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第三章 決意と決別

「この村にいても、何も変わらない」

そう思うようになったのは、ミオと出会ってからだった。


命を想う気持ちがあるなら、

戦わない道を選ぶ方法だって、きっとあるはず。


でも、それはこの村では語ってはいけないことだった。

ミオと会うようになってから、

俺の中の「当たり前」が、少しずつ崩れていった。


戦争で勝つことが正義じゃない。

命を失わないことこそが、本当に守るべきものじゃないか。


でも、そんな考えを口に出すたびに、大人たちは眉をひそめた。

「甘い」「現実を知らない子ども」

そんな言葉ばかりが返ってきた。


俺の父さんも、母さんも、村の長も。

誰一人、耳を貸してはくれなかった。


夜、焚き火のそばでミオと話した。


「出ようか、この村から」

「……え?」

ミオは驚いたように言った。


「ここにいても、俺たちはずっと黙ってなきゃいけない」

「でも、外は危険だよ。村みたいに守ってくれる場所なんて、もうないかもしれない」


「それでもいい。俺は、戦わない方法を探したい」

「……」

ミオは長い間、黙っていた。


そして、ポツリと一言。

「私も、そう思ってた」


俺たちは、何も持っていなかった。

武器も、知識も、地図すらも。


でも、ひとつだけあった。

「戦わずに生きる道を見つけたい」という、同じ想い。


それだけが、俺たちを突き動かした。


その夜、二人で村を出た。

家族にも、誰にも言わずに。


焚き火の光が、背中を照らしていた。


誰かと想いを共有できるだけで、

人は強くなれる。


「何が正しいか」は、まだ分からないけれど、

それを探しに行く勇気を、レイは手に入れた。


この決意が、これから彼の運命を大きく変えていくことになる。

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