彼の好きな音色 後編
えっと・・どうやって最終話まで持っていくかかなりの悩みです・・・愉快に笑ってあげてください
Map not place 〜神に出逢った瞬間〜 ? 彼が好きな音色 後編
「あ〜俺人生初の誘拐されたわ〜」
「何言ってんのかなぁ・・・馬車に乗ってノリノリなのに誘拐って」
「だいたい説明してや〜」
「はいはい・・」
馬車に揺られながら早口で今日あることの全てを語った。もちろん全てにぎゃーぎゃーリアクションしていたのには間違いはない
「本当に知らなかったわけ?」
「うん」
「ほんで今からどこ行けばええの?」
「着けばわかるから・・・」
「いいのかなぁ聖地にこういう荒くれ者連れていっていいのかなぁ」
「金とかはええの?」
「今日はただよ」
「なんで?」
「だって神の嫁がいるかもしれないのよ!?」
「そうやね」
「早く登録しなきゃ!着いてきて!」
「あんたなぁ・・・このぐちゃぐちゃ居るなかを?」
「いいから行くわよ」
門をくぐれば修神娘がウジャウジャいた。麻帆と同じような意味不明な格好をしてる者が右往左往していた。もう試験常連の歩沙は手馴れた手付きで受付に向かった
「麻帆はどこやろ!?」
「あんた麻帆のこと好きでしょ?」
「おう」
「やった〜」
「何が?」
「絶対麻帆をしとめなさい」
「はぁ!?」
「これで・・・」
登録をして一息を着いている麻帆の元にある人物が近づいてきた
「憐愍」
「あぁ・・緋・・えっと朱皇」
「オカリナ上手くなったか?」
「全然・・・」
「まぁ適当にやっていてもお前は受かるけどな」
試験会場に入った剛はあまりの広さに口をあんぐりと開けボーゼンと立ち尽くしていた
「東京ドームの半分くらいあるやん」
「そうよ・・・ここで踊ったりするの。あのセンターでね」
360度、客や審査員に見られるということになっていて、この広い会場のどこかで神も見ているらしかった
それなりに高い天井には宗教画らしきものや豪勢なシャンデリアがあった。床には毛の短い真っ赤な絨毯。壁にもアンティーク調な柄がプリントされている。修神娘はパリコレなどにありがちの花道のようなもので花道の横には多くの審査員が並んでいた
客は何千とある客席に登録を済ませると自由席に座ることになっていた
「何人くらいが毎年受かるん?」
「だいたい10分の1の確立ね」
「今年はどれくらい姉ちゃん来てるん?」
「ざっと見て・・500人くらいじゃない?」
「50人くらいってことなん?」
「もっと少ないんじゃない?」
「麻帆受かるんかなぁ」
「神の好みでしょ」
「麻帆はいつやるん?」
「えっと・・・」
受け付けでもらった紙を広げると、歩沙の一つ前、333に麻帆の名があった
「麻帆って自分の名前書ける様になったのねぇ」
「あいつ字あんま読めへんしな・・」
―――番号が300を過ぎたあたり
「じゃあたしは行って来るから」
「ほどほどに頑張りや」
「麗姫さん・・」
「憐〜」
「連番ですね」
「そうね・・・憐って化粧よくするの?」
「中3なんであんましないですね」
「じゃあ・・行ってきます」
「頑張って!」
「52」
とアナウンスの声が会場に響くと麻帆はかなり緊張しながら暗く花道だけが照らされるその場所に着いていった
緋琅が言っていた絶対に合格するって・・・どこまでいい加減でも許されるのかな?
適当に回ってみたり吹いてみたり・・・決して見てても聞いててもいい気分はしないと思うけど。3分弱の披露に全てが詰まっているとはどうにも思えなかった
「―――さま。この娘ですか?」
「あぁ。俺の妃にする」
「わかりました」
歩沙はどこで習ったのか麻帆よりも遥かにマトモな舞
発表し終えた人間は楽屋で待つコトになっていて、麻帆と歩沙はベンチで飲み物を飲みながら喋っていた
「これいつ結果わかるんですか?」
「全員終わったら・・・あと3時間くらい掛かるんじゃない?」
「・・・・・長い飽きる」
「終わって500人が集まって発表を待つのよ」
「あたし昼寝してもいいですか?」
「余裕なんだ〜」
「そんなことナイです」
「発表まで向こうの部屋で寝てたら?起こしてあげるから」
「ありがとございます」
――――3時間後
「起きて〜麻帆〜」
「えっあ・・・今起きます〜」
「もう言ってるよ」
「えっえっ」
「大丈夫まだうちらの数まで来ないから」
「それなら良かった〜」
「・・・89、125、144、189、190、227、230、237、268、300、322、333、356、400・・・」
「あたしない〜憐あったね」
「えっ・・・あぁうん」
「今年あたしラストだったのになぁ」
「受かった方はこちらにお集まりください」
案内されたその部屋は先ほどよりもずいぶん狭かったが50人が入っても全然余裕はあった。綺麗なシャンデリアや高い天井。絨毯にも綺麗な柄が刺繍され、豪華なテーブルや椅子が多く並べてあった
「どやったん?」
「麻帆は受かったわよ・・・あたしはだめだったけど」
「やったやん!?」
「あんたねぇ。喜んでるみたいだけど、神娘になったら一緒に住めなくなるわよ」
「はぁ〜!?」
「貴女が憐愍さま・・」
「そうですけど」
「貴女は本日から愛姫と名乗っていただきます」
「はぁ・・・あいき」
「貴女はもしかして日本人?」
「はい・・」
「俺もだ・・・ちなみに字は愛の姫だ」
「・・・可愛い名前ですね」
「意味は神からお聞きになってください」
「・・・はい」
「愛姫さま。3日後迎えをよこします。それまでに荷を詰めておいていただきたい」
「わかりました」
愛の姫かぁ。また大層な名前もらっちゃったなぁ。・・・これはヒドイ意味じゃなさそうだし。まっいっか。あゆさん待っててくれてるかなぁ
「愛姫」
「へっ誰?」
後ろから静かにそう声を掛けられ振り返るとそこには緋琅が立っていた
「この後予定はあるか?」
「いや・・・別に」
「来い」
「受かってよかったな」
「う〜んでも・・・好きでもない人の嫁候補って気が乗らない」
「まぁ慣れるさ」
「その名気にいってるか?」
「えっ愛姫?」
「あぁ」
「意味がわかんないからなぁ」
「知りたいか?」
なぜだか緋琅が裏道に待たせていた馬車に揺られながら、何時間も掛かった試験に疲れた果てていた麻帆
「知りたいけど」
「まぁ当ててみろ」
「えぇ!?愛と姫ってことは可愛いとかいう褒め言葉?」
「まぁ・・」
「なによそれ!?じゃあ何?愛してるとかいう意味!?」
「かもな・・」
「じゃあ何!?神はあたしのこと好きなの!?」
「正確な意味は愛する女」
「じゃああたしが神妃!?」
「だろうな・・・このことはまだ言うなよ」
「わかってますよ」
「ねぇ・・眠いから寝ていい?」
「あぁ着いたら起こす」
「変なことしないでね」
「するわけがない」
「あぁそう・・・」
あたしは瞳を閉じて、不意に隣の人のぬくもりに縋ってしまいそうになる。軽く頭を緋琅の方に預けた
愛姫も漢和にあります・・・多分。もう誰が付けたかはお分かりですよね!?