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ある日、お母さまが来て言った。
「レティも五歳になったし、選定儀に行きましょうか」
「選定儀?」
選定儀というのは何か。それは、子供たちは皆ちょっとした能力を持って生まれてくる。その子供たちの能力がわかるのが選定儀という儀式らしい。
「選定儀はこのくらいの同じ年頃の子が集められて年に数回、行われるのよ。代々王族も参加する教会でちょうどやるから行かない?」
王城を出ることはめったにない。だから
「いく!」
参加一択である。
「おでかけ!」
おかあさまとマリーがにこにこしながら見ている。
「おめかししましょう」
精一杯おめかしをして行くことにした。
参加する選定儀は貴族が中心のものだという。まぁ、私が来たら気後れされるかもしれないものね。
選定儀当日。
赤のオープンカーに乗って、十五分ほどで現地に着いた。
教会は王城の近くに建てられていたから仕方がない。
もう少し乗っていたかった。
乗っている間は交通規制がされていて、護衛の車に囲まれて、昔何かでみたな、こんなの。
現地に着いたらはい、優先順位一番。そりゃそうよね、王女だし。
めったに現れない王女をみてか、少し周りがざわつく。
教会の牧師だか神父だかがにっこり笑ってあいさつしてくれた。案内もしてくれる。
それから、案内に従って渡された鋏で髪の毛を少し切って、指定の紙に包み、教会の中の小川に流す。
辺りの静けさが身に染みる。
どきどきして水面を見つめた。
するといったん沈んだ紙はすぐに浮かび上がって、流れずにそこに留まった。
――精霊術 飛翔 魅了
浮かび上がった紙を持ち上げて開いてみると、そこに包んだはずの髪はなくて、文字が浮かび上がっていた。
飛翔はわかる。竜だし。飛翔能力でしょ。竜は翼だけで飛ぶわけじゃないから飛翔術があるんだって。おとうさまもおかあさまも多分持ってる。精霊術は、やった!竜だからって持っているとは限らない。
魅了、はちょっと……前世日本人の記憶からいうと、危険な能力、としか思わないんですけど。前世の小説で乱用して捕まる話あるよね。まともな友人、できるんだろうか……。
結果は牧師?と両親と本人にしか見えないから、情報漏洩の心配はない。
世間にバレてるとしたら、飛翔くらい。だって一族みんな持ってるらしいし。
なるべく平静な顔で川から離れた。次の子と交代しようと階段を降りると、次の子とすれ違う。
!
銀の長髪が滑らかに下ろしてある。
ルキウスじゃないの!どうして気づかなかったんだろう。緊張してた?
悩みながら書いてます。感想あればぜひ。