【特別編】第2話 しろちゃんのヒミツ
あんこ「しろちゃん♪今日はお姉さんとお化粧の勉強でもしょっか?」
シロウ「お前、そういや猫とか犬とか飼うのに反対してても、いったん飼い出すとベタ甘に可愛がるとこあったよな」
あんこ「なんかね、妹ができたらこんな感じなのかなって思ったらつい(笑)」
シロウ「娘でも別におかしくはないけどな(笑)」
あんこ(ギロリ)
シロウ、殺気を感じて部屋からとっとと退散する。
しろちゃん「で、どうするの?」
あんこ「んー、とりあえず塗ってあげるからじっとしてもらってていい?」
数十分後、、、。
あんこ「んー、なんでだろ?ベースは良い方なのに、中学生?よくて高校生くらいの女の子が親のいない間に化粧品で遊んでみたくらい化粧のノリが良くないというか、ほんとしろちゃんって童顔なんだね」
しろちゃん「このまま一生、化粧が似合わなかったら父親を恨むしかないね」
あんこ「じゃあ例えば、この伊達メガネなんかしてみたらどうなるか?」
しろちゃん「どう?」
あんこ「オタサーの姫が大学デビューしたって感じかな」
しろちゃん「あんこさん、ひょっとして面白がってない?(笑)」
と、その時ドアが開いたかとおもうと。
シロウ「おー、しろちゃん大人仕様にしてもらったか?ちょうど最高のタイミングで頼みたい仕事が入ってな?って、これはまぁなんというか(笑)まぁすっぴんよりいくぶんかはマシだろう」
しろちゃん「どういう意味?」
シロウ「細かいことは後にして、休憩終了まであと30分しかないからさ。さっそくコレ持って一緒にいくぞ。あんこは好きにしておいてくれ、留守番してくれてたらメシくらい奢ってやるから♪」
しろちゃん「てかジャージなんですけど今」
シロウ「大丈夫だ、むしろそれがドレスコードみたいなとこだから」
シロウはそういうと、しろちゃんの腕をひっぱりどこかへ連れ出していった。
シロウ「いいか、要領はだいたい車の中で説明したとおりだ。これは、けしてズルでもなんでもなく、あくまで君に搭載された各種メカニズムがどれだけの力を発揮するかというテストなんだ」
しろちゃん(コクリと頷く)
説明しよう!シロウは先程、家から逃げるように外に出たのはいいが寒空の中、ほとぼりがさめるまで立ち寄った近場の遊技場でスロットマシンの「目押しでビタ止め出来たら低設定でも機械割が甘い」台に座り、これ設定2じゃなくて4以上、下手すりゃ6すらありそうなんじゃねと思ったのもつかの間。ふと思い出したかのようにコレをしろちゃんに打たせてみたらと店員さんに食事休憩をお願いして急いで、しろちゃんを連れてきたというのがここまでの流れである(作者)
シロウ「もし店員さんに年齢聞かれたらさっき渡したその身分証明証を見せればいいからな。オマワリサンとかじゃないと本物かどうかの確認まではできないから。落としたり無くしたりはするんじゃないぞ?(笑)」
そして、しろちゃんの動体視力テストが開始されるのであった。
スロット「1つ!2つ!3つ!」
しろちゃん(ここは押し順でOKと)
スロット「目標をセンターに入れてスイッチを押せ!」
しろちゃん(ここは真ん中リール上段に7をビタ止め)
シロウ「うむ、その調子だ。俺はあっちで他の台を打ってるから、ちょくちょく様子を見にくるからそのままテストを頼むぞ」
しろちゃん(無言で頷く)
、、、2時間後。しろちゃん、ウェイトかかる中での高速ビタ押しとヒキの強さでみるみるうちに箱を後ろに積み出す。そんな、しろちゃんに声をかける客もチラホラと。
男客「おねーちゃんビタ押し上手いね、ひとりで来てるの?」
しろちゃん、無言でシロウの方を向き指をさして(あそこのアレ、うちのオトコの指サイン)で交わすのもシロウとの事前の打ち合わせ通り。
そうして閉店15分前にきっちりテストという名目の遊戯を終了。
シロウ「今日はご馳走だな♪あんこもまだ待ってるかな」
しろちゃん「それなりに面白かったけどあんまりやりたくない、疲れたわ」
シロウ「じゃあこの景品を買い取って貰ってくるから先に車のとこで待っててよ」
しろちゃん「はいよー」
