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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

上司にいびられ、同僚から陰口をたたかれ、恋人が私を捨てた日、電話を掛けたら過去につながった

作者: K-02W

前に書いたものをいくつか変えて再投稿します。 よろしくお願いします

世界は幸運な人と不幸な人に分けることができる。 私は後者のほうだ、そう断言できる。 なぜかって? それはこういうわけだ。


「はぁ~!! もうねやってらんないわよ! うちの上司は私のことを目の敵にしているのか、無茶な仕事を押し付けてくるし! 同僚も私に対して冷たいし、手伝ってもくれないし! おまけに陰口まで叩かれてるし! もう最悪!!」


 私の名前は桜井 美琴。 株式会社ミカド・ホールディングスの関連会社に勤めるエンジニアだ。 社内環境は最悪、まぁ原因は彼氏の粕川 浩二のせいなんだけど。 浩二はここ御門グループの跡取りの一人で私が勤める会社の代表取締役社長。 結果全員からこのような仕打ちが・・・・。 その結果今私は会社近くの居酒屋でやけ酒を飲んでいる。 


「だぁ~!! もういや、でも浩二がいるからまだ・・・」


酔っぱらいながらふらふらと歩いていたら、目の前に知った顔の男がいた。 だけどその横には後輩の女が寄りかかっていた。


「浩二・・・、その女誰?」

「ん? あぁ美琴か。 こいつ俺の新しい彼女」

「え? なんで?」

「おまえさぁ? 地味で貧相な女のくせに俺みたいなイケメンに遊んでもらえたんだろ? じゃあな♪」


 そう言いながら浩二は後輩の女と共にその場から去った。 その時の後輩の女の振り向きざまの勝ち誇った顔がイラつく。 さらなる絶望から私は何も考えずにその場を後にした。

 次に記憶があるのは、電車の高架線の立体歩道橋の上。 まぁ簡単に言えば自殺というやつだ。 酔いと悲しみから正常なはんだが出来ずにいた。 もともとは作家志望だった。 なろうでも有名だったが、友人が盗作し私の作品を盗作しあまつさえ私が盗作したとして、作家生命を断たれ今ここにいる。


「なんで・・・なんで・・・、私がこんな目に・・・、もういやだよぉ・・・」


 私はそのまま手をかけて飛び降りようとした瞬間、何を思ったのか、浮気して捨てたくそ男に電話しようと電話をかけた。 呼び出し音が鳴ってしばらくして誰かが電話に出た。


『はい』

「おいよく聞け浮気野郎!! あんたのせいで私は今から自殺するんだからぁ! これは遺書の代わりによく聞いとけ!」

『はぁ! お前誰だよ! 浮気野郎ってなぁ! 俺は今まで誰とも付き合ったことはないわぁ!』

「はぁ?! 何言ってんだよてめぇ! 私はなぁ! あんた、粕川 浩二に遊ばれた地味女だよぉ!!」

『粕川?! 叔母さんのところかよ? あそこに息子いたっけ?』

「あ? あんた誰? 本当に浩二じゃないの?」

『残念ながらちげぇよ。 俺は・・・・カズマ。 カズマでいい』

「カズマ・・・さん。 ごめんなさい私間違えて別のとこに電話してしまいました」

『あぁ、それはいい。 ところであんた名前は? なんで自殺なんてしようとしてんだ?』


 それから私は彼ことカズマと電話で話した。 自分の名前になんで自殺しようと思ったかその経緯を・・・。 友達とか家族なら何か言ってくれるのだろうが、カズマはそのまま黙って聞いてくれてた。 


