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「学院?」
初耳である。
「貴族以上の子女向けに学院がある。同じような年ごろの子供を集めて算術なんかを教えるところだな。だいたい入学は六歳から八歳で、三年から五年ほど在学する。必要な学問を終えたら卒業になるんだよ。レティ、わかる?」
五歳にはちょっと難しいけれど、わかった。要は小学校だな。
「レティに教えてくれているアンナ先生も学院で教えているわよ」
「明確に貴族以上と決まっているわけではないけれど、先生たちは貴族以上の子女が多いから、必然的にそうなる。庶民は民間にいくつか私塾があるから、そちらに通うものが多い」
「アンナ先生は伯爵家のご令嬢なのよ」
「ときにレティティア、番発見は間違いだったんじゃないか?」
とうさまが少し意地悪で嬉しそうな顔をして言う。
「ソルティの子供に気付かなかっただろう?」
「き、気づいたわよ!?」
ちょっとどきどきしていうと、
「あらー?気づいてなかったわよー?でも、そうねぇ、まだ違うかもしれないし、たとえそうでもまだ貴女が小さいからわかりにくいのかもしれないわ」
「レティはあの子好きよ。ルキウス。綺麗でかっこいいもの」
「レティは面食いなのかしらー?」
ほほほ、とかあさまが笑うと
「好き……もう好きなのか?番かもしれない、じゃなくて?」
「好きだよ?最初にいい匂いしたし、可愛いし」
これは五歳としての素直な感情。とっても良い匂いがして、見たことがないくらい綺麗な子だった。前世日本人成人女性としては、可愛いし将来有望な容姿だなと。そして賢そうだった。目に知性の光を感じたのだ。総合して好き。
番なのか、って言われたら、もうそれは直感でそんな気がする、としか言えないのだけれど。
「好き……」
がっくりとうなだれたとうさまに王様の威厳は感じなかった。
「とりあえず、可能性だけということでソルティ侯には伝えておきましょうね」
かあさまがそう言って、飛翔術と精霊術の練習の約束をすると解散となった。
三日すると、マリーが
「おめかししましょう」
と言った。
おしゃれするのは大好きなので、マリーが持ってきた衣装のうち、一番気に入っているツーピースの衣装を選んだ。ちなみに衣装は別の部屋があって、そちらに仕舞われている。一度そこでかくれんぼして遊んでいたら、叱られたことがあるから知っている。ものすごく広い部屋で、まだまだ衣装を入れる空間があった。王女の衣装費用ってどうなっているんだろう。今のところは外に出ることもほとんどないから、節目にお披露目する衣装とそれ以外って感じ。王女にしては少ないのかな、って感じた。別にそれに文句はないけどね、五歳だし。
マリーに連れられてとうさまの部屋の前に立つ。すると精霊陣が浮かび上がって、ちょっと身体が浮いた。ちょっとびっくりした。
「あら?レティは風に愛されているのかもしれないわね?」
かあさまが後ろにいきなり現れて言った。
転移だ。