1-3
「かしこまりました。それでは少しお着換えをいたしましょう」
マリーが持ってきた衣装のうち、二番目にお気に入りのドレスを着て、髪を軽く結ってもらう。マリーに連れられて、家族のリビングルームへと向かった。
ドアを開けるとテーブルに座っていたかあさまがさっと立ち上がってこちらへ手を広げる。
「かあさま!」
走りよるとマリーが
「王妃陛下」
と会釈して横へ控える。
「レティ!大丈夫なの?」
少し心配そうにかあさまが抱きしめてくださる。
「か、かあさま、苦しい」
「あら、ごめんなさい」
ぎゅーっと抱きしめられてその腕から抜け出すと、
「かあさま!かあさま、あのね!番なの!」
と告げる。
「え、ええ!?」
かあさまは予想していなかった様子で
「それで倒れたの?」
と訊く。
番を見つけたらショックだった、というのは予想できるみたいだ。
「うん(それだけじゃないけど)」
「早いわね。あなたまだ五歳なのよ。まだ教えてもなかったのに……それにしてもそれだと……とうさまに会いましょう」
「とうさまはお忙しいって」
「早いほうがいいわ」
「そうなの?」
かあさまはにこっと笑むと、私の手を引いた。
かあさまが手を引きながら王族居住区を話をしてくれる。
「かあさまを見つけたのはとうさまだったのよ。かあさまのほうが年下だし、そんなにショックはなかったんだけど、とおさまだったらあなたの気持ちがもっと解るかもね」
「そうなんだー」
とうさまの仕事部屋の前にかあさまが立つ。
すると足元に精霊陣が浮かび上がってかあさまの頭頂部まで上がっていき、すっと消えた。
するとドアがさっと開く。
王族の居住区はどの部屋も似たような仕組みになっていて、これで来訪者が入っていいのか判別している。入ってきてほしくないときはそういうふうにもできるらしい。私は世話される五歳だから、全然そういうのはしたことないけど。
「リリアーナ、レティティア!おいで、レティティア」
とうさまの少し低い声に呼ばれて傍へ行った。
「レティは可愛いねぇ。それで、賢いレティがお話があるのかな?」
「レティ、お話してごらんなさい。とうさまに」
と、かあさまが言う。とうさまは私にめろめろだな。
「うん」
少し上目遣いにしてとうさまのショックが弱いことを願っていう。何せ溺愛されているから。
「番がみつかったの」
「なんだって!」