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勇者魔王魔法少女悪役令嬢錬金術師  作者: 鎌ろん
第一章:悪役令嬢の復讐
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吸血鬼の娘1

 私は自分の手で壊して救った町で一晩を過ごし、その町にはすぐに別れを告げた。

 その後はすぐにコーライン王国に入り、道の途中に有った2つの町でも前の町と同じように自作自演での瘴魔力と聖魔力の回収を行った。


 そうしていて思ったのだけれど、魔法少女の認識阻害ってかなりイカれた能力ね。これのお陰で私が騒動を起こしているとは全く疑われないわ。突然現れた謎のゴーレムも、どこかの研究施設から抜け出した物だと思われているわね。

 このやり口に一番乗り気でないのがシロミンだけれど、一番役に立っているのがシロミンがくれた魔法少女の力というのが何とも皮肉ね。


 そんなことを考えつつ道を歩いていると、次の目的地の町、コーライン王国ハミング伯爵領の中心都市へと辿り着いた。


『お?いきなり町に入るのか?いつものように荒らさぬのか』

 そのまま町へ入ろうとした私に、グラトが不満げにそう言う。


「そんな行く町行く町を全て荒らしていくわけないでしょう。この町には別の用事があってきたのよ」

 頭が残念なグラトの言うことは適当にあしらう。そして、私は町の中をどんどん進み、この地を治める領主が住んでいる城の近くへとやってきた。


 そういえば、大事なことをシロミンに聞くのを忘れていたわね。


「シロミン、魔法少女の変身を解くには、どうしたらいいのかしら?」

「変身を解いちゃうっキュか?それなら変身解除って唱えればいいだけっキュ。でも、ここでエメシーだとバレるのは危険じゃないっキュか?」

「大丈夫よ、多分。それでは変身を解くわ。『変身解除』」


 そう唱えると、魔法少女に変身した時と同じような輝きが私を包んだ、そして、次の瞬間には私の服装はあの派手な魔法少女の衣装ではなく、以前の公爵令嬢の服に戻っていた。髪ももちろん黒髪に戻っている。

 魔法少女の服装は恥ずかしいものではあったけれど、動きやすかったり認識阻害が便利すぎたりで何だかんだ最初の変身時からずっと着っぱなしだった。

 けれど、今からやろうとしていることに関しては、私がエメシーであることが周りから分からないといけない。

 なので、私は堂々と城の門へと近づく。すると、門兵の男が私の接近に気付き、警戒した面持ちになった。けれど、私の姿を見て驚愕と歓喜の表情に変わる。


「……!あなた様は、もしやエメシー様ではございませんか!?生きていらしたのですね!」

「あら、私の顔を覚えていたのね。話が早くて助かるわ。なら、あなたの主様のところへ通してもらえるかしら?」

「もちろんです。アルキロス様も、あなたの無事と来訪をお待ちしておりました!エメシー様がいらしたことを伝えて参りますので、しばしの間だけお待ちください」


 そう言って門兵は城の中へと走っていった。


「この国ではエメシーは追放されたことになってるっキュよね?それなら、エメシーが戻ってきたと知られれば捕まってしまうんじゃないっキュか?」

 シロミンには今のやり取りが不可解だったようね。時間もあるし軽く説明してあげようかしら。


「国から追放されたからって、その国全てが敵になるわけでないわ。私は以前に一度だけここへ来たことがあって、その時のことでここの領主は私に恩があるのよ。それに、まだ私の力が必要なはずなのよね。だから、必ず私の味方になってくれるわ」

「ほー、エメシーは魔法少女になる前から人助けをしていたっキュか。それは感心っキュ。ところで、それは一体どんな恩っキュ?」


 シロミンは恩という言葉に反応し、ここ最近元気がなかった顔が少し明るくなった。


 こんな簡単に私への評価が上がるだなんて、シロミンも単純ね。


「えっとね、まず説明すると、ここの領主のハミング伯爵は普通の人間ではないのよ。300年前に勇者と共に魔王を倒した、純血の吸血鬼の子孫なの。その功績を称えられて、人ならざる身でありながらも爵位と領地を与えられているのよ。」

『むぐぐ。勇者の次はあの忌々しい女吸血鬼のことを聞かされるとは。しかし、代替わりしているということは、あの女吸血鬼は死んだのか?吸血鬼には寿命がなかったはずだが』


 今度はグラトが吸血鬼という言葉に憎々し気な反応をみせた。


 そういえば、ここに居たわね。その時の勇者一行に倒されちゃった魔王が。


「私も真実は知らないけれど、その吸血鬼は今もどこかで隠居しているみたいよ。吸血鬼と勇者は恋に落ちていて、グラトを倒した後は勇者と愛を育んで子を成したけれど、勇者にあの世に先立たれて以降は完全に人間に興味を無くして領地も子供に譲ってしまったらしいわ」

 噂では愛する者に先立たれた悲しみで、ずっとふさぎ込んでしまっているとも聞いたことがある。


 愛する人から引き剥がされる辛さは私も少し理解できるから、この話が本当ならその吸血鬼は今も永い苦しみに耐えているのでしょうね。永遠の命というのも考え物だわ。


「あれ?でも、エメシーも勇者の血を引いているんっキュよね?なのに、エメシーは吸血鬼ではないんっキュか?」

「違うわよ。私は300年前の勇者と、その時のコーラインの姫との間にできた子供の家系なのよ。グラトを倒した褒美がその姫との結婚だったらしいわ」

「な、なるほど。吸血鬼とも姫とも子供を作ってたっキュか……。300年前の勇者、なかなかちゃっかりしてたっキュね」

「そうね。国も高潔で強力な力を持つ吸血鬼を敵に回すくらいなら、抱き込んで味方に付けようと考えたみたいだしね。まあ、純血の吸血鬼の力が強すぎたのか吸血鬼と勇者の子にはチート能力がもたらされなかったり、何故か寿命だけはできたりで散々な結果になったのだけれど」

『フッ、ざまあないな。我を滅ぼそうとした報いを受けたのだろう!』


 いや、誰の報いよ。それ、ただの負け惜しみよね。


 残念な魔王に突っ込みを入れようかと思ったけれど、ちょうど門兵が戻ってきたことで私たちの会話は途切れることになった。


「お待たせ致しました。アルキロス様も、すぐにお会いしたいとのことです。どうぞ、お入りください」

「そう、それならお邪魔するわね」


 予想通り、ハミング伯爵は私に会ってくれるのね。話はまだ途中だったけれど、恩とかの話は今からの流れを見ればシロミンにも伝わるでしょう。


 そう考え、私は吸血鬼が住まう風格ある古城へと足を踏み入れた。


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