『なるほどねぇ。 んなことが・・・』

「本当にごめんなさい。 こんな愚痴みたいなこと」

『気にすんな。 最初の怒号でかなり参ってるなってわかったし』

「ほんとうにすいませんでした」

『でもそのえんじにあ?っていうのも大変だなぁ』

「ほんとそうですよ! ミカド・ホールディングスもなにやってんだか・・・!」

『ミカド・・・・、そうか・・・』

「あぁ~あ~、本当は絵本作家になりたかったのに、一体何やってんだか・・・」

『絵本作家?』

「いやなんでもないです! はぁ、なんか色々話したらすっきりしました。 じゃあそろそろ」

『あぁあぁちょい待って! とりあえず美琴さんでいいかな?』

「うん? なぁに?」

『また何かあったら、俺に電話してくれよな。 ストレス発散にはつきあってやるからさ』

「ふふふ、ありがとう」


 その日はそれで電話を切った。 不思議と周囲の大人に比べて大人びていてだけどどこか子供のような話し方をしていた。 

 次の日になると周囲の目線は好奇に晒された。 どうやら粕川が私を振ったことを社内に言いふらしたんだろう。 おかげさまで全員から腫れもののように扱われた。 最初はカズマの言う強気で行け!みたいなことを思ったが生来の内気な性格が邪魔をした。 それでも一週間なんとか頑張った。

 それとカズマに電話しようと思っていたが、なんでか出ない。 というか呼び出し音もならない。 どうしてなのか、それもわからない。 それでも毎晩に一回だけ電話をかける。 そんな生活が続いて一か月後の6月15日にまた電話をかけた。


「どうせ出るわけないのにね・・・」


 やっぱりあのカズマなる青年は、夢だったのか。 そうあきらめようとした瞬間だった。 プルルルルと呼び出し音が鳴った。


「えっ?! かかった?!」

『はい』


少したって電話に出た声は前より若く聞こえた。 私はその声に対してこう問いかけた。


「あの、わたくし桜井 美琴と申しますが。 カズマさんはおりますか?」

『にいさん? いますよ』


 にぃにぃと返答が着た後遠くのほうで声が聞こえた。「にいさん電話だよぉ!!」と・・・、それから少したって少し駆け足が聞こえてきて階段から誰かが下りてきて電話に出た。


『もしもし! 美琴か?!』

「う・・・うん・・・!」

『一か月ぶりだなぁ! 久しぶり!』


 その声を聴いて私は安堵した。 会社ではまともに会話できないが今ここではカズマと話せている。


『今日はさすがに愚痴じゃないんだろ?』

「うん」


 それから小一時間ぐらい色々話していた。 ただその途中でカズマからいろいろ質問があった。 例えば物価上昇とかエンジニアとは何か、一番謎だったのはアメリカがらみについてだった。


「それでね、アメリカから人が来るから私がいると雰囲気が悪くなるから来るなって言ったから休んだのに翌日になってなんで昨日休んだんだ! まったくお前はだから役に立たないっておこられたしさぁ~」

『ちょまて! 亜米利加からなんで人がくんの? だっていま・・・』

「えぇ? カズマなにいってんの? 第二次世界大戦じゃあるまいし。 日本とアメリカは今では互いに友好関係だよ」

『・・・・・戦争が終わったってことか? どっちが勝った?』

「え? アメリカ含む連合軍だよ。 それがどうかしたの?」

『そう・・・なのか・・・・・』

「どうしたの?」

『・・・いやなんでもない』


 それから私とカズマはたわいもない話をしてその日は会話を終わらせた。 一つ気になるのは、カズマがアメリカとの戦争に負けたと聞いてから少し気分が落ち込んでいるように感じた。

 その電話の翌日、私が会社に行くとへーこらへーこらしている上司とさも自分が偉いかのように話している粕川、そしてその隣にイケメンの好青年がいた。 周りの話を聞いているとどうやら本社から視察で人が派遣されたらしく、その好青年はミカド・ホールディングスの経営者の孫というのだ。 でもたぶんミカド・ホールディングスは私のような末端社員には興味ない。 あったとしてもどうせ遊びなのだとそう思いながら、仕事にとりかかった。 

 いつものように周りからいろいろ言われながら仕事を片付けてはや一か月、ようやくカズマと電話できるとウキウキ担っていた。 そんな時だった上司から怒鳴り声と共に明日までの仕事が舞い込んできたのは・・・。 おかげで会社で徹夜である。


「はぁ・・・、全然終わらないよぉ・・・。」


 時刻はもう11時ぐらい・・・、会社にはもう誰もいない。 帰って寝たいと思った瞬間だった。 私はせめてひとことぐらい彼の声が聞きたくなり電話した。


「聞きたい・・・、いいよね?」


 またいつものようにあの番号にかけると、数回の呼び出しの後、カズマが電話に出た。


「もしもし」

『もしもし! 俺だよ、俺』

「ごめんね、こんな夜中に」

『いや大丈夫。 俺もさ、お前に話したいことがあって電話したんだ』

「話したい事?」

『うん、多分これが最後の電話になるだろうから・・・、話したくてな』

「・・・え?」


 最後の電話、それは一体どういうことなのか? 


