メイドの話その4
旦那様のお手紙から朝食をご一緒しようというので、奥様は緊張なさって居る様です。新しく送られたドレスを着て少しお化粧をしましょう。
朝食に備えて肌にクリームを塗りこんで髪に香油を爪を磨いて隅々までピカピカにします。
奥様がコルセットで締め付けるタイプのドレスをお選びになった(ご実家から持って来たものですウエストが物凄く細いですし、しかも古くて虫食いが何考えてんだご実家)のですが、体調を考えて却下に
奥様が御選びなったものを取り消すのは心苦しいですが今の体調だと絶対無理なので、
ドレスは僭越ながら私が選ばせていいただきました。ゆったりとしたハイウエストで白地に花の刺繍がとても綺麗です。
奥様も「とても綺麗なドレスだけど私なんかが着て良いかしら、やっぱりあっちのドレスの方が・・・」
「いけません」
化粧も薄めにしてアクセサリーもシンプルなものにしました。もちろん旦那様がお送りになったものです。
奥様は「私なんかが良いのかしら良いのかしら」と緊張なさっております。初対面で怒鳴られているみたいですしね。
朝食はいつもの食堂ではなく温室にテーブルセットを置いての様です。ティーセットを置けばいっぱいになる小さいテーブルですから距離も近いですけど大丈夫でしょうか?
奥様は「この婚姻についての話し合いになるんでしょうね。」とか「付き合って居る方を紹介されるんでしょうね」とか「妻としての義務を果たしていないから・・・」後ろ向きなことを御しゃっております。
その辺のことをお聞きすれば良いと奥様に言いましたが怯えて居る様です。
朝日の中の朝食を純粋に楽しめば良いとお伝えしましたが不安そうです。
大丈夫でしょうか?
まさか追い出すなんてことはないでしょう。