執事の話
今回の婚姻は旦那様からの要望です。
奥様の家の負債をこちらが負担する代わりに長女である奥様を貰い受けたいとのこと、即座に了承の返事が来まして、旦那様はその日のために着々と準備をしておられました。
幼い頃にお会いしてから思いを寄せて来た方をお迎えするに当たって旦那様は色々と準備を進めて居ました。
ですが、予定より早く馬車にも乗らずメイドも付けずにトランク一つで来られた奥様を見て旦那様はお怒りになられました。
貴族令嬢である奥様にこんな扱いをするなんて!
さらに奥様が「今回の婚姻、人違いでは?」と仰った途端旦那様は怒り爆発されました。
奥様が怯えられたので一旦この話は中止となりました。
奥様をお部屋にお通しした後旦那様に「奥様が落ち着いた後もう一度お話ししましょう」と助言した後奥様の様子をメイドに聞いたのですが、酷かったです。
奥様のための部屋を見て「自分には相応しく無い」奥様のために揃えたドレスやアクセサリーを見ても「自分には相応しく無い」奥様のお茶うけにと高価なお菓子や南国の果物をお出ししても「自分には勿体無い」と仰るばかりここに居るのが間違いだと言うばかり
お体の調子も良くない様なのでお医者様を手配しました。(まさかの事態を想定して女医を手配しました。)
旦那様は「私が嫌になったのか!」と嘆くばかり奥様のご実家を調べてみましょうと調べてみたら、奥様はご実家で虐待を受けて居た様です。
奥様のお母様が亡くなった後に後妻として入った義母(お母様の妹だそうです)に淑女教育と称して使用人同然の扱いをされていたそうです。外国語やマナーレッスン少しでもミスがあれば厳しく折檻、終わったら部屋の掃除や洗濯など使用人の仕事をやらせて居たそうです。庇う者がいたら即解雇、どうやら奥様のお母様であらせられるお姉様に劣等感を持って居た様でその面影を持つ奥様には酷く当たって居たそうです。
旦那様はまた怒り爆発させました。奥様のご実家のに今直ぐ殴り込みに行きそうな勢いでした。
今、婚姻の条件に奥様の実家の負債を負担が条件なので、婚姻自体が無効化されて奥様が実家に連れ戻されるかもしれません。ここは証拠を集めて法的に裁こうそれよりも今は奥様が心安らかに過ごせる様にしましょうと旦那様を説得したんですけどねえ。