『俺、明日から遠いところに行くことになったんだ。 すごい遠いところでな』

「うん・・・」

『多分な、もう電話はできそうにない・・・。 だからさ・・・最後に話したくてな・・・・・』

「そう・・・なんだ・・・・・」

『それでさ、美琴・・・。 いつかのお礼にある贈り物を送ろうと思う』

「贈り物?」

『うん、だからさ・・・』

「ねぇカズマ」

『・・・なんだ?』

「今から会えない?」

『・・・むり・・だな』

「なんで?」

『だってそれは・・・』

「私のことを見るとがっかりするから?」

『違う!そうじゃな』

「だったらなんで私と話したいのよ! 直接会いにくればいいじゃない!」

『だから話を聞けって! それに・・・』

「もういいよ知らないばか!」

『あっおい!』


 私は怒りのまま電話を切った。 それからしばらくは電話は来なかった。 きっとカズマはどこか遠いところに行ったのだろう。 それからしばらくは何も考えられなくなり仕事も手につかなくなった。 上司からの嫌味も全く耳に入らないし、同僚や粕川にぶつかってもまるで幽鬼なのかと思われるぐらいに生気を感じられなかった。 家で飲んでいてもこの喪失感は消えない。 粕川といたときは離れてもここまでひどくならなかった、それどころか生まれて初めて感じたこの喪失感はいったい何なのか。


「そっか・・・・わたしカズマのこと好きに・・・ひぐっ・・・うえぇぇぇぇ」


その日の夜、私は酒の力もあったからなのかたくさん泣いた。 きっと彼に嫌われてしまった、私の初恋は幕を閉じた。 そんなことを思いながら・・・。


 それから一か月がたった8月15日・・・。 私は突然本社に呼ばれた、何かしでかしたのか? そんなことを考えながら本社に向かうと会長室に通された。 そこには粕川と前に見た本部から視察に来た人、それと二人の男性の計4人がそこにいた。


「おいおい、なんでここに地味でブサイクの女がいんだよぉ~」

「会長がお呼びになったんだ。 いいから黙ってろ」

「んだとてめぇ!!」


 二人が小競り合いを始めようとした瞬間、会長専用の椅子が動いた。 そこにいたのは90近いおじいさんだった。 そしておじいさんは私を見るやこっちに来なさいと手招きをした。

