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霊界物語  作者:
1/4

第一話 死神との出会い


「あなたの寿命はこの夏休みが終わると同時に尽きる。」

高校一年生の夏休み初日。


朝起きて洗面所で歯磨きしていたらガタッと音がした。


なので音がした窓の方へ移動したらどういう訳か女の子がいた。そして、開口一番がこれだった。


正直に言おう。わからん。急にそんなこと言われてもどうすれば良いのかわからない。


実際俺は口が半開きになっていた。

「まぁ、そうだよね...急に言われてもどうすれば良いのかわからないよね〜」


「とりあえず自己紹介から私の名前はシク。

職業は死神でどんな事をやるかは君みたいに寿命が残り少ない人にその事を伝えこの先どうするかを聞いてサポートするって感じ。」


「わかった?」


「わかった」


「とりあえず君呼びじゃあれだし....君の名前を教えてくれるかな?」


「ソウだ。」


「ソウくんか....良い名前だね。」


「....で、俺はどうすれば良いんだ?」


「じゃあ、本題に入るね。」


「......」


「あなたには二つの選択肢がある。一つは諦めて死ぬかそれとも、残り少ない人生を生き抜くか。.....どっちが良い?」


彼女はとても悲しそうな目をしていた。理由は何となく分かる。


諦める選択肢が二つの選択肢の中にあるからだ。諦める人が多いのだろう。


だけど俺は....


「生き抜きたい。」


それこそが俺の選択だった。


「...!!」


その言葉をきいた彼女の顔が一瞬綻んだ様に見えた。


「そっか。じゃあこれから先予定とかある?」


「いや〜ない!」


「ガクッ!」


「予定無かったんだ...」


「アハハ....」


「じゃあ、私たちの世界に来てみる?」


「え?死神の世界って事?」


「違うよ。私たちは大きな分類で霊妖って呼ばれてる。そんで、私たち怪異が住む世界が霊界って所」


「え、じゃあ行ったら行ったで今すぐに死ぬんじゃ?」


「大丈夫安心して。ちゃんと戻って来られるから」


「......分かった。くよくよしてても始まんないしな。行くか。」


「その意気その意気!」


「準備ができたら声かけてね。」


「ああ」


そう言うと俺は早速準備を始めた。


(まずはスマホ、水であとはお菓子で良いか。)


「準備出来たぞー」


「了解。じゃあ行こう!」


そして、歩きついた所は駅だった。


「駅?」


「そう、それでこれ使えば...」


シクがポケットから取り出したのは真紫のカードだった。

機械がカードを読み込んだ次の瞬間空が曇り始めた。なんなら雨も降り始めた。


「これ大丈夫なのか?」


「うん、大丈夫。私に任せて。」


するとファーンという音がした。そして、雨の中から1つの車両が現れた。

「おお....」

思わずそんな声が出た。だって、見た目がえげつないのである。三つ目の鬼の顔が付いていたのだ。


「さぁ、乗るよ。」


「ああ!」


そうして俺たちが車内に入ったのを感知したのか。席に着くと同時に列車が走り出した。

そして、驚くことに列車は段々と線路から離れて行き上空へと向かって行ったのだ。


「すげぇ...!!」


「でしょ?このまま私たちの世界、霊界に向かうんだよ。」


「へぇ...」


雲に到達し雲の外に出ると、そこに広がっていたのは摩訶不思議な世界だった。その光景はまるで昔の日本の様な感じでそれをベースにして怪異風の飾りを付けたりと大分派手な感じになっている。


「次は〜霊界駅〜霊界駅〜。」


アナウンスが車内に響いた。


「降りよっか。」


「ああ」


そうして俺は初めて霊界へと足を踏み入れた。


「色んな奴が居るんだな。」


俺たちは駅周辺を歩いていた。そして見かける奴が人間っぽい奴もいれば怪物っぽい奴もいる。


「そうだね。霊妖は人間の姿のもいるけどどちらかというと獣の姿の方が若干多いんだよ。」


「へぇ〜」


「とりあえず、私について来て!」


「ああ、分かった。」


シクについて行った先は一件のデカい家だった。最早日本風の屋敷である。


「.......」


「さっ、行こう!」


「あ、ああ。」


そうして、俺は門をくぐった。


「ようこそ。私の家へ。」


「え...ここお前の家なのか!?」


「うん。そうだよ。」


(何つー富豪だよ。)


「羨ましい?」


「うーん....あんまし?」


「まぁ、そうだよね〜」


「お金持ちなんかの家に生まれても地獄だからね。」


「なんかあったのか?」


「ううん。何でもない。」


「......」


「とりあえず、外で話すのも何だし入ろっか。」


「ああ」


豪邸に入って行った。

豪邸に入ったら頭に桃色の角を生やした女の子がいた。


「あ!お帰りなさいませ。シク様!」


「桜。お客さまだよ。」


「あ...こ、こんにちは...」


「こんにちは」


「ひゃい」


返事をした後彼女はシクの後ろに隠れた。


「ごめんね。桜は人見知りで...」


「大丈夫。気にしないから。」


「ありがとう。君は優しいね。」


「俺は優しくなんかない。」


「.....?充分優しいと思うんだけど...」


「俺は違う。」


「....君は君が思っているよりずっと優しいよ。」


「......」


「じゃあ、君の部屋に案内するよ」


「ああ、頼む。」


玄関から上がって直ぐの階段を登った。登り切ると、そこには部屋がいっぱいあった。


「此処がソウ君の部屋だよ。」


シクは部屋の扉を開けて中を見せてくれた。


「おお。」


部屋の中は広く、生活に必要な家具や設備が整っていた。


「よし、荷物は此処に置いてゆっくりして。」


「もちろん外出はok。でも、夜になったら出歩かないでね。」


「何でだ?」


「本当の死神がうろついてるから。」


「....?本当の死神?」


「そう、私は死神の社会のはずれ者だからこんな事してるんだ。」


「なるほど、つまり本来なら俺を助けるって事はしないのか。」


「そう」


「じゃあ、あの時俺が死ぬことを選んでいたらどうしてたんだ?」


「....まず、霊界に連れて来て後は放置。後は察してもらえれば嬉しいかな。」


「......じゃあ、質問。」


「何?」


「もし、夜に出たら?」


「死ぬか逃げ切るかのどちらかね。」


「まぁ、逃げ切った人なんて居ないけどね。」


「そうか....」


「もしかして。夜に出掛けるつもり?」


「いや、万が一な」


「何時くらいに出たらダメとかあるのか?」


「深夜12時から朝6時までだと思う。」


「わかった。」


「とりあえず、暇だしどっか行こう。」


「どっかってどこ?」


「おすすめの場所だよ。なんか無いのか?」


そんな事を聞いたら何故か彼女は笑ってこう言った。


「じゃあ、行こうか。」


「お、おう。」


シクは満面の笑みを浮かべていた。その笑顔は何よりも美しいのでは?と俺は思うのだった。


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