですか?」
「いいよ。なんか呑む?」
「えっ・・・えっと」
昨日は酔ってしまったからお酒の名前も味も正直覚えてない。どうやら強いけど記憶が無くなる・・微妙な感じの麻帆の強さ
「なんでもいいなら甘い感じのとか作るよ」
「じゃあそれで・・」
「はい・・・『スター』甘いけどかなり強いから」
「いただきます」
「で聞きたいことって?」
「あの・・緋琅と仲いいみたいですけど・・いつからの知り合いなんですか?」
「う〜ん。あいつがまだ仕事に慣れてなくてずいぶん勝手に悩んでた頃だからずっと前のことだな〜」
「・・・緋琅って何の仕事してるんですか?なんか国の存亡に関わる職とか言ってたんですけど」
「もうすぐ嫌でもわかると思うよ〜」
「はぁ・・・っていうか緋琅ってかなり性格悪いですよね」
「あははっやっぱりなぁ〜あの性格は女の子には苦手だよなぁ」
「苦手っていうか嫌です。あの顔色変えずに殺生しそうな冷酷さ」
「そこまで無慈悲じゃないと思うけどな」
「でもっ勝手に彼女いたのに他の女を好きになっちゃったり・・そういうのってヒドイじゃないですか!?」
「でもあいつだって母親の胎から出た瞬間からああじゃなかったとは思うけどな」
「それはそう・・ですけど」
「あいつまぁどこまでマジかはわかんないけど結構・・まーこっちでもある意味波乱だけどさ。あいつ結構非行に走りそうな人生送ってたらしいから」
「波乱?非行?」
「あいつわりかし日本じゃヤンキーだったらしいし」
「!?」
「あいつボンボンだったらしいんだけどさ。日本でも有名な進学校行ってたくせにある時、親の事情である日突然ヤンキーに転身。高校では主席取ってたくせに、校則全部破って金パでたばこだの酒だの何でもやってたらしいしな」
「めんどくさい奴ですね。主席のヤンキーなんて」
「事情ってなんだったんですか?」
「何でも親父が社長だったらしいんだけどな、会社が赤字で倒産して親父は蒸発。母親はサラ金に捕まり殺されたらしいな」
「・・・・んでヤンキーに」
「そうそう・・まぁそんなこんなであー化学変化起こしたみたいな性格の悪さになったんだろうな」
「なんか可哀相」
「まぁ・・・人間って理由もなく悪くなったりはなんないだろうからな」
「・・・うわ〜ちょっと緋琅を労ってあげよ」
そう麻帆が言葉を落とした瞬間、店内に客の訪れを告げるベルが鳴った。そして先程まで話の中心にいた人物が麻帆の隣に座った
「いつ来た?」
「・・・ちょっと前」
ずっと憎いと思ってた相手が自分よりも厳しい人生を送ってきたかを想像したらどうにも今までのように接することは出来なくなってしまって瞳を逸らしてじゃなきゃ会話が進まなかった
「今日呼んだのはこれを渡さないとならなかったからな」
「えっ?」
「オカリナ・・・お前昨日馬車の中に置いてったみたいだったからな」
「・・ありがと」
「ねぇ・・緋琅は聞いたの?」
「えっ?」
「オカリナ」
「あぁ・・・」
「神はこの音を聞いてあたしを嫁にするって決めたの?」
「あぁ」
「なんか音色ひとつで決められたってすごく嫌」
「・・・・」
「もっと普通なら一緒にいっぱい居て、そのひとのこといっぱい知って結婚するんじゃないの?」
「この結婚は全部が普通じゃないからな・・・。普通なら候補を出してその候補と接しながら嫁を択ぶんだ。だけど今回は何もかもが違う
神は麻帆しか見えなかったんだよ」
「えっ・・?」
「お前の側に神はいた。ほんとうはオカリナも舞もいらなかったんだ。だけどな法では必ず一度だけ」
「一度だけ?」
「神娘にしなければならないんだよ。お前の感情も考えも神にしてみたら関係がないことなんだ」
「ひどい・・・」
「麻帆は好きな男でもいるのか?」
不意に見つめられて、優しい口調に自分の顔が紅潮してくのがわかった。さっきまでの話でどうにも緋琅をいつもどおりに見れなくて
ずっと嫌悪してた心が水に流れるようにすーっと消えていった。その代わり胸に出来たのは昔あった暖かい感情
「うん」
「でもその男とは結ばれないな。だって早ければあさってにはお前は神の女になる」
「・・・・あたしは緋琅を見てたい・・」
「は?」
「ひゅ〜」
そんな口笛を吹いたのはもちろん唯一の傍観者ユウ。見てたいという麻帆の不思議な表現に緋琅は口をポカンとするしかない
「そうだな・・・来い。ここじゃ何回口笛を聞くかわからないからな」
「えっ?」
「個室借りるぞ・・ユウ」
「チェッ。お楽しみが見れると思ったのに」
緋琅に案内されていつもにぎわう部屋ではなく12畳ほどの洋室。オレンジ色のランプの灯りが部屋の姿を映している
あるのは木のベットと二人がけのソファ
「俺のこと見てたいとは?」
ベットに寝転がり、麻帆を背に尋ねた。座りもせずに緋琅を背にその返答に悩まずにはいられない。決して明るくはないその部屋が今の二人の空気を表わしていた
「好きなのかな・・・・って思う」
「お前は神の妻になる」
「そうだけど・・・でも」
「お前はそれでも俺が好きなのか?」
「・・・うん・・」
「なら・・期限付き恋人になるか?」
「は?」
「どうする?」
「それはあたしのこと想ってるの?」
「想ってるかもな。さぁどうする?明日1日だけ俺の彼女やってみる?」
「・・・・・うん」
「じゃあ戻るか」
「えっそんだけ?」
「解決したか〜い?ってかよ緋琅」
「ん?デビルを早急に頼む」
「あたしは・・なんでもいいです」
「了解。でもお前ほんとに人が悪いな」
「は?」
「ここまで来てもまだ言わないつもりなのか?」
「あぁ・・」
「でも緋琅って神マニアだよね」
「「は?」」
「だってオカリナのこととかあたしが神妃になることも知ってたし」
「マニア・・あはははは!だってよ緋琅」
「お前・・・いつか張り倒す」
そんな風に二人でいれる時間は減ってく
たった1日だけ・・・麻帆と緋琅の『恋人』という関係は始まる
・・・なんだか変な話になってしまいました。最初の下書きとはずいぶん話が変わってしまって嵩耶自身もどうも納得いかない展開でしたがもう仕方がないぞっていう感じになってしまいました