 私は自分を指さしながら会長の近くに寄った。


「君が・・・、桜井 美琴さん・・・・・だね?」

「あっ・・・、はい・・・」

「うんうん、ようやく会えたね」

「え?」

「皆、いったん席を外してくれ。 儂はこの人と少し話がしたい」

「はぁ?!」

「しかしおじい様・・・」

「はやく出ていけ!」


 会長の怒号で全員がその場から出た。 そして部屋の中には私と会長の二人が残った。 すると会長は机から一枚の封筒を取り出し、私にソファーに座るように指示を出した。

 もしかして私は会長の後妻にでもなるのか? とありえない疑問を持ちながら座っていると対面に会長が座って声を発した。


「きみが兄さんと電話していた相手とは・・・。 ずいぶん不思議な話だね」

「兄・・・さん・・・?」

「おっと、君の前ではカズマと名乗っていたのだったな」

「カズマって・・・あのあなたは?」

「おっと申し遅れた。 儂の名は御門 次郎。 御門 一真の弟です」

「えぇ?!」


 私からすれば驚くしかない。 初めてカズマの本名を聞いたし、弟? そういえば一回電話した時に子供が出た記憶があるがあれがまさか・・・。


「大丈夫かい? 話を続けてもいいかな?」

「えっと・・・、はい・・・。 たぶん」

「不思議な話だよ、まさか兄さんの思い人が今の時代の人間とは・・・」

「思い人・・・ですか?」


そういうと会長は私の名前が書かれた白い封筒を渡してきた。


「これは?」

「儂の兄、御門 一真が書いた手紙じゃ。 読んでみてくれ」


 そう言われて私はその場で封を開け、手紙を広げた。

『桜井 美琴へ

 この手紙を読んでいるということは、無事に次郎から手紙を受け取ったということでいいんだろうな。 改めて俺の名は御門 一真。 御門家の長男坊だ。 この手紙を書いている1944年は大東亜戦争、君の言う太平洋戦争の真っただ中でな。 俺のもとにも赤紙が来た。 これから俺は戦地に向かうけど、多分生きては戻ってこられないかもしれない。 だからあの時最後の電話の時に話そうと思ってたんだが、お互いが変に意固地になってたな。 

 だからさまず、最初に謝らせてくれ。 何も言えなくてごめんな。 あの時ちゃんと言っても信じてもらえなかったかもしれないから黙っちまった。 そのせいで美琴、君を傷つけちまった事、深くお詫びしたい。 初めて電話をもらった時、俺はお前に惚れた。 まぁ一目ぼれというやつだ。 でも話を聞いているうちに時代が違うと気づいてな、会えないことを悟っちまった。 

 だからさせめて君へ最後のプレゼントを用意した。 受け取ってほしい。

 そして願わくば、こんな死人のことなんか忘れて夢中になれるものを探すんだ。 誰にだって幸せになる権利はある。 俺こと御門 一真は桜井 美琴を天国から見守っている。 じゃあな 

                                      御門 一真』


 そんな手紙を読んで私は目に涙を浮かべていた。 うれしかった、彼は私を見捨ててはいなかったのだ。 それどころか遠い未来に向けて届かないかもしれない手紙を出すなんて・・・。


「兄さんは常に偶然を信じなかった。 それどころか物事には必ず何らかの理由がある。 とな」

「はい・・・」

「出兵直前、兄さんは儂に今後のことと対処のための方法が書いてあるノートや二通の手紙を渡してきた、一つはそれ、もう一つは儂宛にだ」

「はい・・・」

「儂への手紙には、御門家を頼む。 それといつかの未来で必ずこの手紙を桜井 美琴に渡せ!、そして必ず彼女が望むことを手伝ってやってほしい!と書いてあった」


 どうやら一真は私のことを弟に託して戦地に赴いたようだ。 本当に馬鹿な奴だった。 私のような地味女を守るために色々やってくれた、でもそれだけでもうれしかった。


「さて・・・、それではの。 君への贈り物を送らねばならんの」

「贈り物?」

「君の書いた絵本を儂の関連する出版社から出させてほしい。 もちろん契約金も払おう」 


 私は前に一真に絵本作家になりたかったことを打ち明けたことがあった。 彼もそれを覚えていたらしく、私の夢の支援を贈り物として、送ってきたのだ。


「どうする? うけとってくれるかね?」


 さてその後のことを話そう。 私はミカド・ホールディングスからの援助を断った、でも当の次郎さんは「あの世に行って断られたと言ったら兄さんになぐられるからせめて陰から手助けをさせてくれないかね?」と苦笑いしながら言ってきた。 どうやら一真は小さいころからおっかなかったらしく、私が断ったらあの世に行っても一真に殺される・・・。 そう思っていたらしい。 

 そしてもう一つ、次郎さんは私にミカド・ホールディングスの次期トップを決めてほしいと言ってきた。


「なんでわたしがトップを?!」

「なんでも何も兄さんがそう書いたんじゃ。 どうやら今の御門は狂っておるから、不満しかない代表格である君に代表を選ばせろと。 まったくとんでもない兄じゃよ

「あはははは・・・・」


 私は、真っ先に次郎さんの孫である宗助さんを指名、次郎さんは笑いながら、宗助さんを選んだ。

 え? 粕川 浩二はどうなったかって? どうやらいろんな奴にお金を渡したり女関係がやばすぎるってことで、代表候補から落ちた後家にも帰れないんだって。 もちろん私が勤めてた会社もミカド・ホールディングスから切り捨てられ、潰れた。 私以外全員が路頭に迷っていると聞いた事もある。 私は潰れる前に会社を辞めて田舎にある一軒家で執筆活動を続けている。