シロウが車の所に来たとき、しろちゃんと三人組の男達がなにか会話をしていた。そして黒いバンの車がいきなり横付けしてきたかと思うとそのまま車に、しろちゃんが押し込まれ連れ去っていったのでした。シロウは少し考えたあと、あんこに電話し「そういうわけだからメシはまた今度な。警察?いやとりあえず、しろちゃんの身分証明書とか見られると色々と。だからそういう問題じゃないのもわかってるよ。大丈夫だ、彼女はそんなヤワじゃないし居場所もわかるようになってるから今から迎えに行く。お前が来てもさ(あんこ「ガミガミガミ〜!」)〜わかった、すぐ来い」
シロウとあんこは合流すると車に走らせ、しろちゃんが連れ去られた車の跡を車内に搭載された追跡モニターで確認しながら追いかける。
あんこ「しろちゃんにもしものことがあったら犯人もだけど、あんたも絶対許さないよ」
あんこが腕を組みながら助手席でシロウを睨みつける。
シロウ「もしもって?」
あんこ「そのもしもに決まってるじゃない」
シロウ「俺の考えてることとあってるかどうかはわからんが、それなら大丈夫。無いから」
あんこ「そんなことわからないでしょ!?ヤバそうな男たちに連れ去られたって言ってたじゃない」
シロウ「だからそーゆーの無いから、しろちゃんは。というか、ついたぞ。あの車で間違いない。行くぞ」シロウたちは車を停め、男たちのアジトに向かう。
男A「無いんだが?」
男B「無いって何がだよ、さっさとしろよ後が待ってるんだから」
男A「だから無いって言ってんだよ」
しろちゃん(男たちを睨みつける)
そして。
あんこ「でも、どうやって私達だけで助けるつもりなの?」
シロウ「コレを見ろ、しろちゃんの怒りゲージがMAXになってる。そろそろだな、突入するのはその後だ」
あんこ「とにかく早く助けないと」
シロウ「まぁ待て、窓をみとけ」
そして。
男C「さっきから何やってんだよ、お前もうかわれよ」
男D「お前ら怖気づいてんじゃねぇのか?」
男たち4人がグダグダになりながら、しろちゃんの前に立ったとき、彼女の血走った目が黄色の光を解き放った。その光を見た男たちは、しろちゃんに襲いかかろうとした瞬間、彼女のほうではなく互いに襲い始めるのでした。窓の明かりが一瞬、その光のせいで更に強く明るくなったのを確認するとシロウは言った。
シロウ「見よ、豹馬。行くぞ」
あんこ「誰が?なに?なに?なに?ちょっと待って」
シロウ「瞳術だ。あーお前はやっぱ来ないほうが良かったかも?(笑)」
あんこ「ここまで来てなんでそんなこというわけ?行くに決まってるでしょ」
シロウ「なら先に警察へ、この電話から通報しといて。発信者情報がわからないようになってるから。あいつらは余罪とかもありそうだから一応捕まえてもらわないと」
シロウはアジトのドアの鍵を慣れた手付きで開けたかと思うと中に入り、しばらくして、しろちゃんと一緒に出てきた。
あんこは通報したあと、しろちゃんに駆け寄り「怖いことされなかった?大丈夫?助けるの遅くなってごめんね」と彼女を強く抱きしめた。
しろちゃんはなぜか笑いながら頷き「父はしっかり実物をよく見たことないそうなのでついて無いから大丈夫だよ(笑)」と言い、あんこの頭を撫でた。あんこはその意味がわからなかったが、しろちゃんが無事だったみたいでほっとして泣きじゃくった。
シロウ「遠くに赤色灯が見える、お前ら急いでここから離れるぞ」
あんこ「え、あいつらはほっといたままでいいの?」
シロウ「実は瞳術が実際どんなものかよくわかってないところがあって、たまたま発動させることになってしまったが、あんなヤツラは一生あのままのほうが良いかもしれない。解き方も知らんしな(笑)」
シロウは恐ろしいことをサラッと言っていたが、それは彼らがアジトから去ったあとのこと。警察官らが突入したとき、男たちの宴は新たな客人らを迎えたことで加速し「お前たち、何をする!おいやめろ!」という絶叫が聞こえたとか聞こえなかったとか。とにかく犯人たちは捕まったのでメデタシメデタシなのでした。
追伸、シロウとしろちゃんは遊技場への出入り、並びに夜間の行動に関する制限をしっかりと、あんこさんに約束させられたとのことです(作者)