みやび
和人が声をかける暇を与えないようにするためか、楓雅は授業が終わる度に教室から居なくなった。
どんな転校生なのか、琉生に聞いてみようとしても、彼はクラスメイトに囲まれた後、その輪を抜け出し楓雅と同じように教室から居なくなってしまった。
転校生を案内するという仕事を全うするためだろうが、忙しそうで心配になる。
和人は和人で友人に掴まり、雑談に興じることしかできず、内心歯痒い思いをしていた。
「あ、みやびが表紙飾ってる」
「男だけど、可愛いよな。和人はどう思う?」
ぼんやりしていた和人は、友人に声を掛けられ我に返った。
和人の席に集まっている友人たちが、机の上にある雑誌を指差し、興味津々な表情で見詰めてきている。
雑誌に目をやると、さらさらの黒髪と丸い黒目が印象的な、色白の美少年がミステリアスな微笑を浮かべて、表紙を飾っていた。
幼少期からモデルとして活躍しているみやび。見掛ける度につくづく思う。
「いつ見ても存在感があるな。人目を惹くのに天性の才能を感じる」
友人たちが一瞬沈黙した。
「誰目線……?」
「和人はみやびの親なの?」
「俺はどう反応すればいい? 評価してるのは分かるけど、なんかそこじゃなくない?」
雑誌を見ながら、満足して頷いていると、友人たちから突っ込まれた。
それを受け流しながら、ふと何かが引っ掛かり眉を寄せる。
この顔……口元が……。
『カズ! なんで辞めるの!?』
幼少期の記憶が蘇る。幼いみやびが自身に詰め寄り縋りついてきた記憶。
その声と転校生の声が重なった気がした。
──まさか……いやいや、雅が転校してくる理由が分からない。名前も違った。別人だろう。
和人の少しの違和感を残して、話題は移り変わっていった。




