起立性低血圧の恐ろしさ
「…あら。朝の6時から頑張ってメンテナンスしてくれていると思ったら、まさか寝てたのね。」
「それにもう一人の…有間君はどっかに行っちゃったのかしら。全く、後で注意しないとね。」
集合時間が8時30分に対し、8時25分…つまり遅刻寸前できた梅原は、誠介を見るなり、嫌みを言い始めた。
「梅原ー。流石に6時はきついって。そんなにやる事あるのか?」
「そうだぞー。劇とか売店だったらミスあったら大変なことになるけど、別にこれはいいんじゃねーの?ミス見つかってもその時に直せばいいじゃねーか。こいついきなりぶっ倒れたんだぞ。」
井上と石橋が反論し始めた。
「倒れた?そんなの6時に来たことと関係ないでしょ。それn」
「いや、低血圧だったら関係あると思うよ。」
梅原の話を遮って話し始めたのは、尾鳥よもぎだった。
「あ、尾鳥。おはよー。」
「おはよ。」
「それで?朝早く起きることと低血圧にどういう関係があるわけよ。」
梅原が、よもぎを見下して言った。
「うん…私もよくわからないんだけどね、低血圧の人って朝が弱いって言うでしょ。それはね、自律神経が上手く働かないからなの。」
「ほうほう。それで?」井上が合いの手を入れた。
「それでね…。低血圧は3種類あると言われているんだけど、一条って何をしたときに倒れたの?」
「えっとな…確か椅子から立ち上がった時だったかな。」
「だったら多分、起立性低血圧なんじゃないかな。だからそのことをふまえると、朝早くに起きてまだ活動出来る状態じゃなかったんじゃないかな、でその状態で急に椅子から立ち上がったから倒れたんだと思う。多分!」
よもぎは、説明をしながら、ベースケースを下した。
「…ふん。あっそ。」
梅原は決まりが悪そうに教室の中に入っていった。
「んだよあいつ。」
「俺やっぱ嫌いだなー。」
そういいながら、2人はカバンを端に寄せていた。
「でもさ、だからって2,3時間も倒れ続けるのか?」
井上が誠介を見ながら言った。
「それはただただそのまま寝てるだけなんじゃ…。」
よもぎは呆れていた。
「あ、そういえばさ。佐久間の仮楽屋ってどこか分かるか?」
「音楽室の奥にある楽器室。何で?」
「いやな。有間と佐久間がそこにいったままかれこれ1時間は帰ってきてねーんだよ。」
「へ?茉莉ちゃんはいたけど有間は…ってもしかしてあの美少女!?」
「…ちょっと聞かないでおく。」
「いや~。ほんっと楽しみだな。」
急ににやにやし始めた井上と石橋を見て、よもぎはボソッと呟いた。
「なにこいつら…なんかキモイ。」
「ほらほら。みんな静かにして―。今から1,2組合同朝の会始めるぞー。」
1組の担任である西板琉惺が来た。
説明合ってると思う…多分!