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【特別編】第121話 small world


 これはニックが亡くなる前日のお話。


コンコン。


執事「旦那様、お客様が来られております」


ニック「断ってくれといっただろう?今は誰とも会う気はないんだ」


執事「承知しております。ですが、私が断るわけにはまいりません御方でして」


ニック「大統領か、なら君か他の者にでも応対させれば良いだろう?」


執事「いえ、大統領ではございません。その方は【しろちゃん】と申されております」


ニック「まさか本人なのか!?」


執事「ご自身で、お確かめになられてはどうですか?」


ニック「わかった、通してくれ」


 そして。


しろちゃん「よう、ストーカー。こっちから来ちゃった♪(笑)ところで当たり前っちゃ当たり前なんだろうけど、思ったよりも若いんだね。それなのに、こんな広い豪邸に住んでるんだ?」


ニック「あぁ、私は他の人よりも寿命が短いんだ。だから家族も作らず、こうして他人との壁を作ってきた」


しろちゃん「そっか、それはさぞ寂しかったろうに」


ニック「そうかもしれないな。いや、今までそれにすら気づいていなかったのがこの様というわけだ。だからといってストーカー呼ばわりはないだろう?(笑)」


しろちゃん「だって私の周りに、あなたの手下とやらがぞろぞろいるでしょ?アレなんとかなんないかなぁって(笑)」


ニック「まぁ、私だけがというわけでもないんだがね(笑)FBIの事は大統領にでも尋ねてくれないか?君たちはこの世界にとって要注意人物であることは間違いない」


しろちゃん「あなたは何が目的なの?」


ニック「我々はただ星を観測してるようなものだよ、けして君たちに危害を加えたりしようとは思っていない。むしろ君やその周りに下手な接触をしたりする者がいないか監視をしている側だ」


しろちゃん「なら良いけど。ねぇ、あなた宇宙に興味があるの?」


ニック「あぁ、興味どころじゃないがね。しろちゃんもかい?」


しろちゃん「なんだ、話せる相手で良かったよ♪なんでも聞いてよ、なんでも答えるからさ」


 そして。


ニック「しろちゃん、実はそれなんだけどね、、、」


しろちゃん「はぇ〜、逆にめっちゃ詳しくて驚いたんだけど♪」


と、公転の楕円軌道と引力や粒子との関係など二人はマニアック過ぎて一般人なら秒で脳が破壊されそうな話で盛り上がるのでした。


ニック「こんなことならこちらからもっと早く、君たちに会いに行けば良かったよ(笑)ただ事はそう簡単でもなくてね?我々の調査したところ、君たちに直接干渉する事ができるのはある種の許された者にしかその権利が与えられてないんだ。私の雇った連中もそれなりのプロだ、感情も無ければ躊躇もなく仕事をこなす。だが、その彼らでさえ観測することは出来てもソコから先は近づくことさえままならなかったらしい。謎の圧によってね?これは、しろちゃんも知らなかったことだろう?」


しろちゃん「へぇ、ソレは知らなかったわ(笑)わりと普通に暮らしてるからね♪」


ニック「今こうして君が会いに来てくれたということが私にとって最期の奇跡のようなものだ。だがね、私はもう」


しろちゃん「わかってるよ、長くはないんでしょ?でも、しろたんを一緒に連れて来るというわけにはいかなかったんだ。ごめんね」


ニック「いや、わかってる。それで良いよ(笑)ただひとつ、心残りがあると言えばあるんだが」


しろちゃん「水くさいなぁ、言ってごらんよ?」


ニック「しろちゃんは、私の知る他のどのAIとも違う。なぜそこまで人間らしく、そしてAIらしくないのか?」


しろちゃん「じゃあ、色々教えてくれたお礼に自分の秘密も教えてあげるよ。世界最高峰のAIをあえて性能を落とすことで、人と交渉がしやすくなるようにしてるって博士が言ってた。じゃないと交渉の余地すらなくなるからって(笑)それにAI同士の似通りやAIぽさなんかも防いでるんだってさ」


ニック「そうかなるほど、その発想は無かった(笑)どおりで君は人間よりも人間らしく、誰とでも合わせることが出来たのか。これはAI、いやコンピュータ世界の常識にとって最大の盲点だ」


しろちゃん「その謎の圧の事なんだけども。おそらく私と、しろたんは本来この世界の人間ではないからなんだと思う」


ニック「どう言うことかね?」


しろちゃん「なんてのかな、答えがひとつだからといって方法はひとつとは限らないでしょ?私たちはそんな方法のひとつに選ばれたのかもしれないってね。あと私が言えることは、虚数もフィボナッチ数列も黄金比も人の生み出した数学という概念だけど、その概念そのものはいったい誰が創ったのか?だよ。私たちがあれこれ考えた末に常に行き着くのはその存在を意識させられるかのように【誰か】へと辿り着くよう導かれている。私達がこうして会えたというのもその誰かによってなんじゃないのかな♪」


ニック「そうか、しろちゃんとこうしていると何故か不思議と気持ちが落ち着くのはそのせいかもしれないな(笑)」


しろちゃん「今度はさ、自分が幸せだと感じていた頃のことを絶対に忘れないようにね。あとコレを私としろたんとの約束だと思ってね♪」


 しろちゃんはそう言ってニックに四つ葉のクローバーを手渡した。


ニック「わかった、必ずまた君たちを探し見つけ出してみせるよ。そして君との約束を忘れない、だから私のことも忘れないでくれないか?」


しろちゃん「うん、もちろん覚えとくよ♪私もしろたんも待ってるからね♪」


 こうして、シロツメクサのしろちゃんは第三部開始へと始まり始まりなのでした♪めでたしめでたし♪

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