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君との出逢い
「ママ、この桜綺麗だね」
「そうね、一番綺麗だね」
君に見えていますか?
この桜と君に似ている
この子あれから4年・・
春の風で桜が揺れていた。私(中根泉27歳バツイチ)は朝いつも駅へ向かう道を歩いていた。
その道には毎年私の心を春色に染めてくれる桜の木がある。この時期ここを通るのが出勤前の一番の私の楽しみだった。
青空の満開の今日は、特に綺麗で心が弾む、そんな満開の桜の下で悲しそうな少し怖ささえ感じる表現で、桜を見ている人がいる。
私より全然若そう、大学生かなぁ〜?と思いながら、その人の傍を通り過ぎようとした時、その彼の眼から涙がこぼれたように見えた、えっ!?と思い振り返った時には、彼は私と反対方向へ歩きだしていた。
その日はずっと、その彼の涙が気になって仕事にならなかった。明日もまた彼は来るだろうか・・・