 引っ越した原因は、粕川 浩二にある! 潰れた直後私の家までやってきて・・・。


「なぁ頼むよ美琴! このままじゃ俺は終わりだよぉ~!! 何とか当主に取り次いで俺のほうが優秀だとアピールしてくれよぉ~~!!」

「もういい加減にしてよ! 警察呼ぶよ!!」

「なんでだよぉ!! お前が俺じゃなく宗助なんか選びやがってこのブサイクくそ女がぁ!!」


 当時の彼は心も体もおかしくなっていて、私に殴りかかろうとした、でもそれを助けてくれたのは宗助さんだった。


「やめろ、粕川!」

「てめっ! なんでここに! そうかくそ女! 今度はこいつに乗り換えたのか! 尻軽あばずれがよぉ!!」

「いい加減にしろ!!」

「大体この女もよ、きっと当主に体でも使って迫ったんだろぉ? そんな貧相な体でよぉ!!」


 二人の男がもめ始めた瞬間、私の頭の中の何かが切れる音がした。 私のことはどうでもいい、でも当主・・・いや、彼を侮辱された気がした。


「いい加減にしてよ!!」

「「?!」」

「確かにあんたみたいなクズと一時期付き合って捨てられた。 でもね! 私はもうあんたの奴隷なんかじゃない!」

「「・・・・・」」

「そうそう、私の中にあんたはもういない、粕川さん」

「・・・・・え?」

「もし付き合いたかったら、私の中にいる最高の男!【御門 一真】を超えてみろばぁーーーか! あんたみたいなクズ野郎には一生無理だろうけど!!」


 そう告げた後、私は彼の股を蹴り飛ばした。 粕川はその場でうずくまり、宗助さんはフリーズしていた。 そのことを次郎さんに言うと笑いながらこの家を格安で売ってくれた。

 その家はかつて、一真が住んでいた家。 そしてその書斎で私は絵本を書いている。 本当にいろいろお世話してくれた次郎さん、そしていろいろ頼んでいたカズマには頭が上がらない。 そして今私は御門 宗助さんと一緒に暮らしている。 なぜかはわからないが突然彼がここにきて一緒に住まわせてほしいと言ってきた。 不思議なことがあったものだ。


 翌年の8月15日。 私と宗助さんは御門家が所有するお墓の前にいた。 墓石の横には【御門 一真】【御門 次郎】の名前が彫られていた。 当主は半年前に亡くなり今は、宗助さんが当主になっている。 


「じいちゃん来たよ」

「おじいさん御無沙汰しています」


 私たちは当主がなくなる前に結婚した。 残念ながらひ孫は抱かせることができなかったが・・・。 わたしは膨らんだおなかを抱えながら墓前にお花と写真を添えた。


「その写真は?」

「うん、次郎さんがくれた写真で兄弟が笑顔でうつってるの」

「そっか・・・」


 その写真には、一人が軍服を着てもう一人がタンクトップと長ズボンを着た少年が肩を組んでピースしている写真だ。 


「まだ君の中に一真さんはいるのかな?」

「うん、だって私の初恋の人だもん」 

「そうか。 一真さん! あなたから必ず美琴を奪ってみせます!!」

「ふふ、何やってるのよ」

「宣戦布告だよ」


 今の私は幸せです。 一真さん。 そこから見ていてください! あなたが笑顔になるぐらいに幸せになりますから!! 彼と一緒に!

・桜井美琴(25)

エンジニアでいつも上司からいびられ、同僚からも陰口や無視されている。

ある日、彼女はいろいろ参ってしまって自殺しようとした瞬間、元カレに電話で暴言を吐くが全くの別人だった。

性格は内気で内向的。 かつては絵本作家を目指していたが周りにばらされ、大人になってからも売れず、持ち込みしてもその場で破かれたりと不幸続きの末、引きこもり気味になった過去を持つ。


・御門 一真(当時25)

大正生まれ、性格は冷静沈着だが曲がったことが大嫌い。 そのため弟や友人が嘘をつくとキレることもあった(次郎がおっかなかった原因は自分に合った)

初めて美琴から電話をもらって話しているうちにどんどん好きになっていくが、電話が未来からきていると確信し、彼女のために色々手を尽くした。

最後は出兵し、戦地で死亡した。

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