小説の評価 「物語性」「表現性」「共感性」
こんばんは、今回は小説の評価について。
すばらしい小説とされるものはタイトルで挙げた「物語性」「表現性」「共感性」のどれかがずば抜けて高いものが多いと思われます。もちろん、中には天(作者)に二物も三物ももらったような小説があるかもしれませんが。早速この三つについて説明したいと思います。
「物語性」……一番オーソドックスかもしれません。人類の敵だった魔王に実はこんな事情があったのか!とか敵だと思ってたやつが実は味方に!?とかそういう感じです。個人的にバトル系のラノベはこれに該当するものが多いような気がします。
ただ、展開が王道だけど努力や成長の過程が丁寧に描かれてライバルとの戦いが熱く描かれている純粋なスポ根物やバトル物は「物語性」が高いのか「表現性」が高いのか一概には言えないかもしれません。
他にもミステリーがこれに該当するのではないでしょうか。SFはどうなんでしょう。「表現性」のような気もします。
「表現性」……恋愛物とかはこれに該当するのではないでしょうか。一部を除けば恋愛小説はラノベもラノベじゃなくても、ストーリーだけを並べればありきたりのものが多いです。でも面白い、と思えるのはその当人たちの気持ちが克明に表現されているからだと思います。
あまり読まないですが描写がしっかりしたファンタジーや、青春小説などもこれに該当するのではないかと思います。
「共感性」……読者を主人公に共感させて作品世界に引きずり込むもの。表現性と被るようにも思えますが、個人的には主人公の描写が細かくされるほど完全に共感できる確率は下がっていくので、案外ある程度の属性だけ決めておく方がいいのかもしれません。多くのなろう系はこれに属するのではないかと思っています。
なろう系は作者が意図して読者が共感しやすいキャラを作っている(もしくはテンプレ的な主人公が読者の共感しやすいキャラになっている)ところがありますが、作者が全く意図しなくても偶然、「俺はこの作品の主人公の気持ちを完全に理解した!」という瞬間が訪れることはあると思います。意図せずこういう瞬間が訪れるとすごくうれしくなります。
という以上三要素があることを踏まえて、どれを目指して書くのかというのははっきりさせて書いた方がいいような気がします。もちろん複数要素を両立させることも理論上は可能ですが、難度はあがるでしょう。
あと、この話とは微妙に関係ないのですが、私は小説(に限らず他の創作も)は加点方式だと思っています。めっちゃ物語が面白いと思えば、いくら文章が雑でも、誤字脱字があろうともその評価は揺らがないものです。すごい表現力があれば平凡な男女の恋愛も名作に昇華出来ることもあるでしょう。
逆に言えば、失点を可能な限り減らしたところで名作はなかなか生まれません。まあまあの日本語で、不自然ではないストーリーがあり、登場人物の心情が理解できるように描写されていて、主人公が共感可能な人物だったとしても、おもしろくない作品になることはありえます。
特に今回は結論もオチもないです。