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櫻坂学園物語  作者: ヒトミ


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3/9

橋宮楓雅

翌日。学園長室で、琉生は転校生に斜め下から穴が開きそうなほど、見詰められていた。


転校生は小柄だった。前髪で顔の半分以上が覆われていて、どんな顔をしているのかは、いまいち分からなかった。


資料には、前の学校で複数の生徒を病院送りにした、暴力沙汰での転校と書かれていた。


そんなことができそうな人物には見えない。


制服はきちんと着ているから、生活態度も問題なさそうだ。


学園長は琉生と転校生を引き合わせた後、他の仕事があるからと部屋を出て行った。


「あんたが、琉生? ふーん……」


開口一番、呼び捨て。問題なさそうに見えたのは外見だけだった。


琉生は口元をぴくりと引き()らせた。


橋宮楓雅(はしみやふうが)君だよね。初対面での呼び捨ては、少し失礼じゃないかな?」

「はっ、何様(なにさま)。ぁあ、副会長様だったか」


ソファで足を組み、その上に手を置いてふんぞり返っている彼。


態度だけ見ていると、典型的な甘やかされた御曹司だ。


けれど、先程の値踏みするような視線は、御曹司らしくなかった。


強いて言えば、野生の猛獣。それも傷ついた。この態度も警戒心の裏返しな可能性が高い。


だけど、クラスでもこの態度を取れば、彼が不興を買うのは間違いない。


「副会長ではあるけど、その前に(きみ)のクラスメイトだよ」

「だから何? 敬えって?」

「いや。お互いに尊重し合おうってことだよ。君だって、初対面でぞんざいな態度を取られたら嫌じゃない?」


彼は口を閉ざした。考え込むように、指で膝を何度も叩いている。


「上等じゃん。クラスでは大人しくしてるよ。副・会・長・様!」


刺々しい態度で琉生を前髪の下から()めつけてくる。


なぜだか分からないが、個人的に嫌われてしまったということは、よく分かった。


クラスで問題さえ起こさなければそれでいい。


内心ため息をついてから、彼を促して学園長室を出た。

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