雪
暖かくなる日を、心待ちにして。
雪が降る。
身は鈍る。
感覚も、動作も、
視界も塞がっていく。
周りを見れど見れど、色はない。
払おうとしても、抱きつかれて離してはくれない。
このまま、僕は見えなくなっていくのだろうか。
それとも、既にもう認識を受ける次元の存在ではないのだろうか。
それを考えるのは、無意味に思えたけれど、既に一切の行動が無意味に帰している人間が成すことのできる行動なんてない。
無意味に生きる。
無意味に考える。
無意味に手を動かす。
無意味に話す。
無意味に打ちのめされて、また最初から。
無意味のすごろくゲームは、誰にもプレイされることはない。
僕を理解する人間は、この世界に1人といない。
雪にまみれる。
雪を払う。
雪は積もる。
払う。積もる。払う。積もる。払うつもり、積もるばかり。
しんしんと雪が降る。
確かに、しんしんと降っている。誰にも気付かれずに。
しんしんと、しんしんと、しとしとと、しくしくと、
僕を無意味に生かそうとする体。
既に死んでしまった心。
気づけば、光さえも差し込まなくなる。
しんしんと、腐った。
雪が降っている。
手袋をつけても、マフラーを巻いても、突き刺すようなこの痛み。
人が歩いている。
身に積もる雪を、払いもせずに。
周りに置いてある雪だるまに見向きもせず。
彼らは認識していないのだろうか、
或いは、見ないフリをしているのだろうか。
それとも、既に視界を塞がれているのか。
雪を払う。
カイロに手を触れる。手袋を付け直す。マフラーを巻き直す。
おもむろに、傍に置いてある雪だるま、或いは、凍りついた雪の塊を殴りつけた。
雲が晴れ、太陽が僕たちの真上に鎮座し、眩しく照りつけた。




