#51 開戦前夜
──それぞれの、開戦前夜。
大輔。
(モノマヒアが始まる。俺は絶対優勝して、自分の世界に帰るんだ)
ヴォレセオ。
(俺は勝ち続ける。五連覇して、あの事故で死んだ仲間たちに勝利を捧げる)
シルヴァ。
(ダズ兄、俺はあんたを超える)
デウロス。
(俺は、この国が強くある為に、心血を注ぐ)
シデロス。
(機は熟した。我らには勝利あるのみ)
シュルト。
(東の動きが怪しい⋯⋯警戒は怠らない)
リーリャ。
(ダイスケ⋯⋯パパ⋯⋯ちゃんと帰ってきてね)
レイ。
(魔法の効力の向上⋯⋯東が絡んでいそうですね⋯⋯)
ギャレット。
(派手にやらせてもらうで?)
ニシキヨ。
(あいつをやっとスベらせることができるんやな⋯⋯!)
ヨコヤス。
(潰れた東が参戦?んなアホなことあるか!)
サイラ。
(しっかりアタイが強ぇとこ見せねぇとな⋯⋯!)
ファナ。
(魔法を使わないでどうやって戦えば⋯⋯)
ルガン。
(僕が世間の常識を変える。差別の無い国を創る!)
コスタス。
(フレイヤ様次第では⋯⋯我々の望む世界になるやもしれん)
ディミトラ。
(フレイヤ様は命を軽んじているようだった⋯⋯)
マルコス。
(何事も無く⋯⋯とは行かなそうだ)
パドブロス。
(まぁ、私は数合わせですからね)
ガロム。
(サイラ、ファナ、ルガン⋯⋯必ず戻って来い)
カレン。
(ルガン⋯⋯無事に⋯⋯)
──そして。
東の国、クロス=アージュ科学連邦。
壊滅したはずの国は、荒れ果てた地面の下に、要塞のような建造物を忍ばせていた。
そこにある、研究室のような部屋。
様々な配線や管が入り乱れる室内に、人間が入っているカプセルがあった。
それが開き、男の体に取り付けられていたコードがひとつずつ外れていく。
開いた瞳は異なる色を淡く光らせ、上体を起こし、周囲を見渡した。
「⋯⋯ここは、どこだ?」
現代の大輔の部屋。
そこに、ジョルジュとかなたが共にいた。
テーブルを囲んで、お互い無言で紅茶を飲んでいる。
しかし、かなたは焦りの色を隠せずにいた。
「ねぇジイさん、お兄とファナっち全然帰ってこないけど⋯⋯帰ってくるよね?」
「はい、勇者様とファナ様は帰ってきます⋯⋯たぶん」
「はぁ!?たぶんって何だよこのジジイ!!」
かなたはジョルジュの胸ぐらを掴んで激しく揺さぶる。
「かうぁなぁたすぅわむぁ、おちつぅうぃてぇ(かなた様、落ち着いて)!」
するとそこに、
「ジョルジュ?大輔の旅さぁ、ゲームとしては面白いけど、ちょっと時間かかりすぎじゃない?」
その声はヘッレだった。
ジョルジュは、自分の胸ぐらを掴むかなたの両腕を掴んで引き剥がし、それをゆっくり下ろした。
彼の表情は真剣で、それを見たかなたは、怯んで大人しくなった。
ジョルジュは目を閉じ、話し出す。
「はい⋯⋯ですが、私が干渉しすぎると、上がるレベルも上がらないかと⋯⋯」
「まぁ、そうだよね。それなら、また僕が細工したらいい話だよね。じゃあ、この世界のラスボスに力を与えようか⋯⋯」
ジョルジュの眉間の皺が深く刻まれる。
(勇者様⋯⋯モノマヒアは、ノエルナ村での戦いとは比へ物にならないほどの激戦となりますぞ⋯⋯)
ヘッレは意気揚々と、
「モノマヒア楽しみだなぁ〜!大輔、優勝できるかなぁ〜!?」
と弾んだ声を上げた。
そして遂に、四か国が国の威信を賭けて戦う“代理戦争”、モノマヒアが開幕する──




